拝啓。
未だ春には程遠い。貴方は元気にしているだろうか。この手紙が無事貴方に届いたなら嬉しい。
僕はいま、「人生の夏休み」とも呼ばれる大学生活を送っている。つまり僕は高校生からも社会人からも羨まれる大学生だ。まあ、大志を持つ学生ならば意味も大いにあるだろう学生生活も、流れに身を任せて生きる僕などでは四年を費やしても実りの一つだって見つけられはしないだろう。
さて、つまらぬ身の上を語ったところで面白い事など無い。本題に入ろうか。
何故この度僕が手紙を書くに至ったかと言えば、まあ何、深い意味は期待してくれるな。ただ手紙を題材にした小説を手に取り、楽しげに手紙を綴っているのであろう主人公が羨ましくなっただけのこと。だからこの手紙には意味は無いし、返事なども期待していない。ちょっとした時間に目を通してくれたならば、それだけで僥倖だ。
だからこれから時間がある時は、ちょっとだけでいい、僕に時間を呉れないか。
匆々頓首
葱野 寛