真摯に遊び心を胸に秘めて、私は笑顔を運ぶ。

違和感のある意識が違和感なく定着してて、頭の中がむず痒い。

複数の意識がランダムに出入りして、自分の実感が意識外に展開されている。
話してる事に一貫性がなくて、完璧に精神障害者な状態。

これを乗り越えると、安定が来るのだろう。

でも、その安定って、なに?

精神が安定するの?
肉体が安定するの?

人格ってなに?

私はもう、昨日までの私じゃない。
その速度が人より少し速いだけ。

攻撃的な

感傷的な

刹那的な

楽天的な

怠惰的な

ゴチャゴチャしてるのに、
やけにクリアーな意識。

この状態のまま、
私はわたしでいる事に苦しみ、
大好きな人への感情も絡み合う意識の中に埋もれていく。

瞬間ごとに変化する私。

まるで、メリーゴーランドみたい。



投与二回目。

前回から少し男性よりに戻ったようで、
時々ものすごい目眩がするけど、
この前からのごわんごわんに比べるとかなりマシになった気がしてる。

けど、まったく油断ならない。

バランスって、
一瞬で良くなったり、崩れたり、
自分の身体なのに難しい。

私の場合、
身体と精神の両方の治療なので、
かなり不安定。


毎日、鏡に映る自分の顔が別人のようで、
ドキッとする。


外に出るのがツライけど、
詩事を休むわけにはいかず、
騙し騙しやってる。

さすがに皆さん異変にお気付きで、
視線が辛い。


でも救われたコトバもあった。

「お!カワイイ感じになったね」

どういう意味合いかは分からないけれど、
少し楽になった。

感謝。



身体は男性なのに、細胞は女性。
人格の8割が女性で2割が男性。
さらに人格が複数であるため、治療に大きな弊害となって襲いかかる。

そもそも、大きくバランスを崩すキッカケとなったのは、ある女性が好きかもしれないという感情が芽生えたからだ。
普通の事に聞こえるかもしれないけど、わたし達の中では予想以上に大きなギャップとなってのしかかった。

今わたしは、肉対面も精神面も女性だ。だから基本は男性に対して恋心が芽生える。
なのに、女性に対して恋心が芽生えたことで、自分に対する不信感や罪悪感など溢れてきて、収集がつかなくなった。

精神のバランスを失ってしまった。

そうこうしていると、今度は肉体が男性面を拒絶し出してきて、自分で自分の身体を攻撃し出してきた。

激しい痛み、吐気、ごわんごわん鳴り響く音。

自分の肉体を自分では形成できなくなってしまった。

治療の選択肢は2つ。

このまま完全に女性になるか、
元々の身体である男性に戻るか。

私の大部分は女性だ。
けれど、心のどこか、かなり奥底には男性がいて、その精神が肉体と連動をしている。
その証拠として、私の中の男性人格と肉体のフィット感がすごく自然で、意識がはっきりしていく。

ゴチャゴチャしている何かが、すっと剥がれていく感覚があった。
きっと私は、男性になりたいと思っているんだ。と感じた。

実際に、子供の頃から好きになるのは男の子なんだけど、それは恋愛感情というよりは、憧れの感情が強い。

心の中は、男の子になりたいんだと、改めて感じた。

ある女性を好きになったことで、それが確信に変わった。


だから、私は男性に戻す治療を選択した。


精神面では、いちばんストレスに強い私が主人格となって、まずは人格の統合が始まった。

その過程で、私は男性でも女性でもない人格だという事が分かった。

たぶん、肉体と精神を結び付けるために、無意識のうちに私が形成されてきたんだと思う。
私が私であるために。

少し自分のことが分かって、楽になった。

それもつかの間、今度は肉体が中性から女性面に変動した。
始めは、色が白くなったとか、顔つきが女性化したとか、体重が10キロ以上落ちたとか、あまり支障のないレベルだったけど、先月吐血したあたりから体調は急変した。

そして、ホルモンバランスを戻す治療が始まった。
ここからが、本当の試練の始まりだった。


今現在、私は中性である。
それが、どれだけ不安定であるのか。
境界を彷徨いながら、毎晩、身体が崩壊していく不安と、その悲鳴が鳴り響く音に耐えている。

この先に、私は私でいられるのか。

ほんとうに怖くてたまらない。
痛みとか辛さより、
怖くてたまらない。




あまりに醜過ぎるのでここでひっそり書いとく。

今年に入って女性化が進行してるのは自覚してたけど、身体が耐えきれなくなってる。
ごわんごわん音が鳴ってて、鳴り止まない。
検査結果では、今現在女性の分類になってる。
でも極めて曖昧で、ボーダーラインを行ったり来たりしてる。
その影響で、頭痛、嘔吐、目眩、例の音、発熱。

苦しい。苦しい。苦しい。

身体も心も、グッちゃグッちゃ。

苦しい。


今思うと、先月、吐血したあたりから、おかしかった。
精神バランスの変化が大き過ぎて、身体が悲鳴をあげてる。

どうしょう。どうしたらいい。

とにかく、波が過ぎてくのをじっと待つしかない。
ああ、晴れて欲しい。

苦しい。