憶えている読者の方も
いるかもしれませんが、
『地上の足音』で取り扱った
環境測定のアルバイト、
あれはもう、
この頃にはやめていました。
就職も覚束なくなった僕は、
ひとまず、ある中小のソフトウェア会社で
アルバイトを始めていました。
環境測定は、受水槽の掃除や、
とにかく肉体労働です。
体を使うのが
嫌だったわけじゃないんですが、
少しは頭を使う、というか、
手に職がつきそうな仕事を
したかったのもあります。
パソコンで、
簡単なシステムツール類をあれこれ試して、
不具合を検知して
記録するような作業を繰り返します。
最初はこうしたバグ取りがメインでしたが、
そのうち、
今のBIツールのようなものの
開発補助とか、
分析集計の
手伝いをするようになりました。
時給は1,000円です。
残業がある時は、進んでやらせてもらって、
それで月20万くらいの収入になりました。
まさかこの後10数年、
僕が小説を書きつつ、
生業とする仕事の原点が
ここにありました。
当時はそこまでは
思いもしませんでしたが、
ひとまず社会で生きていくためには、
技術や知識が必要なんです。
僕は今まで想像だにしなかった
ITシステムや会社機構の中へと、
そろりと足を踏み出していました。
そうした最中にあったわけです。
そうした最中でも、
僕の頭の片隅には、
いつも小説があって、
それは『灯台サム』へと
繋がる道のりでした。
灯台を舞台にした小説を書く、
それはずっと考え続けていたものですが、
毎日のように思いを巡らせていても、
中々いい案も
浮かんでくるものじゃありません。
灯台の関する
あらゆる本を渉猟していきます。
灯台守を主人公にした、
古いニュースフィルムなんかも見ました。
大学の図書館には、
一般には流布していない、
こうしたモノクロ映画なんかのライブラリがあって、
それを見つけ出してくるのです。
白黒の、画質の悪いフィルム映像が
流れていきます。
トーキー映画のようなもんです。
チャップリンでも出てきそうな雰囲気です。
目を凝らさないと、
見落としてしまいそうな、
細かな作業を
灯台守がしています。
ロープは引っ張ったり、
頭頂部のカンデラを磨いたりしています。
僕は個室になっている映像室で、
何度もそのフィルムを
流し見していました。
そんな時は、
将来のことなんて、
何一つ考えていませんでした。
まだ形にならない
僕の灯台への憧憬というか、
夢想の中で、
確実に岬の灯台が舞台装置化して、
流れる雲を背景に広がっていました。
「おう花ちゃん、おったおった」
いきなり背後から声をかけられ、
僕は思わず肩をびくつかせました。
振り向くと、
大学の友人、高原が立っていました。
プロジェクト542日目。
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2020/1/2 542日目
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
→https://ameblo.jp/levelbooks/entry-12445434453.html
