こちらの地域では珍しく、短時間の集中豪雨により排水が追いつかず、至る所で道路が冠水。

 30分も経てば嘘のように水は引くというのに、何も考えずに走行を続ける方がいるんですね〜

 案の定30〜40㎝の水の中で走行不能となり、搬送してきたサンバーを検証してみます!



 当然の事ながら、エアクリーナーはぐっしょり!
 プラグを外すと燃焼室から大量の雨水が出てきて、1番シリンダーからエアブローすれば、他気筒から水が吹き出す始末。
 エンジンオイルを抜くと、はじめは比重の重い透明な水が出てきて、その後真っ黒なオイルに変わりました。ジャンピングしてコンプレッションテストすると、圧縮の上がり方と圧力自体もバラバラ?
 この時点で車両入れ替えの方向に話は進んだのですが、どこにでもいらっしゃる「予算が出せない方」でして、30万位で収まるなら修理する事になりました。

 こう言ったトラブルは非常に珍しく、私自身もエンジン内部がどうなっているか興味深いところです。

 クランクを回すと引っかかる箇所があり、先ずは車上でヘッドを下ろしピストンを確認。


 4番シリンダーに異常が見られます。
 1番が圧縮上死点なので4番は排気上死点なのですが、ピストンが上がりきっていません!
 恐らく「ウォーターハンマー現象」によりコンロッドが曲ったのでしょう。
 4番ピストン&コンロッドを上から抜こうとオイルパンを剥いだのですが、変形によりシリンダー最下部に引っかかって抜き取れません⁉️
 無理に叩きつけて、シリンダーに傷を入れては使い物にならないので、仕方なくエンジンを下ろしてクランクシャフトを外し、下から抜くプランに変更しました。

 今回初めて挑戦したのですが、サンバーはミッションを残したままエンジンのみ降ろせる事が解りました。






 しか〜し…甘かった………




 ピストンの頭が引っかかって下からは取り出せない…冷静に考えると当たり前なのですが…



 上抜きだと変形したコンロッドが引っかかり、下抜きだとピストンが引っかかる。
 これが2番3番であれば、ピストンピンのCクリップを外しピンをスライドさせ、コンロッドとピストンを分離できるのですが、1番4番はそうはいきません…

 色々考えた末に、この状態から酸素&アセチレンで加熱してコンロッドを曲げ修正して、上から抜きました。



 
    … つづく