どちらもウィーン差出しのパリ宛ですが、スイス経由とドイツ経由です。
<上>
・「書留印」左側の楕円形のウィーンの書留印「Recommandiert」が綺麗です。右上には同じく書留印の「Chargé」。
・同じ書留でも、「Recommandiert」便と「Chargé」便とは違うようなので、今後、要調査です。ここでは両方押されています。
・受取人の支払い料金は「46」デシーム。「4」が特徴的な書き方です。
46の内訳を推測すると、以下のようになります。
→スイス通過料(7)+フランス国内料金(スイス国境のユナング→パリ)(8)=15
→重量便なので1.5倍→15✖️1.5=22.5。切り上げて、23
→書留なので2倍→23✖️46
<下>
・1844年に差し出されたこちらは、全額差出人支払いです。
・斜線が両方から書かれていて、消印も「PD」(Paid to Destination),「A.E.D.(=Affrancié à l'étranger jusqu'à destination」と示唆しています。
・1843年にオーストリア・フランス郵便協定が改正されているので、このタイミングで、差出人と受取人との折半ではなくて、差出人が全額支払う制度が導入されています。
・その後も、長い間、差出人と受取人との折半によるものも残ります。(※1)
・オーストリアからフランス宛は、スイス経由(=ユナングからフランスに入る)が圧倒的ですが、この手紙は、ドイツ国境のフォルバッハからフランスに入っています。
・上下2通とも、ウィーンからパリに宛てた郵便なのに、なぜ全てスイス経由ではないのか? (※2)
※1、2:こういった制度や郵便経路の変遷に詳しくなっていきたいです。