Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 ! -14ページ目

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

二人パール兄弟(サエキけんぞう+窪田晴男)が今井裕とともにサディスティック・ミカ・バンドのファーストアルバム『SADISTIC MIKA BAND』(1973年)に収録された「ダンス・ハ・スンダ!」や「シトロン・ガール(金牛座流星群に歌いつがれた恋歌)」、「影絵小屋」など、珠玉の名曲達を演奏するという。今井のミカバンドへの加入はクリス・トーマスがプロデュースしたセカンド・アルバム『黒船』(1974年)からになるが、実際はファーストアルバムからレコーディングに参加。初期の名曲達を今井裕が演奏している。本物を弾いたキーボーディストとの“共演”である。単なる“カヴァー”や“トリビュート”とは違う。また、サディスティック・ミカ・バンドのカヴァーやトリビュートは、「タイムマシンにおねがい」や「塀までひとっとび」などは演奏されることはあっても「影絵小屋」や「シトロン・ガール」など、ファーストアルバムの曲が演奏されることは滅多にないそうだ(実際は「シトロン・ガール」が昨2023年、高野寛が狭山のフェスで演奏したが、それだけ。「ダンス・ハ・スンダ!」は加藤和彦トリビュートでカバーされた)。

 

開催日時は10月4日(金)、開催会場は大阪・福島「THIRD STONE 福島店」である。二人パール兄弟のツアーの大阪公演に大阪在住の今井裕が合流することになる。東京ではなく、大阪である。一瞬、ひるみそうになるが、やはり、この機会を逃してはならない。このところ、台風や地震、故障などで運行状態が不安定な新幹線ながら、意を決して(というほどではないが!)、東京発・新大阪行きの新幹線に乗り込む。幸いなことに遅延も休止もなく、すんなりと新大阪に到着。在来線の新大阪駅から大阪駅へ、そして福島駅(当然、福島県の福島ではない。JR大阪駅から環状線内回りで一駅である)に到着。梅田から近いにも関わらず、下町情緒が漂う。カード下にはいい感じの“飲み屋”がひしめく。駅から徒歩5分ほどのライブハウス「THIRD STONE 福島店」には開場を待つ観客が列をなす。このために来阪した“遠征組”も多いらしく、再会を喜び合う方もたくさんいた。

 

開場すると、会場にはDJのグルーヴあんちゃんによるパール兄弟やイミテーションなどと同時代のバンドのナンバーがプレイされる。始まる前から観客の気分が上がるというもの。

 

 

 

開演時間の午後7時を15分ほど、過ぎて、サエキけんぞうと窪田晴男が登場する。サエキはヘルメット(ジョン・レノンが「パワー・トゥ・ザ・ピープル」のピクチャースリーブで着用。その裏面はオノ・ヨーコで叛旗赤ヘル版)に手拭といういで立ち。始めから不穏な空気(!?)を漂わせるものの、チューニング中に窪田が何気なく話した今井裕との“初めて物語”にほっこりさせられる。窪田は“今井さんは40年も前にレコーディングに誘ってくれた人”と語る。まだ、右も左もわからない新人の窪田を最初に認めたのが今井であり、今夜は約40年ぶりの競演であることを観客へ伝える。人に歴史あり。おそらくはそれはイミテーションのヴォーカルのCHEEBOのソロアルバム『パラダイス・ロスト』のレコーディングだろう。1985年にリリースされているが、実際のレコーディングは前年、1984年である。今井は窪田晴男(G)、奈良敏博(B)、友田真吾(Dr)、そして今井裕(KB)というラインナップで「Media」を結成し、そのバンドで同アルバムのためにPANTAや伊藤銀次、MOMOYOなどが提供した楽曲のベーシックトラックをレコーディングしている。あれから40年。窪田が感慨深げに語るのも無理もないだろう。

 

二人パール兄弟はこの日の前日、10月3日(木)に豪雨の静岡のライブハウス「騒弦」で「二人パール兄弟ツアー はじめまして静岡」を行っている。そのライブは、妄念忍者やJIMMYとからまわる世界など、地元バンド(!?)がサエキけんぞうの名曲をカヴァーするなど、“歓待”を受けたばかり。否が応でも二人の気持ちは上がる。そんな勢いもあっての大阪入りは「二人パール兄弟ツアー 待たせてゴメンネ大阪」と命名された。おまけに二人パール兄弟に今井裕がゲストという特別なイベントである。大阪は今井の地元であり、いまも大阪で暮らしている。

 

二人パール兄弟は2019年に同名義で『DELAY』というパール兄弟の楽曲をサエキの歌と窪田のギターで再現するカヴァーアルバムをリリースしているが、生『DELAY』という感じで「馬のように」や「TRON 岬」、「貝殻のドライブ」、「青いキングダム」、「100度目のBye Bye」、「色以下」……など、新旧の名曲を披露。同時に「MAGネティック」や「君と映画」、「RUN-NEWバックステージ 」、「夜間押しボタン式」など、新曲もお披露目する。全曲、サエキの歌に窪田のギターでパール兄弟の世界を二人パール兄弟として再現。ところどころで松永俊弥のドラムやパーカッションのループが使用されるのみ。当然、不足感はない。音の隙間を巧みに埋めつつ、いい意味での“間”がある。流石、名手の誉れ、手練れのサエキけんぞうと窪田晴男だろう。

 

彼らの演奏を聴いていて、改めて感じるのはベテランのゆとりや落ち着きではなく、まるで栄光のゴールを目指して突き進む新人バンドのような勢いである。その加速していく演奏と歌は聞くものをまるでジェットコースターへ二人とともに乗り込んだ(放り込まれた)かのようだ。スリルとサスペンス(!?)もある、素敵な同行二人だろう。パール兄弟とともにロックンロールの旅を楽しむ、そんな感じではないだろうか。それには理由がある。サエキは数年前から2026年のデビュー40周年を迎えるにあたり、渋谷公会堂(現在はLINECUBE SHIBUYA)でコンサートを開催することを“宣言”して、同時にそのための準備を着々と始めている。サエキは王国へのロード(KINGDUM ROAD)というらしいが、目的のあることの素晴らしさだろう。目標に向かって突き進む。その姿は限りなく、美しい。観客はそんな彼らをとことん応援したい。会場の不思議な一体感はその表れではないだろうか。

 

 

 

この日のライブ、午後7時15分の二人パール兄弟の登場から1時間30分近く一気に飛ばしている。二人のパール兄弟は「夜間押しボタン式」を演奏し終えた8時40分、漸くこの日のゲストである今井裕を呼び出し、彼がステージに登場する。お待たせしました。お待たせ過ぎたかもしれません(昨日、限定配信でSuchmosの2019年9月8日の横浜スタジアムのライブを見ていたらYONCEも同じ台詞<!?>を言っていた)。

