「ワイパーが動き過ぎる?」と来店された
三菱ミニキャブU62
初めは動き過ぎるってどう言う意味…?
そんな感覚でした。
状況把握する為ワイパーを作動させてみると、
運転席側のワイパーブレードがガラスから飛び出し 、フロントピラーから落ちる所まで動いている!
確かに動き過ぎるって表現が適切である。
しかしブレードが戻って停止する位置は全く正常な場所。要は扇状に動く作動エリアが広い(作動ストロークが長い)って事になる。
そんなの今まで25年も整備士してきて聞いた事が無いよなぁ〜
他の工場で整備は受けていないから、他車種の部品が組まれたなんて事も無いはずだし…
漠然と考えていても改善策が見つからないまま、取り敢えずワイパーリンクを脱着して点検してみる事にしました。
幸いこの車はダッシュまる剥ぎしなくても、グローブボックスと足元のカバーを外すだけで、リンクは外せます。
リンク全体の画像を撮り忘れたので、WEBから引用してます。
ワイパーリンクを単体でよ〜く診てみると、左側のピボット部のアームが多少捩れて曲がっている様に見える☝️
この時点では、こんな多少の曲りで上記不具合が起きるのだろうか?と思ってました。
ところが、この曲りを修正して復元してみたら
直っちゃいました⁉️
当初 左ブレード先端は黄色のマスキングテープの所まで動いてました。右側も同じなのでガラスから飛び出してました。
修正後はご覧の通り‼️
そこで図に描いて検証してみます☝️
反転した図になってしまいましたが、ここに記す
リンクロッドAが曲がったとしても、ブレードの作動エリアが広がる事はなく、作動する場所が赤線から青線に変わる事になります。
当初このロッドが曲がっているのが、正常なのか?迷った為、図にしてみました。
WEBから引用した画像は真っ直ぐに見えますが、ここの曲がりは正常の様です。
次にピボットアームAが変形により短くなったとすると、今回の様にブレード作動エリアは広くなります。
要はモーターアーム、ピボットアームA及びBの長さが変われば、作動エリア(ストローク)に影響を与え、
リンクロッドA及びBの長さが変われば、作動する場所が変わる事になります。
これはステアリングの切角アップと同じ原理ですね😁
ナックルアームの長さ(ストラット軸中心からタイロッドエンド取り付け位置の長さ)が短くなれば切角は増え、長くなれば切角は少なくなります。
普通に考えればこの部分が変形する前に、リンクロッドのボールジョイント部が外れるのですが、今回は珍しいトラブルでした。
そしてここの寸法はとてもシビアで、たった2〜3mmの違いがブレード先端では5〜6cmの差となって現れます。
この不具合については非常にレアケースだと感じたので、世の整備士の方々の参考になればとアップしました。