ご訪問くださいまして、

有り難うございます。

 

れっつごうです(^^)

 

寒暖差の激しい日が続きます。

皆さま、どうか

体調にはお気を付けくださいね。

 

 

早稲田大学文学学術院教授

石田光規先生の新書本、

 

「人それぞれ」がさみしい

 

 

から、

私が印象に残ったところを、

紹介・解説しています。

 

今回で最終回です(^^;

 

この本は、

サブタイトルで

「やさしく・冷たい」人間関係

とあるように、

 

個々の違いを尊重する

一方で、

 

どこか、

さびしさを感じる人間関係について

述べられているのですが、

 

いつくかの興味深い

キーワードがあります。

 

その一つが、

「迷惑センサー」

です。

 

 

「人それぞれの社会」

で特徴的なのは、

 

「人それぞれ」の行為を

「社会への迷惑」

というセンサーで監視する

システムを作り上げたことです。

 

 

なぜこうなったかというと、

 

かつての血縁や地縁で

協力しあう社会から、

 

お金を使うことで得られる

商品・サービスと、

行政の社会保障にゆだねる社会に、

変化したからだといいます。

 

 

自らお金を稼いで、

そのお金を使うことで

生活を維持する社会では、

誰かに頼ることが

難しくなります。

 

というのも、

誰かに頼る行為は、

お金を稼ぐ努力の放棄や

怠慢を意味するからです。

 

つまり、

誰かの手を煩わせると

いうことは、

本人の怠慢や努力不足による

「迷惑」となってしまうのです。

 

社会や他人に

迷惑をかけた人は、

激しく攻撃されます。

 

さまざまな行為を

「人それぞれ」

と容認する社会は

 

「迷惑」というセンサーで

個々人を監視する

社会でもあるのです。

 

 

なるほど。

 

たしかに、

「人それぞれ」

という、

自由を容認するように

なった一方で、

 

その分、

人に「迷惑」をかけることには、

とても敏感な世の中に

なったような気がします。

 

たとえば、

本書には、

コロナ禍の「自粛警察」や、

芸能人の不倫の「謝罪会見」について、

述べられていますが、

 

特に「謝罪会見」は、

別に私たちに

直接迷惑をかけたわけではないのに、

何故、そこまで謝る必要があるのか

と思います。

 

世間様をお騒がせしたことを

お詫びしているようですが、

不倫はあくまで、

個人的なことのような気がします。

 

 

「コスパ化する人間関係」

というキーワードも

印象的です。

 

 

最近の大学生のなかには、

自らの友人関係を

「コスパで選ぶ」

と堂々と話す人もいます。

 

つまり、

コストに見合った

パフォーマンスを発揮できる人

とのみ付き合うということです。

 

とても合理的な

考え方です。

 

 

う~ん、

 

私も、今の物価高のご時世、

モノやサービスを買う時は、

たしかにコスパを意識しますが、

 

人間関係では、

さすがに、

それはしないかなあ~。

 

いや・・・

まったくないとは

言い切れない、か(^^;

 

 

「自らにとって

よい要素をもつ人を選択する」

という原理を

徹底させれば、

 

「コスパ」

という言葉に行く着くのも

うなずけます。

 

しかし、

人間関係のコスパ化が

進んだ社会では、

 

自らも

コストと見なされてしまう

リスクを絶えず背負うこと、

 

誰かがコストとして

切り離されていることを

忘れてほしくないものです。

 

 

そうなんです。

 

「コスパ化する人間関係」

というのは、

 

自らも査定され、

コストと見なされてしまう

リスクを背負うことになるのです(^^;

 

これは、

会社や組織の中では、

やむを得ない考え方かも知れませんが、

近年は、特に顕著になってきたような

気がします。

 

ましてや、

それ以外の人間関係でも・・・

 

今の何か息苦しい世界というのは、

こういうところからも

きているのかもしれません。

 

 

「コスパ」の論理は、

自らの居場所を

削るばかりではなく、

もうひとつの

重大かつ単純な

事実を見えづらく

してしまいます。

 

「人にはプラスの面も

マイナスの面もある」

というごく当たり前の事実です。

 

(中略)

 

そもそも、

人がもつ

マイナスの部分もなくして、

人間関係を最適化することなど

できるのでしょうか。

 

私はできるとは思いません。

 

私は、

期待通りにいくこと、

期待にそぐわないこともふくめて

ともにすごしていく、

 

というのが

人づきあいの基本であり

本質だと思っています。

 

 

そうですね・・・

 

 

期待にそぐわないことがあっても

ともにすごしてゆける社会は、

 

「コスパ」の論理が

徹底された場とは反対に、

 

人を「コスト」として

容易に切り捨てない社会と

言い換えることも

できるからです。

 

つながる相手を選び

最適化できると考える

「人それぞれの社会」では、

その発想が

あまりにも欠けています。

 

 

「人にはプラスの面も

マイナスの面もある」

 

それは、

相手もそうですが、

 

もちろん、

自分自身だって

ご多分に漏れません(^^;

 

 

迷惑をかけないよう、

あるいは、

場の空気を乱さないよう

自らを律することのできる人は

たしかに立派です。

 

しかし、

それと同時に、

おたがいに迷惑をかけつつも、

それを笑って受け容れられる

つながりも、

 

同じくらい大事だと思いますし、

私は、後者のほうに

居心地のよさを感じます。

 

このようなつながりは、

おたがいが相手のもつ

異質さを受け容れることによって

初めて得られるものです。

 

 

「おたがいが相手のもつ

異質さを受け容れる」

 

では、そのためには、

 

相手の「異質さ」を受け容れるためには、

どうすればよいのか?