 

 

今井は“当時のロックンロールスーツを着ていくから楽しみに!”というお約束通り、ロックンロールスーツを纏って登場。John Lydonと同じイタリア製生地の1950風ロカビリー・セットアップらしい。ロックンローラー、今井がステージに現れる。このところ、7月12日(金)に渋谷 「duo MUSIC EXCHANGE 」で開催された千年COMETS の「千年COMETS  復活祭 第一章 ORGANIZED By SNARE COVER」へ彼らのアルバム『the edge』のプロデューサーとして、ゲスト出演するなど、東京でも演奏する機会はあったが、地元・大阪でミカバンドの曲をカヴァー、それも二人パール兄弟との共演である。そうあることではないだろう。この企みの契機はサエキけんぞうが6月20 日(木)に渋谷「LOFT9 Shibuya」で開催したサエキけんぞうのコアトークvol.104 サディスティック・ミカ・バンドの全て」に今井が小原礼や松山猛などと出演したこと。その座組はサディスティック・ミカ・バンドの“再結成”でもある。そして大阪公演が決まり、その際に今井裕へ声を掛ける。コアトークからの流れから当然のことかもしれないが、素晴らしい思い付きである。サエキのプロデュース力に脱帽である。サエキは私達の夢や希望を叶えてくれる。

 

 

今井によるとファーストアルバムは“小原からレコーディングしているから遊びに来てよ”と言われて、スタジオへ行くと、既にMINI MOOGやARP ODYSSEYなど、キーボードが用意されていて、“ちょっと、やってみて”と言われ、そのままレコーディングに参加することになったそうだ。

 

サエキはファーストアルバムには“今井さんのスーパーシンセサイザーがいっぱい入っている”という。

 

今井は“当時はスモールフェイス、ニッキー・ホプキンス、レオン・ラッセルに凝っていて、彼らみたいなことをやってみた”らしい。サエキは“加藤はグラムにはストーンズとフェイセスの要素が必要だ”と指摘していたという。そんなグルーブを出せる元祖ローリングピアノマンが今井裕だったのだ。

 

まるで6月の“サエキけんぞうのコアトーク”の続きのようだが、演奏以前に話を聞くだけでも貴重。やはり、現場にいたものの言葉はリアルである。サエキはコーラスを観客にしてもらうため、歌詞カードを用意して、配布している。まさか、自分も参加するとは思ってなかったかもしれないが、2024年の初期の名曲の再現には観客の声も必要だったのだろう。

 

 

二人パール兄弟+今井裕という“バンドは”「影絵小屋」を演奏する。グラムなブギーサウンドが鳴り響き、グラム感が醸し出される。今井のグラマラスなキーボードが先導していく。サエキのグラムロックへの深い理解と愛情、窪田のグラムギタリストとしての天賦の才能があってこその艶やかさだ。彼らは2024年のグラムロックを奏で、堪能させてくれる。

 

同曲を終えると、サエキが“亡き姉に捧げます”と告げ、“金牛座流星群に歌いつがれた恋歌”というサブタイトルがついた「シトロン・ガール」を演奏する。サエキは北國新聞のインタビューで「音楽へのめざめはフォークル(ザ・フォーク・クルセダーズ)なんです。兄と姉と3人でお金を出し合ってアルバム『紀元貮千年』を買ったんですね。それが最初です」と語っている。フォークルはサエキの原点、そこには姉や兄の存在は欠かせない。加藤がフォークル後に結成したミカ・バンドの初期の名曲をレコーディングに参加した今井裕と演奏する。それは感慨深いものもあったのではないだろうか。キラキラしつつもドリーミーな名曲が大阪の街に鳴り響く。改めて貴重な機会といっていいだろう。

 

 

サエキは観客へ“コーラスを最初からやっていただければ”と語り、グラムなダンスチューン(!?)「ダンス・ハ・スンダ!」を披露する。今井のピアノも気持ちよく転がる。このイケイケ感はなんだろうか。大阪と言えば、岸和田のだんじりだろう。街中を山車が疾走していく、そんな勢いだ。祝祭空間が大阪の下町・福島に出現する。会場も煽られ、乗り乗りになる。

 

圧巻にして爽快なミカ・バンドの初期名曲の再現。同セッションだけで終わるかと思ったら3人でパール兄弟の初期の名曲「快楽の季節」を演奏する。サエキから“追加で「快楽の季節」なんかもできませんか?”という申し入れがあったそうだ。今井は後日、“ライヴアレンジが浮かんできて、XTCのような過激なギターを弾いて欲しいと伝えた♪_「快楽の季節」後半部では独断でアバンギャルドなコードをつけ、窪田さんに書き付けわたしましてムチャ振り、これやってと。窪田くんのギター、二回ほど合わせただけでまさにイメージしていた通り。エッジが立っていてオシャレ。時がたって立派におなりになった。サエキくんのプロデュースセンスの鋭さ。それぞれに発見があった特別な夜。続けていけるようこころします”と、。自らのSNSで書いている。

 

今井はこのために難解なコード譜を書き、それを見事に窪田は弾きこなし、サエキは見事に歌いきった。会場は演奏者も観客も“気持ちいいね 俺たち”状態。まさか、パール兄弟の曲を一緒にやるとは思ってなかったが、このサエキの思い付きも見事。1986年の名曲が今井裕のキーボードを加え、2024年の名曲として蘇る。

 

午後9時20分、興奮と歓喜のステージを終え、3人はステージから消える。わずか、4曲ながらロックンロールピアノの楽しさとロックピアニスト、今井の実力を思う存分に見せつけるセッションだったのではないだろうか。

 

アンコールを求める拍手と歓声はやまず、二人パール兄弟が戻って来る。二人は矢代や歯科医の友人の逝去を期に改めて死と向かいあうようになったというが、亡き友達を思い、作った新曲「僕らはここにいる」(昨2023年9月30日<土>に東京・原宿「クロコダイル」で行われた『パール兄弟・結成40周年 〜ありがとう、ヤッシー〜』でも演奏された)を彼らを思い、演奏し、観客へ届ける。

 

しんみり、じんわりとしつつも名曲「「バカヤロウは愛の言葉」で、大阪公演を締める。東京ではなく、大阪で“バカヤロウ”は“アホ”とは違い、きつい言葉かもしれないが、ファンはわかっているのか、それともM気質なのか、嬉しそうに反応していく。

 

 

