さて今夜はどこに泊まるか。とりあえずシャワーを浴びたいので簡易ホテルを探したが素泊まりとなるとほぼ満室。たとえ空いていても料金がはる。
外で公園のベンチで寝るのも開放感があって選択肢にあったが、なんせ昼間の干からびる熱さで、汗が乾いて皮膚がお湯を求めているのだ。
光が目にレーザービームを送るように眩しい繁華街に辿り着いた。夜なのか疑うほどに明るかった。
スポットライトが自分を眩しいくらいに照らし「君の人生の主役は君だ!」と鼓舞されたみたいだった。
暗い方向へ移動しても移動しても追いかけてくる光が鬱陶しかった。
「世間の常識、価値観、考え方がみんな同じことが素晴らしい。だから、個性を無くして、この路線を歩いていけ!」と、全てを否定され大勢に寝技を決められている感覚に陥った。
そんなどこまでも追いかけてくる避けられない光に目を細めながら「〜ネットカフェ24時間営業中〜シャワー有り」とデカデカと書いてある看板が目に入った。
あ、ここでいーや!この場所で過ごすことに即決めた。どこにネカフェがあるのか分からないような建物のエレベーターに乗り込む。
「二階です。扉が開きます」の合図で扉が開いて二歩歩くと自動ドアが開いた。
「ら…っしゃ…せ…。」と全ての音を聞き取れないトーンの声。エレベーターの録音されたアナウンスの方が感情があると思えた。
「時間…ど…しま…か?」とボソボソっとした質問に「朝までだとどのプランが安いですか?」と質問返し。
「こち…の…プラ…すね。」と答えたので「じゃそれでお願いします」と機械と話しているようだった。
「おタバコは…お…か?」と聞かれハッキリ喋れよと心で呟きながらも「いえ吸わないです」と最後は"あえて"ハッキリと言葉を発した。
ブースの番号のついた伝票を受け取り「ガラガラッ」と扉を開けた。まずは、シャワーを浴びたかったので、フロントに行き鍵を受け取った。
どうやら30分という時間制限はあるものの無料らしい。蛇口を40℃へひねり綺麗好きの皮膚を濡らした。