フランスらしい、温かみのある〈消防士カレンダー〉 | 西方見聞録(旧パリレポート)

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2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

もう11月も下旬に差し掛かり
12月も間近。

2018年が終わり、
2019年が近づいてきましたが

パリではこの時期、
自宅にとある方々がインターホンを
鳴らしてやってきます。

それが、消防士の方々!

彼らは何をしに家を回るかというと
翌年の消防士のカレンダーを売るため、です。

このカレンダーは
家に来る消防士からだけでなく
街角でも消防士の方々が
売り歩いていることがあるので

彼らから購入することも
可能です。

今日、近所の通りを歩いていたら
消防士の方に
「カレンダーはいりませんか?」
と言われたので、
一部購入させていただきました。

それがこちら!
Calendrier Pompiers de Paris 2019(2019 消防士カレンダー)

中はこんな感じ。
日々、訓練に励む消防士さんたちの姿です

こちらはエッフェル塔近くの鉄橋『ドゥビリ橋』で撮った写真!

消防士のカレンダーというと
アメリカのマッチョな
イケメン消防士のカレンダーを
思い浮かべる方も多いかもしれませんが

パリの消防士もやはり肉体自慢です。
女性の消防士も体を鍛えています!

パリのピラミッドエリアに
消防署があるのですが、

ここの横を通ると、いつも
消防士さんたちがノリノリの音楽をかけて
体を鍛えています。

また、このエリアでは
消防士さんたちがかなり真剣に
ランニングに勤しんでいる姿も
見ることができます。

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と、このように書くと
消防士さんたちのマッチョを売りにした
カレンダーかよ、と
思う方もいらっしゃるかもですが

実はこのカレンダーは
そんなただのマッチョアピールカレンダーでは
ありません。

パリっ子の多くは
このカレンダーを購入するのですが
それは、別にマッチョが見たくて
買うわけではありません。

実はこのカレンダーの収益は
消防士さんたちへの大事な基金になります。

なので、ここまで〈売る、買う〉と
書いてきましたが、
〈売る、買う〉ではなく
《寄付をする》というのが正しい
表現かもしれません。

消防士さんたちのお給料は
そのハードな仕事内容、そして
命をかけたリスクある業務であるにも
関わらず、

月に1200€(約15万6000円)程度と
正直高いとは言えません。

また例え業務中に命を落としても
家族に支払われる保証はありません。

そして彼らは寄付を呼びかけることも
できないのです。

そのため、年に一度、
彼らはカレンダーを売り、
私たちは彼らに自分が払えるだけの
寄付をすることができるのです。

つまりカレンダーに価格は
付いていません。

2€(260円)でも、
100€(1万3000円)でも
自分の思う金額で買うこと(寄付することが)
ができます。

このお金は、消防士が業務で亡くなった時
家族に支払われる基金のお金になります。

年末の消防士カレンダーの購入は
彼らの社会奉仕に感謝する
パリの伝統となっているのです。

アメリカの消防士カレンダーが
どのような目的かは分かりませんが
パリの消防士カレンダーは
そのような市民と消防士を結ぶ
大切なものとなっているのは間違いありません。

寄付文化が根付いている
フランスらしい
とても温かみのあるカレンダーだなと
思いました。

それでは今日はこの辺りで!
では!