この日のステージは9時35分に大団円を迎え、最後はBGMとして「タイムマシンにおねがい」が流れる。わずか、2時間30分ほどの“時間旅行”かもしれないが、3人はこの日、は私達に夢と希望と見せてくれ、歓喜と至福を与えてくれた。やはり、行くべきライブだったことを再確認する。同時にもっと多くの方に見てもらいたいと感じた。是非、東京以外でも“タイムマシンツアー”(!?)を開催して欲しい。

 

 

サエキけんぞうによると“二人パール兄弟は、これから四人パール兄弟に変身し<合体ロボのようですね>、11月27日渋谷クアトロに降臨します。次は渋谷でお会いしましょう! 応援よろしくお願いします!!”と、SNSで告知している。渋谷公会堂への王国ロードの道中、いろんな仲間との出会いもありそうだ。

 

 

今井はこの日のライブに刺激を受けたのか、終演後、また、ライブをしたいと語ってくれた。実際に日程や場所などは未定で、ソロか、バンドか、どんな形での開催になるか、わからないが、一日も早く見たいもの。皆様の声援が頼りである。SNSなどで、世界は待っていることを書き込んでもらいたい。今井は1970年、谷村新司率いるロック・キャンディーズにウッドベースとキーボードで参加している。来年、2025年は芸能生活55年になる。まさに“GO GO IMAI!”。何かをするにはいい区切りの年になるのではないだろうか。

 

きっと、キャプテン・ヒロ & ザ・スペース・バンド、サディステック・ミカ・バンド、サディステックス、イミテーションなどのメンバーとして、クリス・モスデルや片岡鶴太郎、トゥマニ・ジヤバティ、ザ・ブルーハーツ、ザ・ストリートスライダーズ、ZABADAK、及川光博、RAZZ MA TAZZ、MOON CHILD、リクオなどのプロデューサーとして活躍してきた今井のキャリアを睥睨するようなライブも皆様も見たいはず。期待しかない。

 

 

 

10-4大阪サードストーンSETLIST

 

1,エレクトリック・ウェイヴ
2,火の玉ボール 
3,馬のように 
4,TRON 岬 
5, MAG ネティック  
6,君と映画 
7,貝殻のドライブ 
8,青いキングダム 
9,100 度目の ByeBye
10,RUN-NEWバックステージ 
11,色以下 
12,夜間押しボタン式

 

今井裕さん↓ 
13,影絵小屋 
14,シトロン・ガール 
15,ダンス・ハ・スンダ !
16,快楽の季節

 

以下二人  アンコール 
・僕らはここにいる 
・バカヤロウは愛の言葉

 

 

2024.11.27 (水)渋谷CLUB QUATTRO(東京都)

「君の心にRUN-NEW!パール兄弟2024」

パール兄弟(サエキけんぞう、窪田晴男、バカボン鈴木、松永俊弥)

ゲスト:いまみちともたか)

会場 渋谷クラブクアトロ 渋谷CLUB QUATTRO(東京都)

開場/開演 18:00 / 19:00

料金 前売 一般¥6,500 / スペシャルシート(16席限定・指定席)¥8,500 / 学割¥2,500 / 当日 一般¥7,500

※スペシャルシート(16席限定)はQUATTRO WEB先行でのみ販売

※学割チケットはクラブクアトロ店頭でのみ販売

ドリンク D別 ※当日入場口にてドリンク代¥600いただきます

一般発売日 2024.09.14 (土)

 

チケット販売 渋谷クラブクアトロ 

 

 

お問い合せ 渋谷クラブクアトロ TEL:03-3477-8750

 

 

 

 

 

https://www.amazon.co.jp/DELAY-%E4%BA%8C%E4%BA%BA%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%85%84%E5%BC%9F/dp/B07ZLK56HJ

 

 

 

 

 

 

 

 

もう40年以上も前、その場にいたものもそう多くはない。本人を含め、出演者を抜かせば多分、在京で生存している関係者(!?)は少ないだろう。だからこんなことを書けるのは私くらいかもしれない。この8月28日(水)に東京「渋谷CLUB QUATRO」で行われた暴動クラブの初のワンマンライブ『暴動集会』を見ていて、1980年4月1日(火)に東京「ラフォーレ原宿」で行われたザ・ルースターズの東京での初のライブを思い出していた。客席に井上富雄や池畑潤二がいて、「C.M.C.」を聞かされれば、そう思うのも当たり前かもしれない。

 

暴動クラブを初めて見たのは昨2023年12月22日(金)の高円寺「HIGH」での大江慎也のShinya Oe and Super Birdsのライブだった。暴動クラブと大江慎也が共演したとかではなく、メンバー全員がザ・ルースターズのファンで、大江に挨拶に来ていたのだ。私自身も実際に彼らと話などをしていないが、大江のマネージャーからそのことを聞いた。大江自身も翌日、SNSに彼らと一緒の写真を公開している。

 

 

https://x.com/ShinyaOe_INFO/status/1738490029465604336

 

 

 

その翌月、2024年1月21日(日)に二子玉川「GEMINI Theater」で行われた井上富雄のライブにもメンバーが来ていた。さらに池畑潤二が参加している6月9日(日)に下北沢「CLUB251」で開催された柴山“菊”俊之の生誕&復活ライブ『202469 indianSummer 77th~菊の部屋へようこそ・・・俺は待ってるぜ!~』にもメンバーが来ていたのだ。その前後に暴動クラブのベースの城戸"ROSIE"ヒナコが自らのコラムでザ・ルースターズのことを度々、取り上げ、かつ、井上富雄と城戸"ROSIE"ヒナコとの対談がSNSに上がっていた。

 

ロックンロールの物語をレコードするメディア「DONUT」

■La Vie en ROSIE 〜ROSIEのレコード日記

https://donutroll.tokyo/rosie/

 

 

 

「Rooftop|ライブハウス連動型webマガジン」

■ザ・ルースターズの初代ベーシストと暴動クラブの紅一点ベーシストによる、ベースとルースターズをめぐる珠惑の対話

https://rooftop1976.com/interview/240712120000.php

 

 

 

いまにして思えば、「C.M.C.」のカバーや大江慎也が彼らのデビューアルバム『暴動クラブ』に“These Sounds Have Good Flavers.”というコメントを寄せているが、そのための“準備”だったかもしれない。しかし、平均年齢20歳という彼らのような若いバンドがザ・ルースターズのことをかくも絶賛し、心酔することも不思議だが、ザ・ルースターズは彼ら以外にも時代や世代を超えて愛されている。昨2023年11月の「ザ・ルースターズ全アルバム118曲の“全世界配信”」も大きいだろう。それ以前に元メンバーのライブやイベントに足を運ぶ度にリアルタイム世代だけでなく、彼らの全盛期には間に合うはずもない若い観客が駆け付けていることも目撃している。これは稀有なことではないだろうか。

