浅野孝已はそこにいた『ゴダイゴ ライヴ ~ひさしぶりマイ・フレンド』 | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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タケカワユキヒデは“今日は浅野さんの追悼ライヴです。亡くなって2年経って、やっと実現できました。現実として受け止め難くて。おまけにコロナで誰にも会えない状況もありましたし。やっと実現できて、良かったなという気持ちと、現実を突きつけられて厳しいなという気持ちが両方合わさってのライヴですけど……最後までよろしくお願いします”と語った。昨日、5月12日は2年前、2020年同月同日に亡くなった浅野孝已の“3回忌”になる。東京・南青山の「ブルーノート東京」で開催された『ゴダイゴ ライヴ ~ひさしぶりマイ・フレンド』。

 

この日は第1部、第2部の2部制になっている。第2部は配信も行われた。チケットは即日完売でプラチナチケット化していただけに嬉しい配慮である。私は第1部をライヴ、第2部を配信で見た。ライヴ、配信ともども、この日、会場に浅野孝已がいることをずっと感じていた。おそらく、メンバーは当然として、その場にいた誰もがそう感じていたのではないだろうか。メンバーの演奏をステージに置かれた愛用のギターを自ら弾きながら、微笑んでいる――そんな姿も浮かんでくるのだ。

 

 

この日のライヴのタイトルに使用され、演奏もされた「ひさしぶりマイ・フレンド」という楽曲は、期間限定で活動を再開した1999年にリリースされたアルバム『ホワット・ア・ビューティフル・ネーム』に収録されている。浅野孝已が作曲し、タケカワユキヒデとトミー・スナイダーが作詞した。“Nice to see you once more”という印象的なフレーズがある。浅野への思いをそのタイトルに込める。

 

『ゴダイゴ ライヴ ~ひさしぶりマイ・フレンド』は、演奏ではなく、メンバーが彼について語る場でもあった。ミッキー吉野にとって、浅野は一番、古くからの音楽仲間で、たくさん旅を一緒にしてきたと言う。懐かしく語りながらも辛そうでもある。しかし、明るく送りたいという。スティーヴ・フォックスは、浅野はいじめ(実際はいじめではなく、いたずら)の対象だったそうだ。浅野の手が届かない高いところへ、彼の靴などを隠したという。メンバーが悪魔と突っ込むと、俺は牧師だという返しがみんなを笑顔にする。タケカワは浅野とのネパールのホテルでのおもしろエピソードを語る。トミー・スナイダーは初めての来日の時、羽田空港へ迎えにきたのが浅野だったという。当時は日本が左車線であることを知らず、彼が車の左側ドアを開けたので、自分が運転するのかと訝しがったそうだ。吉澤洋治は最初にメンバーとの会ったのはCMの衣装合わせで、彼がメンバーになることがちゃんと知らされてなく、浅野にこいつはいったい何者なんだという目で見られたという。そして、竹越かずゆきはゴダイゴに憧れた世代でサポートメンバーとして参加することになったが、常に優しく、怒ったところを見たことがないと語る。おそらく、誰もが浅野に感じるであろう人物像やエピソードが語られる。それだけ、裏も表もない、浅野孝已なのだ。

 

セットリストなどは、敢えて詳述しないが、「ガンダーラ」や「モンキーマジック」、「ビューティフルネーム」、「銀河鉄道999」、「ホーリー&ブライト」などの国民的ヒット曲は当然として、「シンフォニカ」(同曲がトミー来日初レコーディング曲。浅野は“Searching for Symfonica”というフレーズがうまく発音できなかったらしい。同曲のレゲエ・ヴァージョン)や「CHERRIES WERE MADE FOR EATING(君は恋のチェリー)」(第2部のみ演奏)、「THE WORLD IS REALLY ONE ~WE HAVE A DREAM~」(2007年にリリースしたシングル「BIG MAMA」のカップリング曲。“世界がとんでもない状況になっていて、いまの状況にぴったりなことを歌っている”と、タケカワがアナウンスした)、「YOU ARE HERE」(2017年に浅野と最後にレコーディングしたナンバー。作詞は奈良橋陽子、作曲はタケカワユキヒデ 、編曲はミッキー吉野、歌・演奏はゴダイゴ。マタニティクリニックのイメージソング。動画のみ公開、音源未発表)など、レア(というか、特別)なナンバーも披露された。オープニングとエンディングで浅野のスティールとともに流れたインストゥルメンタルは、浅野孝已のゴダイゴ楽曲カヴァー作品集『ギター・カヴァーズ・オヴ・ゴダイゴ』に収録された「ひさしぶりのマイ・フレンド」だった。

 

名曲たちをこの日はストリングスやブラス、クワイヤーなどはなく、メンバーだけのシンプルなバンドサウンドで聞かせる。改めて楽曲の良さが際立つとともに浅野の演奏家、作曲家としての魅力、稀有な才能を再確認することになる。

 

ロビーには浅野の衣装や愛用のギターも展示されていた。また、ブルーノートの会計用のコースターには浅野のイラストも描かれていた。会場でタケカワが見本誌を見せ、紹介していたが、本来ならこの日に発売が予定されていた「浅野孝已メモリアルブック」も近日、発売されることになっている。タケカワは浅野が詰まっていると絶賛していた。

 

 

いかに浅野孝已が愛されていたかがわかる。浅野への愛が溢れる。そんなみんなの思いに胸が熱くなる。ライヴ終演後、懐かしい当時のスタッフ、ゴダイゴ45周年本をともに作った仲間との再会もあった。このコロナ禍のため、なかなか、会えずにいた。浅野からの嬉しい贈り物かもしれない。高揚感みたいなものが心と身体を満たす。そんな火照った身体を冷ますため、雨の南青山を少し歩く。実は、かつて、ゴダイゴの事務所は南青山にあった。40年数年前に、取材や打ち合わせなどで、何度も通ったところだ。往時の面影はなく、ちょっと寂しくも感じるが、心のスクリーンにはその光景が浮かんでくる。青春プレイバックか。私自身にとっても始まりの場所だったかもしれない。時は経ったが、浅野孝已やジョニー野村、庄司良一……などの思いを抱え、ゴダイゴの終わりのない旅は続く――。

 

なお、アーカイブ配信は5月15日(日)、23:59まで視聴可能。詳細は以下にアクセスして欲しい。

 

 

ぴあ<PIA LIVE STREAM>

https://w.pia.jp/t/godiego-pls/

イープラス<Streaming+>

https://eplus.jp/sf/detail/0170640003-P0030055

ZAIKO (For International Purchaser)

https://bluenotetokyo.zaiko.io/e/GODIEGO

 

 

Godiego

Asano Memorial (70minutes)

BlueNote Tokyo 20220512

 

Nice To See You Once More

 MC

Symfonica

 MC Member Talk 浅野さんの話 トミーが来て初めての曲

Holy And Bright

 MC

The World Is Really One -we have a dream-

 MC

Beautiful Name

 MC

You Are Here

 MC

Monkey Magic

Gandhara

999

Extra Cherries were made for eating

 

 

 

Special thanks to @yuki.takasaki.31 @abcde_kimochi