月夜野に行ってからしばらく後の話です。

その頃、
小説を書くにあたって悩んでいたのは、
とにかく文章量を増やすことでした。

長編短編のよしあしはもちろんあります。

しかしながら、
そもそも作家を目指しはじめた時から、
長いのを書く、
と端的に思っていましたもので。

『エリコの場合』も『月夜野一夜』も
原稿用紙で30枚くらい。
そろそろ、もう少し長いのを書きたいな、
と考えていました。

長編が書けない理由として、
ボキャブラリィの貧困さ、
骨子の組み立てのなさ、
が決定的な理由でした。

そんな時期でしたので、
アウトプットはとても貧しく、おそまつなものでした。

なんとなく、
練習中という感覚だったのかもしれません。
高名な画家の作品を
丹念に模写してる感じでしょうか。

最初に作家になろうとした時期は、
以下のような感覚と行為のステップを踏んでいます。

Step1
やるぞー、俺はやるぞー、
たくさんの人を感動させる物語を紡ぎだして、
すんごい売れっ子作家になって、
漱石の生まれ変わりとか、
21世紀の太宰治とか言われちゃうぞ、
ぬおー、考えただけでときめく、なんて楽しい人生なんだろう

Step2
とりあえず原稿用紙買ってこよう。

Step3
文具屋に行く

Step4
原稿用紙を手に入れるが、
なんとなく昔の文豪が使ってるようなシックな感じじゃない。
これじゃあ小学生の作文用紙と変わらないんじゃないかと、
店のおばちゃんにたずねる。

Step5
これしかないと無愛想に言われる。
まるであんたにはこれで十分、と言われているみたいでムッとする。

Step6
まあまずはよしとしよう、思い直して原稿用紙に鉛筆を持って向き合う。

Step7
最初の一文を書いてみる。

Step8
いいじゃない、なんかいいじゃない、
これだな、とご満悦

Step9
また原稿用紙に向き合う、かたまる、なんにも浮かばない…

これが現実でした。。。。

話し言葉の挿入の仕方もよくわからず、
長いセンテンスはねじれ文になって、残念というか
トホホな感じでした。
読み返すと、ほんとにくしゃくしゃってして、ぽいっと捨てるのです。

とにかくセンスがない、
情熱だけじゃなんにもできないや、
今さらって感じで気づくと、
ひとまず、
なにをすることから始めればいいんだろう、
あれこれ考え始めます。

結局一度筆をおいた僕は、
以後しばらくの間、
ひたすらインプットの期間に入ります。

まず手を出したのは、
この100冊だけは読んでおこうシリーズの
世界編と日本編です。

トルストイからドストエフスキー、ルソーにスタンダール、エミール・ゾラ、スタインベック、ビクトル・ユゴー
夏目漱石、坪内逍遥、島崎藤村、芥川龍之介、太宰治、森鴎外、

まあ、まずはこういうの知っとかないと、
話にならんな、そう思って読み漁っていました。


しかしなにか、偏っていますよね、

お気づきでしょうか?

現代文学というものを
ほとんど読んでいないんです。
ちょこっと村上春樹さんや村上龍さんなんかも目を通しましたが、
これもある摩擦を学生時代に起こすんですが、
それはまた次の話です。

とにかく100冊(×2)を読破しないと、
という思いのまま、
だいたい1年半ほどかけて、
まずは一通り読み終えました。

特に就寝前は、
2時間ほど読書することを習慣化させました。
それは、
たとえ飲んだくれて帰っても続けました(さすがに1時間以内)。

この習慣は今でも変わらないので、
相当の読書量をこなしていると思っています。

ただし、23歳でそれを思いついたんですから、
遅れているという気分がずっとありまして、
とにかく追いつかなきゃ(何に追いつくというのか。。)という思いで、
かなり加速度的に知識習得にまい進していました。

それからそれから、

あとはそもそもの根本的知識だな、
と思ったのもあり、
植物(樹木・草本類両方)、鉱物、地質学とか、
自然史や動物についてなんかも読んで読んで、

あと、実地もするんですね、
それこそ植物園から動物園、山に入って石拾ってみたり、

とにかく遅れを取り戻す、
ただその一念で、
僕はひたすらインプットを繰り返していました。

それが、シェアルームしていた、測量と学生時代の、
僕のライフワークでした。

そんな時期です。

インプット修行は、まだまだ道半ばでしたが、
文学賞応募の掲載で、
伊豆文学賞、というのを見つけまして、

やっぱり、書きたい、て思ってたんですね。
原稿用紙で100枚。
30枚が限界の僕には、前人未踏の量です。

それでも、
いったん書いてみようかな、と思い始めて、
構想を考え出したのが、
僕なりの3作目、
『伊豆南下、伊豆北上』になります。

もちろん、原稿はコピーもなにももはやどこにも見当たりませんが、
明日は、この小説について、
話を続けたいと思います。

あの頃の僕は、
進取の知識に溢れていました。
世の中には、こんなにも知らないことが多くて、
それを知る喜びの中に浸っていました。

文中から活字として入ってくる知識が、
一定の反復を迎えると、心地よく脳にストックされる感じ、
記銘から記憶へと、文字が頭の中に染み込んでいきます。

そうして、
手に触れて、感触をもち、
匂いとか、空気感みたいなものを意識し始めた時、
そろそろ、アウトプットしてもいいんじゃないかと、
思い始めていました。

ちなみに、
今の僕も知識量の多少はあれど、
あんまり意識は変わっていません。

そういえば、幼少期に、
僕は一時期海外にいたことがあります。

そのせいか、
小学校1年生だったと思うんですが、
同年の子らより、
全然読み書きができないんですね、
親も慌てていたと思いますが、
僕は焦ってはいなくて、
ひとつひとつ文字を頭に記憶していくことを
楽しんでいたように思うのです。

夜、車の窓から街あかりを眺めながら、
看板の文字が、少しづつ、読めるようになっていくんです。

昨日までただの記号だった象形たちが、
僕の中で映像に変換されて、
奥行きのある空間になっていくようだったと、
あの頃の知識の吸収の仕方を、
今でも思い出すことがあります。


レベルブックの旅は、徐々に本格的な作品へと
のぼっていきます。
このブログを読んでくれている読者の方には、
人が一定の信念を持って、
あることをコツコツ続けていくとどうなっていくのか、
ぜひ、目の当たりにしてほしいな、と思っています。

もちろん、若いうちに才能があって、
あっという間に作家になれた方もいますので、
うらやましいなと思いながら指をくわえていたものですが、
まあ、そうも言ってられないんで、
僕は才能という言葉を、
自分の都合のいいようにこう言い換えています。

才能とは、続けること。

ちなみに、
あと数回後には、
いよいよデータの残る作品も紹介して、
キンドルでなく、このページ内で公開しようと思います。

プロジェクトはなんの変化も見られませんが、
こちらも徐々に上がっていくはず、
そう信じている31日目

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<span style="color:#ff0000;"><strong>2018/8/9 31日目【残り470日】
</strong></span>
□kindle 本日 0冊±0冊 累計62冊 達成率0.62% 
□ブログの訪問者数 59人 (前日比▼62人)
□文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
□kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
 158ページ中53ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
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