 

 

実際、暴動クラブのライブはこの6月13日(金)東京・下北沢「CLUB Que」で開催されたイベント『Who is the KING OF ROCK? 』で見ている。彼らのワンマンではなく、The TigerやWENDYなども参加したものだが、三者三様、見ごたえのあるものだった。初ライブは彼らの魅力が充分に伝わるもので、同時に若い世代のバンド(おじさん臭い表現で申し訳ない)の隆盛を予感させるものがあった。「福岡BEAT革命」のFBページで「Z世代のロックの暴動が始まる」と書いている。大江慎也などが太鼓判を押すのも当然と、納得したものだ。

 

ザ・ルースターズ絡みの話題だけでなく、ローリング・ストーンズの唯一の日本人公式カメラマン、有賀幹夫がジャケットやアーティスト写真を撮影、また、多くの有名ミュージシャンやジャーナリストが絶賛するなど、その“お膳立て”は完璧過ぎて、胡散臭いものを感じる方もいるかもしれないが、私にとっては注目のバンドであることに間違いない。その初のワンマンライブ、期待しないわけにはいかないだろう。

 

 

実際に暴動クラブと共演経験のある極東ファロスキッカーの宙也は、ライブの当日、会場に行く直前にこんな書き込みをXにしている。

 

“この齢になってハタチの子たちのロックバンド観に行くとかワクワクする。自分が中高生の頃に外タレ来日公演とかフイルムコンサートとか行ってた感じと変わんない。”

 

https://x.com/chuya_aquarius/status/1828719558422942178

 

 

 

 

彼がそんな気持ちになることもわからないでもない。暴動クラブは釘屋玄(Vo)、マツシマライズ(G)、城戸“ROSIE” ヒナコ(B)、鈴木壱歩(Dr)という4人組。平均年齢は20歳。この8月7日にリリースしたデビューアルバム『暴動クラブ』の発売を記念した初のワンマンライブに立ち合う。別に“親戚”や“保護者”の気持ちになっているわけではないが、期待と心配と不安が入り混じりつつも、何か、伝説の始まりに出くわす、新世代のヒーローの誕生を見届ける、そんなワクワクする予感を抱かせるのだ。

 

 

会場は立錐の余地もない、超満員状態。既にソールドアウトになっていたが、台風騒動で若干、当日券も出たが、それもすぐに売り切れたようだ。新人バンドの初のワンマンライブにこんなにも観客がいることに驚く。彼らと同世代だけではなく、かなり上の世代、高齢の方も来ている。“ロックおやじ”の期待の星かもしれない。彼らはデビューアルバムで、ボー・ディドリーの「Road Runner」をカバーしているが、同曲をただコピーするのではなく、ザ・プリティ・シングスの1965年のバージョンをカバーしている、捻りが効いているのだ。暴動クラブは自らの“ロック習熟度”や“若者度”を試すリトマス試験紙か。そんな思いで足を運ばれる方もいるのではないだろうか。

 

 

60年代のヒッピーと70年代のグラムロッカー、80年代のバッドボーイズロッカーのようないで立ちステージに登場した暴動クラブ。1曲目はデビューアルバム『暴動クラブ』のオープニングナンバー「とめられない」、そしてファーストシングル「暴動クラブのテーマ」を畳みかける。このワンマンライブの直前に、彼らは“ARABAKI”や“JOIN ALIVE”などの“フェス”も経験。そんな経験がバンドに勢いを与えている。スケールアップしているのだ。

 

続けて沢田研二の「気になるお前」のカバーを披露する。この4月にセカンド・アナログ7インチ・シングルとしてリリースされた「シニカル・ベイビー」にカップリングされている同曲は沢田研二が1973年にリリースしたシングル「胸いっぱいの悲しみ」のB面にカップリングされている。安井かずみが作詞、加瀬邦彦が作曲している。思わず、こう来たか――そんな感じを抱かせる。暴動クラブにいい意味でのGS的なレトロなポップさを感じていたが、こんな曲をシレっとカバーするところが彼ららしい。

 

 

 

この日はクリスタルズ「Da Doo Ron Ron」や前述のボー・ディドリーの「Road Runner」などもカバーしている。いずれも完コピではなく、彼ららしい華やかさや騒がしさを纏う。どんな曲でも“暴動クラブ”らしさがある。

 

 

この日も披露された暴動クラブ のオリジナル「 恋におちたら」もオールディーズポップスの郷愁と懐古を匂わせ、フィル・スペクター風のカスタネットやコーラスなども聞きどころだろう。学園ドラマのようなオフィシャルビデオも必見。「暴動学園」の黒板には時間割(!?)が書かれ、教科としてロックンロール、パンクロック、パンクロック、めんたいロック、ロカビリー、ブルース、ガレージパンクなどがあり、その先生にはブライアン・ジョーンズやジョニー・サンダース、柴山“菊”俊之、クリフ・ギャラップ、アルバート・キング、ウェイン・クレイマーのなどの名前が書かれている。

 

 

 

 

また、歌詞や曲名など、「すかんぴん」や「ブギ」、「 Rag」、「狂わせて」、「全部捨て」、「おいらのロケット」、「意味のないことばばかり」、「大人になんかならず」……など、ロックのクリシェを散りばめながらもそれらが新しい響きを持つ。永遠不滅のティーンエイジの叫びながら普遍的なメッセージを伝える。何か、深淵なものさえ、感じさせるのだ。どこか、インテリジェンスみたいなものが潜む。彼らの発言やコラムなどを読む限り、この指摘もけっしてうがった見方ではないだろう。

 

 

デビューアルバム『暴動クラブ』はプロデューサーに荻窪の話題のライブハウス「TOP BEAT CLUB」」のオーナーで、THE NEATBEATSのリーダーでもあるMr.PANを迎え、彼が所有するオール・アナログ機材によるスタジオ「Grand-Frog Studios」で、モノラル・レコーディングされている。そのMr.PANにもしごかれたという。アナログ器材でモノラル・レコーディングをするには、演奏技術以前にやはりその年代の楽器や器材の使用法を心得、精通してなければならない。随分前だが、土屋昌巳がTHE MODSのサードアルバム『LOOK OUT』(1982年)をプロデュースした際に楽器や器材を“本物”に変えさせている。また、鳥井賀句もTHE POGOのセカンドアルバム『1990』(1990年)をプロデュースした際にも同じく楽器や器材など、本物を使い、その成果は如実に音に現れたという。暴動クラブも“本物”を体験する機会を得ているのだ。

 

