フランスは日本の比ではない超学歴社会 | 西方見聞録(旧パリレポート)

西方見聞録(旧パリレポート)

2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

8月18日(火)
天気:朝夜は秋の寒さ

語学学校12日目(3週目)。
今日のテーマは、
時間の読み方と、
pouvoir、devoir、vouloir 
(can must want)
の使い方、活用。

相変わらず聞き取りは
全くでしたが、
授業にはギリギリで
ついていけました。
・・・・・・・・・・・・
ところで
私が通っている語学学校は
カルチェラタンという
地区の近くにあります。

カルチェラタンは
パリの真ん中の
シテ島から、
南に歩いて5~10分ぐらい
のところです。

カルチェとは
「地区」、
ラタンとは
「ラテン」のこと。

カルチェラタンは
古くから大学がある地区で、
かつて大学ではラテン語(ローマ語)が
使われていたため、
そのように呼ばれています。

そして、カルチェラタンには
世界的に有名なパリ大学が
あります。
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名前からして、名門っぽいです

パリ大学は
1150年に設立された
中世の大学で最も古い
大学のひとつ。

日本でいう
平安時代から
続く大学です。

かの有名なキューリー夫人も、
『レ・ミゼラブル』の作家
ヴィクトル・ユーゴも
サルコジ元大統領も
ここの卒業生です。

世界大学ランキングでも
上位に来ることもありますし、
さぞかし難関大学と思いきや、
実はバカロレア(統一国家試験)
さえ受かれば、誰でも入れます。

フランスの大学は
このバカロレアさえ受かれば、
希望する大学に入れる仕組み。
なので、日本のように
大学入試の受験戦争は
あまりないのです。

なーんだ、フランス人は
受験戦争がなくて
楽だな、
なんて思う方もいるかも
知れませんが、

実はフランスの
学歴主義は日本の比では
ありません。

フランスは
度を超えるほどの
学歴社会。

え? だって大学は
どこでも入れるのでは?

大学は入れます。

しかし、受験戦争は
大学入試ではなく、
「グランゼコール」への
進学で熾烈を極めるのです。

「グランゼコール」とは
各分野の幹部層育成
高等教育機関。

高校卒業後(バカロレアを高得点で習得後)
厳しい選抜を勝ち抜いたものだけが
入れる準備学校に入り、
日の光を見ることなく勉強。

落第せずに
2年間を送れたものだけが、
晴れてグランゼコールを
受ける資格を得、
希望のグランゼコールを受験。
(グランゼコールは国内に200校ほどある)

そのグランゼコールの中でも、
特に名門の
エコール・ポリテクニーク、
パリ国立高等鉱業学校、
高等電気学校などに
入るためには、
日本の大学受験の比ではない
極めてハイレベルな
厳しい競争を勝ち抜かなければ
ならないのです。
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カルチェラタンにあるエコール・ポリテクニークの旧校舎跡。いまはパリ郊外に移転

しかし、
その名門校に入学することができれば、
(グランゼコールは少数精鋭)
日本のようにせかせか就職活動に
勤しまなくても、
高待遇でどこにでも就職できてしまう。

日本の国家公務員一種の
ようなもので、
入社したら
数年後には幹部候補。
そのまま特に優れた業績がなくても
出世街道を爆進していく
というシステムなのです。

そのため、フランス社会で
いい生活を送るには
どこのグランゼコールに入るか、
が非常に大事なことなのです。

日本でもどこの大学を
卒業したかが就職に大きく
関わってきますが、
入社後は多くの場合
仕事の実力が出世に
大きく関係してくると思います。

そこがフランスと違うところ
なのかもしれません。


そう言えば、
渡仏前に旅行で屋久島に
行ったのですが、
鹿児島からのフェリーの
タコ部屋で
「ヤクシマニイキマスカ?」
と話しかけて来た
となりに座っていた
外国の旅行者がいて、

彼はフランス人で
今は東京で働いている。
住んでいるところは、
自分の家から車で20分のところ。
さらに、奥さんの仕事関係の
会社に勤めている。

と判明し、
かなりフェリーで盛り上がって、
さらに屋久島でも再会。

東京に帰ってきて、
また再会するなど
親交を深めましたが、

フェイスブック友達になって
プロフィールのところを見ると、
なんとグランゼコールの超名門出。

しかし、そんな
雰囲気は全くなく、
本当にいい人。

赴任している日本を
旅しまくっていて、
どこかのんびりとした印象。

実に楽しそうな人生だなと
感じたものです。

フランス人の
本当のエリートは
出世競争に縛られないので、
ゆっくり人生を
謳歌できるのかもしれません。