ご訪問くださいまして、
有り難うございます。
れっつごうです(^^)
臨床心理学のレジェンド、
河合隼雄さんの著書、
を紹介しています。
この本は、
「中年危機」に関する小説、
夏目漱石「門」
山田太一「異人たちとの夏」
広津和郎「神経症時代」
大江健三郎「人生の親戚」
安倍公房「砂の女」
円地文子「妖」
中村真一郎「恋の泉」
佐藤愛子「凪の光景」
谷崎潤一郎「蘆刈」
本間洋平「家族ゲーム」
志賀直哉「転生」
夏目漱石「道草」
を河合隼雄さんがそれぞれ取り上げて、
心理学的なメスを入れるといった、
中年の当事者としては、
捨て置けない内容の本なのですが(^^;
ネタバレしない程度に、
私の印象に残ったところを、
引用させていただきたいと思います。
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1話目の、
夏目漱石「門」は、
「人生の四季」がテーマになっています。
小説の終わり部分ですが、
冬が終わると春が来るように、
氷が自然にとけていくように、
中年の危機を乗り越え、
それが解消したかに見えた夫婦・・・
妻が夫にこう言います。
「本当に有難いわね。
漸(ようや)くの事
春になって」
しかし、
夫は・・・
「うん、然し又じき
冬になるよ」
ようやく春が来たのに、
また冬が来る・・・?
そんな殺生な(^^;
以下、
河合隼雄さんの解説です。
これが
「門」の終わりである。
「冬来りなば、春遠からじ」
という言葉がある。
これは
若者の言葉だろう。
中年は
「春来りなば、冬遠からじ」
と思うのである。
寒い冬も耐えていると
春が来る。
そして、
やがて夏の盛りを
迎えるのだ。
というように
順序立てて、
自分をつくりあげてゆくのが、
人生の前半の仕事である。
しかし、
後半に向かってゆくときは、
「春来りなば、冬遠からじ」
なのだ。
「春来りなば、冬遠からじ」
とは、いったい、
どういうことなのでしょうか?
老後を示唆している
ということ・・・?
・・・私は、河合隼雄さんの別の本、
珠玉のエッセー集、
の中の、
「ふたつよいこと、さてないものよ」
という法則の話を想起しました。
から引用します。
「ふたつよいこと
さてないものよ」
というのは、
ひとつよいことがると、
ひとつ悪いことがあるとも
考えられる、
ということだ。
抜擢されたときは
同僚の妬みを買うだろう。
宝くじに当たると
たかりにくるのが
居るはずだ。
世の中なかなか
うまくできていて、
よいことずくめに
ならないように
仕組まれている。
なるほど・・・
この法則はまた、
ふたつわるいこと
さてないものよ
と言っていると
考えられる。
何かわるいこと
嫌なことがあるとき、
よく目をこらして見ると、
それに見合う
「よいこと」が
存在することが多い。
せっかく頑張って
仕事をしようと思ったときに
病気になる。
残念で仕方がない。
しかし、
考えて見ると、
それは「休息」が
与えられたのかも知れないし、
やりすぎに対する
警告かも知れない。
そうですね・・・
私は、30代のころ、
暴飲暴食?のため病気を患って、
今も完治はせず、
薬を飲み続けているのですが、
たしかに、
今考えると、
悪いことばかりでなく、
良い面もあったと思います。
お酒がそんなに飲めなくなったので、
その分、お金が貯まっただろうし(^^;
結婚しようという気持ちになったし(^^;
仕事以外の視野が広がったし、
心の学びを深める、
きっかけにもなっただろうし、
自分の体を気遣うようになったし、
万能感を手放して、
少し謙虚になれましたし・・・(^^;
人間の認知というものは、
どうしても歪んでしまうんですね。
どんなに理性的な人でも、
客観視しているつもりでも、
フラットに見ることは、
なかなかできない・・・
ですので、
「よいこと」「わるいこと」
が生じたと思ったら、
意識して「逆」を見るようにすると、
ちょうどいいのかもしれません。
「よいこと」「わるいこと」
はコインの裏表。
プラスの中には
マイナスが隠れていて、
マイナスの中には、
プラスが隠れています。
それを意識的に見つけることが、
バランスのとれた日々を過ごすことに、
繋がるような気がします。
ちなみに、この話、
過去ブログで取り上げておりました(^^;
(やはり、印象深かったんですね)
よかったら、ご参照ください。
・・・で、
夏目漱石「門」の
河合隼雄さんの解説に戻ります(^^;
「春来りなば、冬遠からじ」
の心境で生きていると、
冬の中に春を見たり、
春の中に冬を見たりすることも
可能になってくる。
春夏秋冬が
このように順番に
ゆっくりと交代して現れ、
春と夏や、
夏と秋などが
峻別できると思うのは、
若者の考えである。
冬のなかに
春を見ることが
上手になってこそ、
中年の次にやってくる
老年へと
スムーズに入って行ける。
人生の冬のなかに生きつつ、
そこに春夏秋冬を
見ることができるので、
老いが豊かに
なってくるのである。
(中略)
せっかくこの世に生まれてきて
春だけ楽しむのも、
もったいない話である。
春夏秋冬を
すべて味わうほうが
面白いのではなかろうか。
そうですね・・・
私たちがこの世に
生まれてきた「意味」は、
人生の「春夏秋冬」を
感じて味わうためではないかと
思います。
もちろん、
「冬」を体験している時には、
そんな余裕はなく、
「早く春よ来い!」
と考えてしまうのが人情ですが(^^;
たとえ
「冬」の中にいると感じても、
そこに
「春」を意識的に見出だす視点。
(逆もまたしかり)
大切にしていきたいです😊
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今回も最後までお読みくださいまして、
有り難うございました(^^)
次回へ続きます(^^;
宮音オヤジに、
愛用のストレスレスチェアを
取られました・・・
早くどいてくれ(^^;