本物を知るからこそ、正しく修正もできる。この日、前半は音がダマになり、聞き取りにくいところがあった。ところが後半になるにつれ、音の粒が立ってきて、すんなり耳と身体にはいってくる。細かいコーラスや多彩なニュアンスのバッキングなどが際立ってくる。

 

アンコールのザ・ルースターズの「C.M.C.」のカバーは既にデビューアルバム『暴動クラブ』に収録した同曲を聞いていたが、やはり生で聞くと迫力が違う。変に小細工することなく、オリジナルの猥雑さをそのまま表現する。同曲の前にザ・ルースターズもカバーしたサファリーズ、ベンチャーズの「ワイプアウト」(日本では「電撃ネットワーク」のテーマ曲としても知られている)を持ってくるなど、手が込んでいる。壮大なイントロか、同曲の特別感が増す。

 

さらにアンコールでは来年4月22日(火)に東京・恵比寿「LIQUIDROOM」でワンマンライブが行われることが発表された。ライブタイトルなどは同時点では決まってないようだったが、観客には嬉しいサプライズではないだろうか。

 

 

冒頭にザ・ルースターズの40年以上の前の東京での初のライブを思い出すと書いた。確かにルースターズの元メンバーが会場にいて、ザ・ルースターズのカバーをしていればそう思うのも当然かもしれないが、暴動クラブの初々しさとふてぶてしさをザ・ルースターズに重ね合わせて見ていた。同時に伝説の始まりに立ち合い、その場に居合わせる幸運。きっと、誰もが体験できたくてもそういう機会を体験できることではない。そして、この伝説は始まりであって、彼らが活動し続ける限り、それは更新がされていく。恵比寿のライブ以前にも彼らはライブやイベントに精力的に参加していくことをSNSなどで告知している。きっと、どれもが見逃せないものになるだろう。

 

 

大谷翔平が“さよなら満塁ホームラン”でメジャー史上6人目の「40(HR)-40(盗塁)」を最速で達成したゲーム(現地時間2024年8月23日)以降、すべての試合が見どころのようにだ。いま現在は、「47-48」である。日本時間9月16日(祝・月)時点で、今期のレギュラーシーズンはあと13試合。試合数は少なくなっているが、「50‐50」を達成する可能性は充分ありそうだ。来シーズンは二刀流になることを考えると、今期が唯一(にならないことを祈るが)の機会かもしれない。毎試合をワクワクしながら見ている。暴動クラブのゲームは今シーズン限りではない。すべてのライブが伝説になるかもしれない。今後、彼らはどんなドラマを積み重ね、どんな伝説を生むのか、楽しみでならない。もし、40年後(!?)も生きていれば、その起点となった、この日のことを誇らしげに語るつもりだ。

 

 

 

 

「福岡BEAT革命」HP

■1980年4月1日のザ・ルースターズ――「ステディ・ロック・ファンクション」に出演!

 

 

https://www.fukuokabeatrevolution.com/post/1980%E5%B9%B44%E6%9C%881%E6%97%A5%E3%81%AE%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BA%E2%80%95%E2%80%95%E3%80%8C%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%87%BA%E6%BC%94%EF%BC%81

 

 

「福岡BEAT革命」FBページ

■Z世代のロックの暴動が始まる――『Who is the KING OF ROCK? 』the Tiger WENDY 暴動クラブ 6月13日(金)東京・下北沢「CLUB Que」

 

https://www.facebook.com/fukuoka.beat.revolution/posts/pfbid05UUREpr2S7Qa5iwv6erC19hrPuDeN5B59SYcL1tFSfAUP5theVWqE17GKCZ9AZGnl

 

 

 

■暴動クラブ ワンマンライブ『暴動集会』(2024年8月28日<水>東京・渋谷CLUB QUATTRO)セットリスト■

 

01とめられない

02暴動クラブのテーマ

03気になるお前

04すかんぴん・ブギ

05ロケッツ

06ROAD RUNNER

07欲望

08Voodoo Rag

09カリフォルニアガール

10いとしのクロエ

11Da Doo Ron Ron

12恋におちたら

13まちぼうけ

14Born to Kill

15 シニカル・ベイビー

 

encore

01ワイプアウト

02C.M.C.

03チェルシーガール

 

 

2022年、2023年、そして2024年と、3年続けて、久留米へ行っている。いうまでもなく、福岡県久留米市は鮎川誠の生まれ、育った街。彼に縁あるイベント“サマービート”を見るためだ。3回の同イベントの模様はめんたいロックの応援サイト「福岡BEAT革命」のHP、FBページ、そして私のブログ「let's go steady 」などで紹介している。いずれも長文だが、文末にリンクを貼り付けておくので、時間があれば読んでいただきたい。


久留米の“ツアーめし”を改めて紹介しておく。先日、久留米を訪問して気づいたが、基本的にラーメンと鰻しか、食べていなかった。それが知らぬ間にルーティンになっていた。いろいろ調べてはみるものの、基本的に久留米ラーメンと鰻でしか、検索していなかった(笑)。



この8月12日(月・休)に福岡空港から地下鉄空港線で博多、そして同じく地下鉄七隈線の博多から薬院へ、同所で西鉄に乗り換え、西鉄久留米駅を目指す。天神乗り換えより、スムーズに行けるのは気のせいか。久留米駅は西鉄だけでなく、JRもあるが、やはり次の行動を考えると西鉄になる。馴染のない駅名を眺めながらの小旅行も悪くないだろう。

西鉄久留米駅に着くと、今年も吉田羊が笑顔で出迎えてくれる。彼女は久留米出身の俳優で鮎川誠や藤井フミヤ、松田聖子などとともに地元を代表するスターである。久留米は神戸の灘、京都の伏見と並ぶ、三大酒どころの一つに数えられ、吉田は地元の清酒メーカー「雲海酒造」の「木挽BLUE」のテレビCMやポスターなど、イメージキャラクターを務めている。大型ポスターがタクシー乗り場に面する壁に貼られている。3年前は別の場所だったかもしれないが、何か、彼女の顔を見ると長旅の疲れ(!?)も癒されるというもの。

 

▲2024年の吉田羊

久留米ラーメンは博多ラーメンの元祖と言われ、久留米は豚骨ラーメンの生まれ故郷でもある。今年は屋台から始まり、いまはモールや駅のフードコートなどにも出店している「久留米ラーメン清陽軒 諏訪野町本店」にした。HPを見たら焼きめしとラーメンのセットが推薦されていた。セットだと料金もお得になるという。町中華の基本だが、久留米の町中華はいかがなものか。同店の本店は西鉄久留米駅から一駅、西鉄花畑駅にある。駅から国道沿いを歩き、10分ほどだという。当然だが、歩けない距離ではないし、まして定休日(火曜日)でもない。これが行くしかないだろう。当初は「大砲」も久しぶりにいいかと思ったが、検索したら店の状況が表示され、混んでいるとあった。清陽軒は花畑駅から灼熱の国道を歩いていくと、大きな駐車場があり、警備の方が交通整理をしていた。流石、人気店だけある。既に長蛇の列で整理番号を発券してもらい、あとはひたすら待つのみ。お盆ということもあり、家族連れも多い。久しぶりの帰省、思い出の味を食べたくなるというものだろう。

