場所は田舎の国道沿いのコンビニ、
灰皿が1つだけおかれた喫煙スペースで、
順平はバイクからおりて
煙草を吸っていました。 

頭にパーマあてたり、金髪だったり、
田舎のヤンキーが、10人ほど、
敵対心むき出しで順平を見ています。
彼は大柄です。
サトちゃんほどではないですが、
身長は180センチ以上ありますので、
必然的に、
その不良たちを見下ろすようにしました。

それを見上げた、
1人の男が、
「おい、さっぎから見てんだろ!おい!」
ちょっと訛りのあるだみ声です。
「え…、なにを?」
順平は少し怯みながら、
また、あたりを見渡しました。
彼らの背後には、
竹やりのようなチャンバーや、
盛り上がったカールをつけた
改造バイクが並んでいました。
いわゆる町の暴走族ってやつですね。
「俺らのバイグ、見でんだろ、さっぎがらよお」
並んでた黄色いTシャツの男が叫びます。

順平は、なにも見ていませんでした。
彼らにだって、
声をかけられるまで
気づかなかったくらいです。
順平は、ただ自由について、
その行き着く先について
考えていただけなのです。

それでも彼は、
「バイク?」
最初の男は、さらに順平に近づいて、
「そだよ!なんでさっぎからよ、じろじろ見でんだろが!」

見ていない、興味ない、
そう順平は考えながらも、
「いや…、」
それでまた
彼らを見下ろし見回して、
「なんか、単車かっこいいなって思って」
と、思ってもないことを言いました。
それは、なにも詭弁を弄すとか、
逃れるためにでは
なかったんだと順平は言います。
ただ思いついて、
そう口にしたんです。

ところが、
敵愾心いっぱいだった不良たちの態度は、
それで少し変わりました。
順平はすぐそれに気づいて、
「え~、だってめっちゃかっこいいじゃん、
そのテールとか、まじやばいなって」
彼らが近づいてきます。
「お前のも、まじかっこいい」
誰かが、
順平のブルーメタルのバンディッドを指差しました。
「ほんと?あんま手入れてないから、
ほとんど純正だし」
順平はサトちゃんのように、
バイクをいじり倒すことはあまりありませんでした。

とにかく、それで危険を回避した順平は、
なぜかその場で彼らと打ち解けてしまいました。



「こわいね、怖くなかったの?」
僕は淡々と話す順平に聞きました。
彼は首を横に振りながらも、
「すげえ怖かったよ、やべえなって思ったもん、
あのまま上手くやんなかったら、たこ殴りだったな多分、」
「ひえ~」
とおどけた感じで、
あんまり神妙な感じもしないサトちゃん。
順平は細い目をちらっとサトちゃんに向けて、
「ま、怖いってのより、その後がまずかったよ」
「なんで?」
僕が聞くと、
彼は口元を歪め、小さく笑うと、
「あいつらに会わなきゃ、今日ここいないから」
そう言いました。
 

プロジェクト563日目。

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2020/1/23 563日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71% 
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
 158ページ中50ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
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