創剣記 ゴッドブレード 0章 プロローグ
時は、機械や自動車、そして自転車までもがない時代。そこは、まだ魔法使いの存在がちらほらいた時代であり、また地動説なんてものは人々の頭の中に全くといっていいほど無かった時代であった。
この地球が全て、いや、地球という存在も知らなく、この地面だけがこの世界。そんな時代であった。
もちろん、宇宙なんてものも知っているはずが無い。しかし、外の世界があるかもしれないという考えを人々の頭をよぎることもあったが、話になんかされないのだ。
むしろ外の世界なんて知らなかったほうがよかったかもしれない。外部からの邪魔をされずに、静かに暮らしている、これが今の平和なのだ。
しかし、このまま平和が続くわけではなかった。自分たちが願っていなくとも、不幸はおきてしまうものである。
一人の宇宙人が、この地球を我が物にしようと企んだのだった。
この宇宙人の名前は、「ダーク・ファーレン」だった。
彼は地球から3000万光年離れた惑星「ホークス」と呼ばれる精神生命体の星からの追放者だった。
彼はその星で罪を犯し、挙句の果てに追われている間に26人も殺してしまった。無論精神生命体なのでナイフなどでは殺せない。実は、彼は精神消滅毒を作り出していた。
そう、彼が犯した罪は、「殺人薬」を作り出したことである。
彼は科学者である。周りから期待されつつもいつも変な発明ばかりすると評判であった。そして今回作ってしまった薬がそれである。
彼は自分の助手5人とともに宇宙へと流されてしまった。
彼らは自分の居場所を探している。
そうしてみつけだしたのがこの地球だったのだ。環境はカンペキ、食料は彼らの取っては必要のないものだったからいらないのだ。しかしただひとつだけいらないものがあった。
それは「人類」。
地上に変な高い建造物を作り続ける、、おぞましい姿をした人類。この星を我が物にするには、まずこいつらを排除しなくてはならない。
彼は助手5人とともに、地球へ向かったのであった・・・。
2
さて、ここは地球の中でも「黄金の国、ジパング」といわれている、日本。しかし、20年ほど前に日本の領土を広げようと隣国アメリカにけしかけた戦争で、フェーマス率いる軍に負け、植民地化されてしまった。言語の一部も統一され、ここ、「千葉市」だったところも、「トルディオン」と改名されたのだった。
そして、このトルディオンの街中にある、小さな一軒家で、木藤拓磨は生まれた。
父は、ちょっと前まで武器屋(刀を主とする)としてザンギリ頭の武士に対して繁盛していたのだが、最近アメリカ政府の横暴がひどくなり、鉄がほとんどアメリカに回収されてしまったのだった。
おかげで、武器屋はつぶれ、父のもとには多額の借金が残ってしまった。
父は借金を返すため、毎日毎日働きどおしの日が続き、借金をやっと返し終えた頃には病気になってしまっていたのだった。
父は自分の病気を治すために、母と一緒に旅行にでた。そのときにみたガルダノン遺跡を見た光景は今でも忘れられないと言う。
それで力が湧いたのか、父はみるみるうちに元気になり、もっとあのようなすばらしい景色が見たいものだ、とおもうようになった。
このあと父は旅に出た。自分の名を世に知らしめて見せると憤慨しながら。結果的の元気になったことはよかったことだが、あまりにも元気になりすぎたせいか、旅に出ると言った初日にリュックを忘れていき、何とか母が追いかけて届ける始末であった。
母は一緒に旅に出ることはできなかった。なぜなら妊娠していたからである。
そして父が旅に出ている間に拓磨は生まれたのだった。
それから3年たったある日、父は大怪我をして帰ってきた。タロス山を越える際、雪崩に巻き込まれ、ふもとまで流されたものの、大怪我をしたが奇跡的の助かったらしい。しかし、父の足には大きな古傷が残ってしまった。歩くことも容易ではないほどであった。
それから10年。父もできる限りの事をしようと、職にありついていた。
拓磨も13歳になり、これから中学校に通うことになっていた。
そんなころである。アメリカの北極探検隊が次の出航にあたり、日本人を6名まで連れて行ってもよいことになった。そして日本人6名には小島隊長率いる探検隊が選出された。
6人は盛大に送られ、アメリカ人ら28人といっしょに船へと乗った。
彼らやアメリカ人が乗った船は順調に航海を続け、アラスカを経由して北極へとたどり着いた。
彼らは氷と雪だけの世界に驚木、そして感動した。
これからキャンプを張り、いくつかの班に分かれて探索を行う。彼ら6人はひとつの班となった。
探索開始から3日。今日の探索班は小島班である。6人は食料を持って出発した。
道中彼らは感動の連続であった。北極の寒さなどほとんど感じられないのではないかというほどの興奮ぶりであった。
彼らは無我夢中で進みつづけた。すると、大きな氷の塊を発見した。
その大きさは異様であった。自分の背の10倍はあるのではないかというほどの高さ。そして横幅は回り道ができなさそうなほどの大きさ。
彼らはそれに触れた。日本でこのような大きさの氷を見ることは不可能といってもよい。このころは冷凍技術も発達していないため、氷を見ることさえも困難だったからだ。
部下の一人はその氷を記念に持ち帰ろうと採集用のツルハシでそれを砕こうとした。
が、次の瞬間、金属にぶつかった音がした。
部下が覗いてみると、そこには金色をした金属があった。
小島は金だと思ったが、それは異星のもので、地球にはない金属だったのだ。
班の全員でその周りを調査した。もしかすると大発見かもしれない。彼らは期待に胸を躍らせた。
やがて、部下の一人が丸いものを発見した。
そのころはもちろんボタンなんてものはないわけで、ひねったり引っ張ったりと試してやっと押すことがわかったのだった。
ボタンを押すと、ガコンという音がなって、金属の塊の一部が動き出した。
そこは扉であった。それはなぜか中からは開けることができない扉。それは紛れもなく浮遊収容機である。
小島たちは中へ入った。奥に進むと、まんなかにテーブルのようなものがあるだけの広い部屋に入った。
そのうちに部屋のドアが閉まってしまった。
「!?」
班員たちは恐れおののき、後ろへあとずさった。
すると目の前に黒い影が現れた。
「なっ、なんだっ?!」
小島が大声で言った。
「恐れることはない。君達は私たちを助けてくれた恩人だ」
影が低い声で言った。
「私のためによくここまできてくれた。私の名はダーク・ファーレン。遠い星から精神生命体だ」
遠い星?精神生命体?
小島にはよく話がわからなかった。
「・・その顔はよくわからないという顔だな。ここまで文明が劣っているとはな・・・」
影がなおも続けた。
「まあ、都合よく体が手に入りやすい。私たちを助けてくれた礼におまえたちを使ってやろうではないか」
すると、どこからか影が更に5体現れた。
「ひっ・・・」
部下の一人が腰を抜かしてしまった。
「体はちょうど6個。私たちとちょうど一緒ではないか。あまり残りはほしくなかったんでね。なに、痛くはないさ」
そういうと、影がそれぞれの体に入っていった。
「うっ・・・・・」
小島たちはばたばたと倒れていった。最後に覚えているのは、自分の口から気味の悪い笑いを聞いただけであった・・・・・・。