店内に入ると、カウンター席メインで、古い屋台の雰囲気をそのまま残す。注文は久留米ラーメンと焼きめしという推しのメニュー。創業時の味「屋台仕込みラーメン」と、ラードを使わないすっぴんの味「すっぴんラーメン」があるが、まずは基本の屋台仕込みにする。そのラーメンに味玉もつける。勿論、名物の久留米焼きめしも頼む。行列に並んで30分後には着丼したが、人気店だけある。見栄えも含め、シンプルでオーソドックスながら味は外さない。久留米=濃厚という先入観を抱くものだが、なんの抵抗もなく、胃袋に収まる。年齢、性別を問わずの味である。焼きめしがなければ替え玉やすっぴんラーメンも食べたいところだが、自粛(笑)しておく。

 




「久留米ラーメン 清陽軒」
https://seiyo-ken.jp/index.php

 

 



久留米ラーメンは初訪問の2022年に「大砲ラーメン」、翌2023年には「丸星ラーメン」を食べている。「大砲」は久留米ラーメンの老舗で「呼び戻しスープ」発祥の店と言われている。同店は久留米へ行く前から行こうと決めていたところだ。番組名はうろ覚えだが、フジテレビのバラエティでスターの地元で皆様への恩返しとして、地元の飲食店や運動具店や学校、塾などを訪れ、爆買いして、地元に還元するというもの。最高額は100万円だったと思う。その番組で藤井フミヤが行きつけの店として、「大砲ラーメン」を紹介していた。見るからに美味しそうなラーメンで、久留米に行ったら絶対、食べようと思っていた。幸い、本店は西鉄久留米駅から徒歩10分ほど、検索すると「大砲」が必ず出てくる。行くしかないだろう。老舗ながら昔の味といまの味を提供。替え玉ではなく、連食してしまった(丼のサイズはややこぶりで一度に二つの味を楽しめるセット。現在はHPを見る限り同メニューはないみたいだ)。初の久留米ラーメンは味は濃過ぎて、胃にもたれるという既成概念を打ち破り、濃厚ながらまろやかな久留米ラーメンの虜になる。混んでなければもっと行きたいところだ。



 

「久留米 大砲ラーメン」

 

 


▲2023年の吉田羊

 

丸星ラーメンは国道3号線沿いにある久留米ラーメン初の24時間営業店(現在は24時間営業を中止している)で、往時はトラック野郎がこぞって来たという。同店は肉じゃがやさつまあげなど、総菜が無料で提供される(おでんもあるが、それは有料である)ことでも有名。


西鉄大牟田線の宮の陣駅から徒歩10分ほどのところで、国道を店に向かって歩いていくと、大きな駐車場と年季物の暖簾が目につく、たくさんの人達が列をなす。何か、ロードサイドに湧いたオアシスというか、国道にちんまりできたたまり場か。中を入ると家族連れなども多く、町外れの大衆食堂、国道沿いのドライブインという趣き。何かロードムービーのワンシーンを思わせる。ロードムービーというか、フーテンの寅さん(ある意味、ロードムービー)が立ち寄りそうなところで、お店のおばさんたちが要領のよくない男達の穴を叩き、騒ぎはしゃぐ子供達に久留米流を躾ける。味そのものは非常にオーソドックスな久留米ラーメンで、煮物や漬物など、総菜そのものも平凡で特段、秀でたものはないが、久留米の味を嗜むというより、何か、その風景に溶け込んでいる自らが愛おしくなる、そんな味わいのあるラーメン屋だった。

 

「丸星ラーメン (丸星中華そばセンター)」
https://tabelog.com/fukuoka/A4008/A400801/40000225/

 

 



実は「大砲ラーメン」での偶然の出会いが久留米の鰻屋へ行く契機になった。何十年も合わなかったのが、偶然とはいえ、福岡の久留米で出合うなんて、そうあることではなく、何か不思議な縁みたいなものを感じる。

少し長くなるが、説明しておこう。2022年の久留米行きは鮎川誠の生誕の地、かの地のイベント“サマービート”を見るために福岡へ行ったのだが、それだけではなかった。下山淳(G、Vo)、ヤマジカズヒデ(G、Vo)、穴井仁吉(B、Vo)、武田康男(Vo、G)、KAZI(Dr)が結成したEli & the Deviantsの福岡、熊本公演を見るという目的もあった。熊本公演の2日後、久留米で“サマービート”が開催される。Eliのツアーは穴井の骨折のため、現在、SION'S SQUADなどで活躍する中西智子(B)がエキストラメンバーとして参加している。

 

熊本のEli& the Deviantsの公演を終え、メンバーと別れ、車で鹿児島へ移動して宿泊、翌日、レンタカーを熊本で返却。その後、電車で熊本の玉名温泉へ寄っている。2日間、温泉三昧して、久留米へ移動するという行程である。行き当たりばったりの思い付きだが、阿蘇では赤牛、鹿児島では黒豚、玉名では馬刺しや焼き鳥を食べることができた。玉名は行くまで、全く知らなかったが、同地は映画『男はつらいよ フーテンの寅』シリーズの御前様役で知られ、小津安二郎監督の『晩春』や『麦秋』、『東京物語』などにも出演した俳優・笠智衆の出身地である。2015年に玉名市名誉市民になっている。

 

▲熊本 赤牛

 

 

▲鹿児島 黒豚とんかつ

 

 

▲玉名温泉 馬刺しと焼き鳥




 

 


なかなか、風情のある玉名を出て、後ろ髪をひかれつつ、JRから西鉄に乗り換え、久留米を目指す。とにかく久留米の初ラーメンは「大砲」と決めていたが、いろいろ検索すると、ラーメンだけでなく、鰻や焼き鳥などがご当地グルメとして出てくる。その中で良さそうな店があった。西鉄の大善寺から車で10分という鰻屋「富松うなぎ屋黒田本店」という店である。駅からタクシーで10分は地方のタクシー事情から大変そうだが、まずは同店に電話して、どれくらい行列が出来ていて、どのくらい待てばいいか、電話をしてみる。お店の方はお盆のため、既に大行列が出来ていて、3時間は待つと普通に言われてしまった。流石、3時間待ち、おまけに駅からタクシー移動……それらを勘案すると、食べ終える頃には既に“サマービート”は終わっている。これでは何のための久留米行きかわからなくなる。あきらめるしかなかった。その代わり、大砲で“奇跡”が起こった。

