砂利敷きの駐車場に
白い軽ワゴンを停めて、
僕と繭子ちゃんは、
河原に降りて行ったんだ。

初夏の夕日は落ちかけていて、
一面藍色っぽくなって、
川面は濃い赤色を反射していた。

虫の音が聞こえてる。
セミが羽を震わせる音が、
遠く、かよわそうに鳴っていた。

まあ、とにかくいい雰囲気、
気分は高揚する感じだけど、
それを抑えるような、
涼しい風と、
落ち着いた空気感だった。

「いっぱい買っちゃったね、」
車の後部座席には、
さっきの直販店で買った
せんべいの袋がいっぱいになっていた。
「全部食べるの?」
俺が言うと、
彼女はくすくす笑って、
「そんな食いしん坊じゃないよ~、
みんなにあげるんでしょお」
「そりゃそうだよね、」
職場のみんなだろうか、
誰にあげるんだろう、
そんなこと考えながらも、
俺は、
「でも、美味しかったね、
ああいうの、作ってみたい」
彼女は少しだけ黙って、
2人で並んで川の方見ていたけど、
「やっぱり、おせんべい作るの?」
「どうだろう…、」
俺はここで、
そうだ、作るんだよ、
そう、強くは言わなかった。

ここが俺の限界なんだよね、
だめなら、
諦めなきゃって気持ちで、
いっつもやってるからね、
要はなにかあれば
逃げちゃうこともあるかなと。

そのへんが、俺の限界なんだよね。

(僕はそれを聞いていて、
自分のことを少し重ねるのです。
そう、小説についてです。
僕はこの当時から、
今にいたっても、
もしダメだったら、
真っ当に社会で生きていくために、
延々とサラリーマンを
続けている気もしました)


「実家、どんな感じだったの?」
繭子ちゃんは、
少し体を寄せてきた、、、
そんな気がしただけかも。
「実家って?」
「ほら、鯉川くんとこも
おせんべい工場だったんでしょ、
だから、どんな感じだったのかなって」
「ああ…」
夕陽が落ちていくのを眺めながら、
なんともいい気分になりながら、
俺は首を横に振ったんだ、
そ、会話に集中しなくちゃ、
それで、
「ほんと古い感じのとこだったよ、
かったいさ、どこにでもある、
ただのせんべい…」
それ言葉にしてたら、
なんだか工場の中に漂っていた、
あのしょうゆの
芳しい香りが
鼻についた気がしたよ、
俺、ちょっと顔をうつむけて、
「でも、美味しかったかな、
虫歯になってから、
食べなくなったけど、
虫歯治って食べたら、
やっぱ、美味しかったな」
「なにそれ~、」
繭子ちゃんは、
またくすくす笑いながら、
満面の笑みを俺に向けていた。
その顔は、
夕陽を背にして暗く見えたけど、
白い肌に
うっすらと引かれたような、
薄紫色に見えるラインに縁取られていて、
見惚れていた、というか、
目を離せずにいたんだ。

 

プロジェクト388日目。

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<span style="color:#ff0000;"><strong>2019/8/1 388日目</strong></span>
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71% 
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
 158ページ中50ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
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