すぐに馴染めた理由はいろいろある。


私の性格もあるんだけど、他にも幸運はあって。


最大の要因は、広瀬さんと仲が良かったこと。


しかも席が隣で、仕事もいろいろ見てもらっていた。


顔が広い広瀬さんには、多くの人が話しかけに来る。


ついでに私にも話しかけてくれることがしょっちゅうだった。



次に、プロジェクトのトップ&ナンバー2と知り合いだった。


主導する部署は、別の部署だから、本来は知らなくて当然なのに


これもなかなかラッキーだったの。


トップは、1年目に会議でご一緒したことがあるという薄いつながり。


でも、あるとないとでは大きく違うよね。


そして、ナンバー2は、年は上ながら、友達みたいな存在だった。


諸事情あって、数人で何度も一緒に飲んだことがある。


飲むと、大抵みんなでバカなことして笑ってた。


たぶん、向こうは、相当やりづらかったと思われます。笑


最初は意識するあまり、微妙に冷たくされたよ~。


すぐにお互い、オンオフの切り替えに慣れたけどね。



そして、このプロジェクト、女性が異様に少なかったの。


レギュラー関係者は少なくとも60人くらいいたと思うんだけど、


女性は当初、6人しかいなかった。その後もあまり増えなかった。


結果として、こちらはよく知らない人にも、認知されていた。


そりゃそーだよね。


そして、いろいろな人と仲良くなりやすいのもまた当然。


私は話しかけやすいタイプみたいだからね。




そんなわけで、当初はアウェイだったけど、わりとすぐにホームに。


仕事は最初から結構忙しかったけど、それなりに充実していた。




私が別のビルに勤務する少し前のこと。


「あーまた微妙な仕事をふられてしまった・・・」


「いいじゃないですか、お仕事頑張れば☆」


「嫌いなんだよね」


「は?なにが?」


「仕事頑張るとか、そーゆーの嫌い」


「えっ、、そんな、私みたいなこと言っちゃっていいんですか。。」


「俺は相手を選んでるからいいの」


「私も選んでますよ☆」


「それって俺は選ばれたわけ?」


「ハイ☆」


「ふーんそうなんだー」


相変わらず、気楽な会話。


麻生さんは、すっかり私を仕事の愚痴要員としていた。笑




9月に入ってすぐ、私を含めプロジェクト参加者は、別のビルに


行くことになった。


部署の席は残るけど、めったに戻らないことが予想された。


最初はすごく憂鬱だった。


麻生さんがいないからというより、環境が変わったから。


でも、すぐに馴染んだ。




彼氏にふられて以降、麻生さんへの気持ちはすっかり飛んでいた。


それどころではない、という感じ。


「髪が短くなってる~」


「君が長い方が好きって言うならのばすよ」


みたいな、かなりラブラブな会話はあるんだけどね。


前と同じように嬉しいけれど、その感情に構う余裕がなかった。


別のビルに勤務することになるので、麻生さんには会えなくなる。


それはさすがに悲しかったけれど、前だったらもっと嘆いていたかな。


体制上はまだ麻生さんの部下な私。


でも、もはや完全に形だけだった。




ちなみに、麻生さんの部下は私だけではなく、他にも先輩がいた。


その先輩は、3つ上で、イケメンで性格も良かった。既婚だけど。


それはともかく、その先輩は麻生さんがやることになった別の仕事を


一緒にやるみたいだった。


今思えば、なんで先輩が残って、私があのプロジェクトに行ったの?


謎だ。


どっちでも良かったような。。


というか、あんな大変なプロジェクト、先輩が行くべきじゃ。。


私の方が、そのプロジェクトに若干近い仕事をしたことがあったから?


結果的には、ぜんっぜん関係なかったけどね。




超大規模プロジェクト。


ただでさえ規模の大きい仕事なのに、スケジュールが厳しいから、


相当な人数を必要としているようだった。


徹底した管理、効率の良い仕事をしないと、終わらないと言われていた。


というか、無謀だというのが巷の評価だった。


しかし、社運をかけて、何が何でもやり、成功させなければならない、


というのが、上の考えらしい。


だから、お金はいくら使っても構わないとまで言われていた。




8月のお盆前、まず、麻生さんとやる予定だった仕事が正式に消えた。


そして、お盆明け、大規模プロジェクトへの参加が決まった。


うちの部署から10人近くの人が、フル参加することになった。


そのメンバーは、事実上の一時異動。


9月には全員、別のビルに席が作られて、そっちに行くことも決定。


部長は「適材適所、最適な人材を自信を持って出している」とか


会議で言ってたけど、余った人を適当に出しただけでは。。


でも、確かに広瀬さんはじめ、何人かは優秀と名高い人だった。


若手は3人。


私、私の同期で同じ課の男の子、1つ上の男の先輩。


同期の男の子は超仲良しだったし、先輩も同期以外の若手では


一番仲良くしている人だったので、結構ラッキー。


大変なプロジェクトとはわかってたけど、ようやく先行きが決まって


すごくすごくほっとした。




彼氏に別れを告げられてから、1週間。


さすがに、会社で泣くようなことはなくなった。


見かけ上は、一応平静を取り戻した。


本当の意味で立ち直るには半年近くを要するんだけどね。。




相変わらず、仕事の方は微妙な状況だった。


まだ確定ではない、でも、白紙に戻るのはほぼ確実な状態。


麻生さんは、別の仕事をし始めるようだった。


私はどうなるんだろう?と、不安だった。


麻生さんのこと好きとかどうとか、吹っ飛んでいた。




そこへ、思わぬ方向から、話がきた。


広瀬さん。


この頃、超大規模プロジェクトの話が、他部署からきていたの。


うちの部署は、この年、うまくいってない仕事が多くて、


私のような立場の人が他にもいた。


その状況と、そのプロジェクトに一枚噛みたいという部長らの思惑。


これが重なって、何人か人を出そうという話が上がっていた。


うちの部署側の取りまとめが、広瀬さんだった。


広瀬さんは、仕事もできるし、話をもってきた部署をはじめとして


各方面に顔がきく。信頼も厚い。


そして、その広瀬さんから、プロジェクトの仕事を頼まれた。


広瀬さんと一緒に仕事をするのは初めてだったけど、


仕事しやすいと感じた。これまで感じたことのない気持ち。


まだ準備段階で、うちから人を出す正式な決定は出てなかったけど


やるなら、私はメンバーになるようだった。