 

▲JR久留米駅にある「とんこつラーメン発祥の地 久留米」

 

▲西鉄久留米駅

 

▲2022年の吉田羊

 



当然、「大砲」は大行列店、名前を記帳して、順番を待っていると、知り合いから声をかけられた。某雑誌の手伝いをしていた時、度々、原稿や撮影を頼んでいた方で、いまは宮崎に暮らし、農産物復活プロジェクトやフットパスなどの活動している。彼とは5年ぶり以上かもしれないが、聞けば“サマービート”を見るため、車で久留米へやってきて、この日は久留米に泊まるという。

大善寺の鰻のことを話すと、明日の朝、ホテルへ迎えに行くから一緒に行こうという。まさに渡りに舟。諦めていた鰻が現実味を帯びてくる。彼と翌朝にホテルで待ち合わせして、同所を目指すことにする。思いもかけない同行二人になった。

翌朝、ホテルに彼の車が横付けされ、富松うなぎ屋黒田本店へのドライブが始まる。久留米の観光サイトには“かつて筑後川は天然うなぎの好漁場でした。流域に川魚専門店が多く、筑後川沿いの黒田地区(久留米市大善寺町)はかつて福岡屈指のうなぎ処として栄えてきました。近年、筑後川で獲れる天然うなぎは減少傾向にありますが、ネギとワサビとタレが絶妙な絶品丼を提供する星付きの店や、創業200年を超える久留米藩主御用達の老舗、ふっくら炊き上げたセイロ蒸しが人気の行列店など、ぞれぞれの店が昔ながらの伝統味を守りながら、今でも多くのお客様を迎えています。うなぎ屋では川魚やスッポン料理を提供する店もあり、各種会席料理も味わえます”と、出ている。

 

 

「富松 うなぎ屋 黒田本店」

 

 


西鉄久留米駅から築後川を南下、同店へ車を走らせる 。カーナビのない車だったので、少し道に迷ったが、1時間ほどで田園地帯に大きな川に面して古式ゆかしい建物が現れる。道路には同店の上りがはためき、車がどんどん吸い込まれている。まだ、10時前だというのに駐車場は車で埋まる。当時、整理番号ではなく、予約リストに記帳する方式か、どうか忘れたが、とにかく名前を書いて、後は順番を待つのみだった。

 


2時間ほど、待ったが、席に案内され、注文をすると、30分もしないで提供される。注文したのは「セイロ蒸し特上」。鰻のセイロ蒸しは随分前に柳川で食したが、鰻をセイロで蒸し、そこに錦糸卵が乘っているというもの。特上と普通の差はご飯の量で、特上は二段重ね、ご飯の中にも鰻が隠れている。小皿も1品多い(サラダがついている)。通常のかば焼きもあるが、やはり福岡式のセイロだろう。重厚なセイロの蓋を開けると鰻と錦糸卵が現れる。熱々をいただくと、口の中にほどよい甘さが広がる。九州特有の甘さ、嫌いではない。思いの他のヴォリュームで胃の中にすしんとくるが、もたれることはない。全国に鰻の名所はあるが、ここでしか食べられないものだろう。ちなみに同店の鰻は鹿児島や宮崎、徳島、愛知などの国産物を使用しているようだ。また、食べたいと思っていたが、翌2023年は“サマービート”の翌日もライブ(「鮎川誠 追悼ライブ 福岡 SHEENA &THE ROKKETS MAKOTO AYUKAWA FAREWELL LIVE HAKATA<音楽葬>」)のため、行くゆとりはなかった。

 



そして今年、2024年は“サマービート”の翌日はライブがなく、東京への飛行機もほぼ最終便に近く、ゆとりはあった。しかし、今年は車がない。西鉄大善寺駅からタクシー利用もあるが、それだと、駅でかなり待たなければならない。検索すると、最寄り(!?)のバス停も出ていた。流石、路線図までは調べきらないので、西鉄久留米駅のバスセンターの案内所に行くと、ちゃんと調べてくれて、行先の路線や降車駅、発着時間を教えてくれ、それを紙に書いてくれる。あまりにも丁寧な対応に驚く。お年寄りも多い町である。老人に優しい対応。西鉄バスはすごい。深い感謝である。


指定の降車駅「若宮橋」へは30分ほどで着く。同所からは10分ほどの歩きだが、炎天下の中、進んでいくと、上りが見え、店が出てくる。漸く辿り着く。途中、店まで500メートルという看板があるので、目印にもなり、踏ん張れる(苦笑)。

店には11時を20分ほど過ぎて着いたが、整理番号を発券すると、“80番”という数字が印字されていた。既に32番まで行っているそうだが、それでも60番目になる。気が遠くなる。大半の方は発券して、車で待つみたいだが、池の前の縁台や店前の椅子で順番を待つ。風は多少あるものの、暑さが吹き溜まる。順番待ちの方のためのトイレもあるが、そこは冷房が効いていて、ホッとする。長居したくなる(笑)。

 

 

▲西鉄久留米バスターミナルでいただいた丁寧な案内と

富松で発券された80と書かれた整理券

それでも1時間ほどで席に案内され、今年も鰻のセイロ蒸し(特上)にありつくことが出来た。相変わらずの味で、久々の再会に胃袋が歓声を上げる。何か、自分の鰻のスタンダードになるのを感じる。本来であれば東京の下町生まれ下町育ち、前川や色川、初小川と行きたいところだが、最近は久留米のセイロ蒸しや浜松(駅前の業界御用達の「うなぎ八百徳」が好きだが、なかなか、行けていない。ちなみにかつて佐野元春のサインもあった)や名古屋のひつまぶし(TOKUZOUに行った際には「しら河」の今池店に立ち寄っている!)が故郷(!?)を感じる。また、水戸にでも鰻の旅に出ないと、正統派の鰻を忘れてしまいそうだ。2月には水戸行きを計画している。

1時間、待ったので、1時間かけて、ゆっくりかけて食べる。2階のテーブル席だったが、窓の外には田園風景が広がるが、暑い日差しが照り付ける。なかなか、出たくなくなる。帰りは行きと同じルートを逆に帰ればいいのだが、折角なら大善寺までバスに乗って、同駅から久留米に戻ればいいと考えていた。ところがその考えが甘かったことに気づくのは数十分後のことだった。

 



