パリで登れる「ゴルゴタの丘」 | 西方見聞録(旧パリレポート)

西方見聞録(旧パリレポート)

2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

パリの観光名所と言えば、
エッフェル塔や凱旋門などが有名ですが、
パリ北部にある丘、
〈モンマルトルの丘〉も有名。

“モンマルトル”は
19世紀(1800年代)後半、
オスマン男爵によるパリ改造によって
パリから追い出された多くの人々が住み着き、

また、そんな作られた街ではなく
まだ残る農村風景を求めて
ピカソ、コクトー、マティス、
ゴッホなど、
多くの芸術家が集まり彼らの活動拠点にも。

さらに、元々は修道女たちが
ワインを作っていた土地でもあり、
モンマルトルは当時パリ市内ではなかったので
パリの税金や規制が適用されず、

1800年代後半から
パリ市民が集まる一大飲屋街だったわけです。

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しかし、
第一次世界大戦(1914〜18年)を前後して
宅地化が進み、

多くの芸術家はマンパルナス(パリの南)に
移っていきました。

が、
第一次世界大戦後、
世界一のお金持ちになったアメリカで
禁酒法が制定されると(1920〜33年)、
富裕層たちは歓楽を求め
パリにやってきて、

そんな彼らが押し寄せたのが
モンマルトル。

彼らアメリカ人が持ち込んだ
巨万の富が毎夜
モンマルトルのキャバレーや売春宿に
注ぎ込まれ、

モンマルトルは
黄金の1920年代を謳歌。

絶頂を迎えました。

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ところが1929年のブラックマンデーで
ニューヨーク市場の株が暴落。
世界恐慌となって
アメリカ人が帰ってしまうと、
モンマルトルの絶頂も終了。

モンマルトルの栄光は
終わりを告げたわけです。

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モンマルトルは
東京で言えば”浅草”的な存在でしょうか。

映画「アメリ」の舞台としても
有名です!

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と、前置きがえらい長くなりましたが、
そんなモンマルトル、

パリ市内から行くには
地下鉄12番線の〈アベス駅〉を
利用する人が多いと思いますが、
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Abbesses、アベス駅

なぜ〈アベス〉という名かというと、
モンマルトルに女子修道院が建っているから。

〈アベス〉は〈Abbesses〉と書きますが
それは〈女子修道院〉という意味。
※〈修道院〉は〈Abbaye(アベイ)〉

現在のモンマルトルの象徴は
サクレクール寺院ですが、
1914年にできたものなので
実はかなり最近の建物。

そのサクレクールができる以前から
モンマルトルに建っていたのが
前述した女子修道院(Abbesses、アベス)で
これが駅名となっているわけです。
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正面の低い三角屋根の建物が、女子修道院です。870年の歴史があります。奥の高い建物はサクレクール

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左の建物は、現在も修道女が生活している修道院。サクレクールの裏にあります


このアベス駅からモンマルトルの丘を登ると、
途中で〈カルヴェール通り〉を通ります。
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カルヴェール通りの看板です

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〈カルヴェール通り〉

〈カルヴェール通り〉は
モンマルトルの人気スポット、
「テルトル広場」に続く道ですが、
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パリの人気スポット「テルトル広場」。夜なので誰もいません、、、

実はこの〈カルヴェール通り〉の
“カルヴェール”、どういう意味かというと
「受難」という意味。

さらに言うと、
“カルヴェール”だけで
イエス・キリストが磔にされた
「ゴルゴタの丘」という意味があり、
(「ゴルゴタの丘」は「カルヴァリオの丘」とも言います)

つまりは、
〈カルヴェール通り〉は
「ゴルゴタの丘通り」というわけです。

そして、何が言いたいかと言うと、
前述のアベス駅から
モンマルトルの丘を登るには、

〈カルヴェール通り〉にある
長い階段を登る必要があり、
これを登ると、
エルサレムにある
「ヴィア・ドロローサ」を歩いたことになる
というのです。
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この階段です

「ヴィア・ドロローサ」とは
イエスが十字架を背負って
ゴルゴタの丘まで歩いた道。

ここを登っただけで
エルサレムに巡礼するのと
同じご利益がある、

とまでは言ってませんでしたが、
まー、そんな感じのことを
フランス人の友人が言ってました。

ほんまかいなねー


イメージとしては
富士塚みたいなものでしょうか。

登っただけで
行ったことと同じご利益がある、

この考え方、
世界のあるあるなんでしょうかねー。

※これは私の私見ですが、モンマルトルはそもそもパリの聖人サン=ドニが殉教した場所なので、それでそこに通じる道「受難の道」となったのかもしれませんね(^^)

と、長くなりましたが、
本日は以上です!

では!