オーストリア→フランス(1836年書留便スイス経由、1844年ドイツ経由)(第4回/全16回) | Letters-and-Stamps

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主に100年〜200年前のヨーロッパの封書を集めています。収集家の方に限らず、歴史好きな方に気軽にコメントいただけた嬉しいです。

 

どちらもウィーン差出しのパリ宛ですが、スイス経由とドイツ経由です。

 

<上>

・「書留印」左側の楕円形のウィーンの書留印「Recommandiert」が綺麗です。右上には同じく書留印の「Chargé」。
・同じ書留でも、「Recommandiert」便と「Chargé」便とは違うようなので、今後、要調査です。ここでは両方押されています。
・受取人の支払い料金は「46」デシーム。「4」が特徴的な書き方です。

 46の内訳を推測すると、以下のようになります。

 →スイス通過料(7)+フランス国内料金(スイス国境のユナング→パリ)(8)=15
 →重量便なので1.5倍→15✖️1.5=22.5。切り上げて、23

 →書留なので2倍→23✖️46

 

<下>

・1844年に差し出されたこちらは、全額差出人支払いです。

・斜線が両方から書かれていて、消印も「PD」(Paid to Destination),「A.E.D.(=Affrancié à l'étranger jusqu'à destination」と示唆しています。

・1843年にオーストリア・フランス郵便協定が改正されているので、このタイミングで、差出人と受取人との折半ではなくて、差出人が全額支払う制度が導入されています。

・その後も、長い間、差出人と受取人との折半によるものも残ります。(※1)
・オーストリアからフランス宛は、スイス経由(=ユナングからフランスに入る)が圧倒的ですが、この手紙は、ドイツ国境のフォルバッハからフランスに入っています。

・上下2通とも、ウィーンからパリに宛てた郵便なのに、なぜ全てスイス経由ではないのか? (※2)

 

※1、2:こういった制度や郵便経路の変遷に詳しくなっていきたいです。