女の子は お母さんに内緒で 恋みくじをひく
~合格祈願と恋愛成就~
>恋みくじ、ください。
女の子は、小さな声でそう言うと、
握りしめていた300円を、差し出しました。
>お母さんにも、誰にも、見せたらダメよ。
おみくじをひいて、
こっくりと、うなずくと、
女の子は、社殿のほうに走っていきました。
**********
お母さんと女の子が、
神社社務所の外カウンターのところから、お守りを眺めています。
声をかけると、
合格祈願のお守りを探していました。
中学受験のようです。
女の子は、お母さんに合格守りを買ってもらったのでした。
>金運みくじがあるよ、ひいてみる?
お母さんは、女の子にそう話しかけました。
女の子は、笑っているだけです。
そのほかにも、恋みくじ、開運みくじ、子供みくじ、
そして社殿のところに普通のおみくじがあります。
>お母さん、普通のおみくじ、ひいてくるね。
お母さんは、社殿のほうに歩いていきました。
女の子は、社務所のカウンターのところに立ち止まったままです。
そして、お母さんが社殿でおみくじをひいている後ろ姿を確認すると、
恋みくじください、と言ったのでした。
**********
中学受験のお守りは、お母さんと一緒でもいいけれど、
恋みくじをひくのは、お母さんにも内緒のようです。
誰かを好きになる、というのは、
親から自立していくきっかけになるのかもしれないなぁ、と思いました。
もちろん、
恋愛相談を親にする場合もあるでしょうけれど、
なんとなく親には言わない、という場合も多いように思います。
子供のほうは、親から少し離れていきますが、
親のほうは、心配でたまらないだろうと思います。
こんな場面でも、
親が子離れするほうが大変なのかもしれないなぁ、と、
維摩会 春秋館でお聞きした御話しを思い出したのでした。
**********
社殿からの帰り道、
お母さんと連れ立った女の子は、
社務所のほうを見て、
ニッコリとほほ笑んで、お辞儀をしていったのでした。
受験も、そして好きな人との仲も、
うまくいきますように、と願ったのでした。
