天国③ | ごっこ遊びdeキャラメイク☆ヒカリサス☆山本麻生(ヤマモトマイ)

ごっこ遊びdeキャラメイク☆ヒカリサス☆山本麻生(ヤマモトマイ)

成長するまでに封印したキャラをやりたいことに合わせてごっこ遊びで開放するキャラメイキングのお手伝い
漫画好き

リーダーの花絵が入ってくる。

年齢不詳の小柄な人だ。

挨拶の後に簡単な申し送りが終わると、
晴美達はそれぞれカートをひっさげ、倉庫に繰り出す。

無秩序に漫画の入った段ボールを崩し、
膨大に広がる本棚に区分けしていく。

本の状態や作者によって仕分けされ、
巻数がそろっているものは、
完結しているかどうか確かめてキープする。

倉庫は基本的に静かなので、しゃべりたくなったら、
リーダーのいる部屋に戻る。

最初に集まったこの部屋では、
段ボールから出した本を分別したり、
リーダーが検品して終わったものを
セットにするためパッケージしたりする。

検品から弾かれた漫画の中に見覚えのあるセットがあった。

「十二巻染みあり」と書かれた付箋が貼り付けてある。

晴美は、小さい付箋のついたページをめくり、変色した個所を見つけた。


―よく見つけたな…こんなの。


作業効率から考えて、
一ページ一ページ細かくみるわけにいかず、
ざっとめくって調べてるはずなのに、
花絵のチェックは本当に厳しい。

花絵を尊敬しなきゃと思いつつ、
めんどくささが混ざったなんとも言えない気持ちになる。

晴美はそのセットを自分のカートに乗せると、

倉庫に踵をかえした。

「あれ、もう戻るの?」

先に戻っていた貴子が声をかけてきた。

晴美は付箋のついた本を見せる。

「じゃ、これもついでに」

と貴子が自分のカートから、付箋のついたセットを移動してきた。

仕事はチーム制で、一日につぶす段ボールの数と、
完成セットの数がノルマに達していればいい。

晴美は、はいはいとセットを引き受け、倉庫に戻った。

染みのある漫画本をページに付箋をつけたままBレベルの棚に移す。

Aレベルから、代わりになれる本を探さなければならなかった。