店を出て、歩いてきた道をそのまま行き、若宮橋のところを大善寺方向に進むと、あると思っていたところにバス停がない。多分、道が細いので国道上ではなく、少し入った市街地にあったかもしれない。肝心のバス停を見つけられず、結局、駅まで歩くことになる。30分以上歩いたところで大善寺駅に辿り着く。満腹後の一仕事である。いずれにしろ、歩けば前に進む、車がなければ歩けばいいことを知る。これからは車の心配は必要なく、列車とバスを乗り継げないいという自らのルートが開拓できたことになる。大善寺から敢えて各駅で天神を目指す。冷えた列車で火照った身体を冷ましながら天神へと歩を進める。

昼食ばかりを報告しているが、実は2022年も2023年も2024年も久留米の夕食は同じ店に行って、同じものを食べている。毎回、西鉄久留米駅の側の全国チェーンのホテルに宿泊しているが、同ホテルの近くの店に行っている。ライブが終わってから、シャワーを浴びて、食事にへ行くとなると、時間的に行く店も限られる。検索では時間が掛かるので、ホテルの方に近所の店をいくつか、紹介してもらう。その中の一軒が私の“行きつけ”になった。九州産の天然魚にこだわった仲卸業者が経営する「丸秀鮮魚店 久留米店」だ。豊後のサバや長崎の蛸など、久留米の近隣の新鮮な魚だけでなく、熊本の馬刺し、久留米の鳥のダルムなども食べることができる。久留米の前後左右から新鮮なものが届くのだ。中でも絶品なのは豊後水道の鯖を使った胡麻鯖(活け〆鯖の胡麻鯖)である。豊後水道の新鮮な鯖に絶品のごまだれが合体して、最高の味わいになる。それをご飯にぶっかけ、胡麻鯖丼にして一気に食べる。これが極上の逸品。毎回(と言っても3回だが)、必ず頼む。そして毎度のことながら食べ終えた後、写真に収め忘れたことに気づく。1回目は携帯を忘れ、2回目、3回目は食事優先で、大体、閉店間際なので、ちんたら撮影などをしているというのもいかがなものかというのもある。多分、地元の方にすれば、他にもいいところがあるのかもしれないが、とりあえず、私の久留米の隠れ家である(!?)。店自体もこじゃれているし、酒類も豊富にある。お薦めである。とりあえず、今回は店の外観だけは撮影しておいた。良さげな店ではないだろうか。ちなみにおひとり様用のメニューもたくさんあり、一人でいってもいろんなものを少しずつ、たくさん食べられるのが嬉しい。絶品の刺身を出す板長はショーケンのドラマに出てきそうな渋いお方で、言葉少ないながらその腕は確か。

 



食べログ「丸秀鮮魚店 久留米店」
https://tabelog.com/fukuoka/A4008/A400801/40031450/

 

 


Instagram「丸秀鮮魚店久留米店」
https://www.instagram.com/maruhide_kurume/

 

 

▲ニューニカイ

 


今回、“サマービート”を見た翌日は久留米で鰻の後、唐津や糸島で海鮮に行こうと思っていた。ところが、会場で福岡在住の写真家・Keko Handa様にお会いして、福岡の「バーニューニカイ」という店で写真展『THANK YOU !』を8月22日(木)まで開催していることを聞いた。「福岡BEAT革命」などでもご協力をいただいている福岡の音楽の生き字引でもある。これは行かないわけにはいかないだろう。予定変更。久留米(実際は大善寺)から天神を目指す。同店は親不孝通りにある。近所にはお馴染み「Bassic.」などもあり、同店からもすぐである。

会場は最近、リニューアルオープンしたところで、元々はカラオケバーだったらしい。現在はリノベーションして、アコースティックライブなども出来るところで、店内にはさりげなく、Handa様が撮影した2022年に鮎川誠、奈良敏博、坂田”鬼平”紳一が再集結した「鮎川誠 Play The SONHOUSE」のライブ写真が展示されている。同ツアーには鮎川誠(唄とギター) 坂田鬼平紳一(ドラム&唄) 奈良敏博(ベース&唄) 松永浩(サイドギター&唄) LUCY MIRROR(唄、ハープ&タンバリン)が参加している。何度か、展示作品も模様替えもあるようだ。

場所そのものは居心地のいいバー(雰囲気はスナック)で、ご近所に前述通り、渡辺圭一の「Bassic.」や梶浦雅弘の「 Viva La Silva」、「KID ROCK 」などがある。松本康の「ジュークレコード」がかつてあった場所にも近い。勿論、ピックアップしたのはわずか、実際にはライブハウスやロックバーなどの“密集地帯”である。やはり親不孝通りは親不孝者を大量発生させる。鮎川誠は『ちゅらさん』の中で、「ロックは家族に相談して始めるもんじゃないよ」と言っていた。そんな歴史と伝統が残る。まだまだ、博多や北九州、久留米など、福岡通いが続きそうだ。

Keiko Handa様写真展「THANK YOU!」
会場   Bar NEW NIKAI 中央区天神3丁目6-10-201 
期間 7月17日~8月22日

月~木 12時~ラスト 

金~日 NIKAIの営業時間に準ずる
1order以上お願いします ♪

「Bar New NIKAI 」
https://www.facebook.com/profile.php?id=61563050565022

 

 


    

 

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YOU MAY DREAMと久留米物語『SUMMER BEAT2022 MAKOTO祭り』
let's go steady 2022年8月18日
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12759386379.html

 

 



追悼と感謝--ロックンロールの聖者・鮎川誠が紡ぐ“三都物語”+1
FUKUOKA BEAT REVOLUTION 2023年9月9日
https://www.fukuokabeatrevolution.com/post/%E8%BF%BD%E6%82%BC%E3%81%A8%E6%84%9F%E8%AC%9D%EF%BC%8D%EF%BC%8D%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E8%81%96%E8%80%85%E3%83%BB%E9%AE%8E%E5%B7%9D%E8%AA%A0%E3%81%8C%E7%B4%A1%E3%81%90-%E4%B8%89%E9%83%BD%E7%89%A9%E8%AA%9E-%EF%BC%91

 

 


※下北沢、博多、北九州など、四都市を巡る集大成リポートなので、「久留米「SUMMER BEAT'23」--鮎川誠に最大の感謝を込めて!」の小見出しを見つけていただき、そこからご覧いただきたい。


鮎川誠の故郷・久留米 で「サマービート‘24 MAKOTO祭り 」――めんたいロックは成長する! シーナ&ロケッツ THE 0942+花田裕之
FUKUOKA BEAT REVOLUTION Facebook page 2024年8月13日
https://www.facebook.com/fukuoka.beat.revolution/posts/pfbid02rDisbTKfqMBVU19rSPxB8kUrW528dsVvriK2uQPFQSV9EBnJUHPMobm4NMajP3fNl