 

私は、まずは、

自分の中にある「異質さ」を

受け容れることだと思います。

 

「異質さ」というのは、

コスパとは対極にあるような、

マイナス的なこと、

 

非効率なものや、

醜いもの、

おもしろくないものを、

含むと考えますが、

 

遠藤周作さんの、

「私のイエス」

という本に、

 

(この本、過去ブログで紹介しました。

よかったらご参照ください)

 

フランスの小説家、

フローベルの短編が、

紹介されています。

 

引用します。

 

 

冬の寒い日に

聖人が道を歩いていた。

 

すると、そこに

らい病を患った乞食がいた。

 

寒いので、

その乞食は聖人に、

あなたのマントをくれと言った。

 

聖人がマントを与えると、

その乞食は服もくれと言う。

 

服をやると、

今度は下着もくれというわけで、

聖人はとうとう

裸になってしまったのです。

 

ところが、

そのらい病を患った乞食は、

それでも寒いと言って、

おまえの体で温めてくれと

要求する。

 

そこで、

聖人が抱きしめてやると、

 

もっと強く抱きしめい、

もっと強く抱きしめい、

と言い出した。

 

聖人が強く強く抱きしめていると、

その乞食が、

いつの間にか変じて、

 

(光り輝く)

イエスになった、

というのです。

 

 

私はこの話を読んで、

 

「いい話だなあ~」

と思いましたが、

 

たんなる、

いい話ではないんですね。

 

遠藤周作さんいわく、

深い意味がありまして、

 

この「らい病」というのは、

じつは、

 

「私たちの人生そのもの」

 

を指すのです。

 

 

人生というのは、

膿が出たり汚らしいことが多く、

もともと

らい病みたいなものなのです。

 

その汚いものを

棄てずに抱きしめておけ、

 

そうすれば、

それが光を放つもの、

イエスというもの、

 

イエスというのは

愛ということですから、

愛というものになりますよ、

 

とこの短編は

教えているのです。

 

 

私たちは、

人生における、

ネガティブなことを、

つい否定したり、

抑圧したりします。

 

そして、

自分の中にあるそれらを、

ないものとして、

他人に投影したりします。

 

それが、

対立や分断を生み出す一因に

なったりもする。

 

そうではなく、

 

まずは、

自分の中にある、

醜いものや、

おもしろくないものも、

拒絶することなく、

 

抱きしめる。

 

受け容れる。

 

それが、

「異質な他者」

を受け容れることにもつながり、

 

ひいては、

「人それぞれ」という社会の、

冷たい側面を照らす、

あたたかい光になるのではないか。

 

そんなことを考えました(^^;

 

 

 

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以上、

4回にわたって、

石田光規先生の新書本、

 

「人それぞれ」がさみしい

 

 

から、

私の印象に残った箇所を、

紹介・解説してきました。

 

やさしいようで、

どこか冷たい、

現代の「人間関係」について、

 

見つめ直してみるには、

とても示唆に富んだ本だと思います。

 

おすすめします😊

 

 

 

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今回も最後までお読みくださいまして、

有り難うございました(^^)

 

次回は別の本を、紹介します。

 

 

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おまけ写真集(^^;

 

ちょっと前ですが、

神奈川県の、

高取山・仏果山にいきました。

 

先日、雪が降ったので、

まだ残っているかな~

と思ったら・・・

 

 

 

中腹付近から、

ばっちり残ってました(^^;

 

 

 

うおっ~。

アイゼン買っておいてよかった(^^;

 

 

 

着いた!高取山山頂。

 

 

 

山頂の塔から、

宮ケ瀬湖を見下ろす。

 

 

 

東京?方面。

(遥か彼方に高層ビル群が)

 

 

 

続いて、

仏果山山頂!

 

仏さまが、

雪に埋もれてました(^^;

 

 

 

関東平野は広い!

 

冬は空気が澄みきっていて、

遠くまで見えます!

 

 

 

丹沢の山並み。

 

おかげさまで、

大自然の雄大さを味わえました!

 

 

 

 

気が向いたときに、

ぶらっと出かけることのできる相棒、

有り難う!

 

 

 

相棒?

 

オイラも忘れんなよ😸

 

(冬の定位置、エアコンの下)