順平とバッティングセンターにいる続きです。
左用レーンは
数も場所も限られています。
僕は左利きなので、
はしっこのレーンに入り、
コインを入れるとかまえました。
となりが、さっきの
スパルタ親子です。
背後から、父の叱責ともとれる
コーチングの声が聞こえてきます。
ちらっと振り返ると、
40代とおぼしき父親が、
もはやバッターボックスの中に一緒に入って、
手取り足取り少年の体を触っていました。
少年は、真剣な眼差しでした。
坊主頭には
きらきら汗が光っています。
「おらあ、腰を沈めろって言ったろうが!」
親父は自らのがっちりとした腰を
低く構えて見せました。
僕はそこまで見ると、
自らのバッターボックスに入りました。
これはこれでいいんだけれど、
もう少し、
柔らかい言葉で
言えないものなんだろうか、
それとも、厳しい怒声が、
少年の気持ちを
奮い立たせるというんだろうか、
アームがガシャンっと音をたてて、
ボールが投げ出されました。
僕は思い切り空振りしました。
僕も、少年を意識して、
目にぐっと力を入れてみました。
真剣ってなんだろう、
そう考えていたんです。
少年には
邪心がないのかもしれない、
親父が怒るのは当然の環境で、
ただまっしぐらに
野球に打ち込んでいて、
もしかしたら、
自分はなんでこんなに下手なんだろう、
そんなふうに日常思っていて、
練習し続ければ、
もっともっと上達すると、
そう信じているのかもしれない、
僕に、
そんな気持ちはあっただろうか、
いや、あるはずだろう、
僕は、またぐっと体に力を入れます。
120キロの速球が投げ出されます。
球の軌道が、白い弧を描いて、
見えた気がしました。
バットをすっと出して、
最短距離で体をひねります。
スカーンッ、
快音でした。
打球は見る見る伸びて、
ホームランボードの
わずか数10センチのネットに当たりました。
「惜しいじゃあん」
いつの間にか背後にいた順平です。
「うん、惜しかった」
「狙った?」
僕は構えて、
次のボールを待ちながら、
「少しね」
また、ボールが投げ出されます。
軌道が、見える、
そんな気が続いていて、
自然にバットが出ます。
強振しました。
またジャストミートです。
今度は、ホームランボードの
さらに上のネットへと当たりました。
「なんか今日調子いいじゃあん」
と、順平。
僕はにんまりして、
また構えました。
順平は、
「あのさ、サトちゃんにまだ
言ってないけどさ、」
僕はさっきのお父さんが
言っていたこと思い出して、、
腰を落ち着かせるように沈めてみました。
「やっぱ来年って、俺、
家帰ろうと思うんだよ」
その順平の言葉、
要は、ルームシェアを
解散しようってことです。
バットが空を切りました。
僕はレーンの後ろにいる彼に振り返り、
「まあ、そうだよな」
と、口にしました。
左用レーンは
数も場所も限られています。
僕は左利きなので、
はしっこのレーンに入り、
コインを入れるとかまえました。
となりが、さっきの
スパルタ親子です。
背後から、父の叱責ともとれる
コーチングの声が聞こえてきます。
ちらっと振り返ると、
40代とおぼしき父親が、
もはやバッターボックスの中に一緒に入って、
手取り足取り少年の体を触っていました。
少年は、真剣な眼差しでした。
坊主頭には
きらきら汗が光っています。
「おらあ、腰を沈めろって言ったろうが!」
親父は自らのがっちりとした腰を
低く構えて見せました。
僕はそこまで見ると、
自らのバッターボックスに入りました。
これはこれでいいんだけれど、
もう少し、
柔らかい言葉で
言えないものなんだろうか、
それとも、厳しい怒声が、
少年の気持ちを
奮い立たせるというんだろうか、
アームがガシャンっと音をたてて、
ボールが投げ出されました。
僕は思い切り空振りしました。
僕も、少年を意識して、
目にぐっと力を入れてみました。
真剣ってなんだろう、
そう考えていたんです。
少年には
邪心がないのかもしれない、
親父が怒るのは当然の環境で、
ただまっしぐらに
野球に打ち込んでいて、
もしかしたら、
自分はなんでこんなに下手なんだろう、
そんなふうに日常思っていて、
練習し続ければ、
もっともっと上達すると、
そう信じているのかもしれない、
僕に、
そんな気持ちはあっただろうか、
いや、あるはずだろう、
僕は、またぐっと体に力を入れます。
120キロの速球が投げ出されます。
球の軌道が、白い弧を描いて、
見えた気がしました。
バットをすっと出して、
最短距離で体をひねります。
スカーンッ、
快音でした。
打球は見る見る伸びて、
ホームランボードの
わずか数10センチのネットに当たりました。
「惜しいじゃあん」
いつの間にか背後にいた順平です。
「うん、惜しかった」
「狙った?」
僕は構えて、
次のボールを待ちながら、
「少しね」
また、ボールが投げ出されます。
軌道が、見える、
そんな気が続いていて、
自然にバットが出ます。
強振しました。
またジャストミートです。
今度は、ホームランボードの
さらに上のネットへと当たりました。
「なんか今日調子いいじゃあん」
と、順平。
僕はにんまりして、
また構えました。
順平は、
「あのさ、サトちゃんにまだ
言ってないけどさ、」
僕はさっきのお父さんが
言っていたこと思い出して、、
腰を落ち着かせるように沈めてみました。
「やっぱ来年って、俺、
家帰ろうと思うんだよ」
その順平の言葉、
要は、ルームシェアを
解散しようってことです。
バットが空を切りました。
僕はレーンの後ろにいる彼に振り返り、
「まあ、そうだよな」
と、口にしました。
プロジェクト546日目。
――――――――――――――――――――――――――――
2020/1/6 546日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
――――――――――――――――――――――――――――
kindleでは「セノイピープル」「バスストップ」「悲しきウスバカゲロウ」が読めます→
https://www.amazon.co.jp/s/ref=dp_byline_sr_ebooks_1?ie=UTF8&text=%E8%8A%B1%E6%9D%91%E5%81%A5%E4%B8%80&search-alias=digital-text&field-author=%E8%8A%B1%E6%9D%91%E5%81%A5%E4%B8%80&sort=relevancerank
『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
→https://ameblo.jp/levelbooks/entry-12445434453.html
