今日は、セノイピープルについてお話します。
最近はあまり会うことのなくなった、
ある女性の会話が引き金でした。
彼女は、高校生の頃、
夢日記を書いていたと話してくれました。
はじめは、
学生時代の少女らしい話のように聞いていたのですが、
現実と夢の境界をあいまいにさせる、
という言葉で、僕は急に引き込まれていきました。
「境界があいまいになるって…」
僕が問いかけると、
彼女は、
さっきまでは楽しそうに話していたのに、
ふいに照れくさそうな顔して、
少し気鬱な感じさえ見せました。
「夢で起きたことをすぐに書くのね、枕元に日記帳をおいといて、
でなきゃ、夢ってすぐぼんやりしてっちゃうでしょう」
「ふむふむ…」
僕は前のめりになって、
だんだんその話に魅了されていきました。
境界が、あいまいになる。
それはつまり、
現実と夢の境がなくなるということです。
彼女は、夢日記に書いてあることは、
とても荒唐無稽で理論的にも破綻しているし、
現実ではおこりえないことが多いといいます。
しかし、それを、
言葉に変えていく行為を繰り返すことで、
徐々に境界がぼんやりしていくんだと言っていました。
「俺もやる」
僕が言いますと、
彼女はあまりお勧めしないし、気をつけた方がいいと答えました。
少し長いですが、実際の作品の中から、
夢日記について語られるシーンを引用します。
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いつしか真木の姿も
シティホテルの一室という舞台装置も消えていた。
そこにはただ、彼女の言葉が響き、
言葉が紡いでいく情景が浮かびあがっていった。
「憧れちゃったんでしょうね、でも、中々思い通りの夢なんて見れなくて、
それで、どういう切欠だったか、見た夢、書き留めるようになっていて―」
真木はためらいながら、ゆっくりと言葉を唇にのせていく。
「読み返すと、まるでその日あったこと、
普通に書いてあるみたいで、続けてるうちに、
とうとう、彼女に、夢で会えました」
僕の脳裏に、いやこれはいま眼前なんだろうか、
広大な盆地のなだらかな斜面の赤茶けた光景が広がっていく。
「私が暮らしてたとこ、地元、とても田舎なんですけど…、
段々になってる葡萄畑とか、商店街とか、学校の上とか、
空を、泳ぐみたいに飛んだりして」
そこでくすりと真木は笑う。
だから僕は、
「夢だからね」相づちを打った。
まるで自分に言い聞かせるみたいに。
「私は葡萄畑、―それはもう冬が近い頃で、
ただ、枯れ木になったやつが、
坂道を延々と伸びてるのをその子と眺めていたんです。
明晰夢って言うんです。
これは夢だって意識できるらしいんです。
そうすると、何でも思いのままに叶うって、
それで、聞いたんです。
私は、これは夢の中だって、はっきりした意識で、
彼女に、どうして死んだりしたのかって」―セノイピープル

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実際、それから夢日記をはじめてみました。
枕元に専用に購入した手帳とペンを置いて
眠りにつくようになりました。
毎日はできません。
毎日は、夢を覚えていないのです。
僕の場合、手帳に書きとめられたのは、
4日に1回くらいだったと思います。
しかし、僕は鈍感なのでしょうか、
それとも根気がないのか、
僕の中では、夢ははっきりと夢でしかありませんでした。
スケボーに寝そべって大きな湖を一周する話、
小学生の頃に亡くなった父にデパートでおいていかれる話、
いもしない息子が妙に大人びたことを言い出して、
僕に一緒に自殺しないかと、息を飲むような魅惑的な表現で迫ってくる話、
もちろん、変わった夢をたくさん見ました。
いや、元々夢は非現実的なものですから、
非現実的、
そうですよね、
ありえないと思うから、
現実との境界がはっきりしていたんです。
もし仮に、
夢があまりにもリアル、
つまり、いちじるしく現実的なストーリーであったなら。。
これが、「セノイピープル」の着想の最初でした。
「セノイピープル」では、
夢があまりに現実で、
その境界を逸している、と考えられるわけです。
この続きは、明日にゆずります。
今日も暑い日でした。
僕を知らない君に、
僕の声はまだ、全然、届いていないんだなあ、
と、ふと移動の地下鉄駅の構内で立ち止まり、
せわしなく行きかう人々をぼんやり眺めながら思いました。
いったい、
この中に、僕の小説を受け入れてくれる人が
どれだけいるんでしょうか
どんな人の心にも、届くなんて思ってはいないんです。
しかしながら、
琴線が触れる人には、どうあっても届けたい、
そう思わずにはいられませんでした。
Kindleのキャンペーンが終わって、
どすんと現実を見せ付けられ、
少しどんよりしている9日目も終わります。
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<span style="color:#ff0000;"><strong>2018/7/18 9日目【残り492日】
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■kindle 本日1冊▼15冊 累計173冊 達成率1.73%
■ブログの訪問者数 81人 (前日比▼27人)
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中35ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
→https://ameblo.jp/levelbooks/entry-12445434453.html
