ハッと木陰のベンチで目を覚ました。あれこれ考えた後にひと休みしようとベンチに寝転んだらそのまま寝てしまっていた。


日も暮れて絵の具で赤と青を混ぜた色の空に変わっていた。来た道をなぞるように駅の方角へ向かった。会社帰りの全身カラス色のサラリーマンやOLがゾロゾロと逆方向へ歩いてゆく。



「タケダさんどこの店行きます?この間は鶏メインだったので、モツとかどうですか」と部下らしき男が上司に話しかけた横をすれ違う。


人間って鶏食ってんだよな。あ、モツってことは彼らは豚か牛も食うのか。生きていくには食うものが必要で、毎日同じ食べ物だと飽きる。


だから人間は割とエビ、カニ、魚、鶏、牛、豚、ワニ、カエルと何でも食う。その色んな種類の食い物を食べたいがために人生の半分を捧げて長時間働くのか。


それ以外にも趣味や娯楽、セックス、遊び、車、釣り、スポーツ、ライブのためとか色々あるんだろう。それでもこれらの時間は働く時間に比べれば一瞬。


僕たちはこの一瞬の欲のために生きているのだろうか。欲というのは長時間続くことはない。


と考えていると無欲のオジさんが頭の上に浮かんだ。あの昼のオジさんは何のために生きてるんだ?楽しいのかな。



いや、そもそもそんな欲、理由、考えすら縛るものがないのかもしれない。猫よりも自由なのかもしれない。


自由は何も縛るものがないかもしれない。けど、無人島に1人で生きているような孤独にも感じた。


何からも制限されないし、体裁を気にする必要もない。言葉すら必要ないのかもしれない。人間は人間でも空気のような存在。



この世界から空気がなくなっても、元々みえないから誰も気にも止めない。独りで感情を表現しても、帰ってくるのは自然の音だけ…。


それでもその道へ自ら進む人、仕方なくその道へ余儀なくされた人はいる。こうした人工的な社会とは正反対も生きてるって証なんだ。