昨年から今年にかけ、ベスト・オブ・ライブやアルバム再現ライブ、大沢誉志幸とのツーマン、トーク・イベント&ライブなど、様々なスタイルの山下久美子のライブを見てきた。その度に彼女のライブ・パフォーマーとしての充実と歌手としての実力、楽曲の魅力を再確認している。同時にいわゆるヒット・パレードを披露する単なる同窓会的なものではなく、いろんな試みを果敢に挑んでいることも新鮮な驚きだった。余計なお世話かもしれないが、80年代、何度も取材し、記事にしてきただけに、いまの彼女を紹介しなくて、「MUSIC STEADY」の電子版というべき、本ブログを書き続ける意味はないだろうとまで思っている。前述通り、昨年、今年と、出来る限り、彼女のライブへ足を運んだ。先週、12月15日(土)、東京・汐留「BLUE MOOD」で開催された山下久美子の『GOOD-BYE 59 LOVE YOU LIVE』は59歳最後、そして今年最後のライブである。“締め”のライブにして、来る2019年に開催される彼女の還暦を祝う“Sweet Sixty Live”に更に弾みをつけるものだという。万難を排してでも行かなければならない。
会場の「BLUE MOOD」は、今は亡き築地市場に近く、地下鉄の大江戸線「築地市場駅」を降りてから、同所へ向かったが、既に市場は外壁が設置され、同時に豊洲へ抜ける新しい道路も出来ていた(この11月に築地~豊洲の「環状2号線」が暫定開通している)。景観の変化に寂しさを感じながらも会場に入ると、飾りつけなど、クリスマス・モード。華やで賑わう。80年代から知る関係者も多く、懐かしい顔を見ると安心もする。
山下久美子を支えるメンバーはキンモクセイの後藤秀人(G)、キリンジのメンバーの千ケ崎学(B)、キリンジのサポート・メンバーの伊藤隆博(Trombone、Kb)、『アニマ・アニムス』や『And Sophia's back』などのツアーを共に回った元SHI―SHONEN、Real Fishの福原“CUTY”まり、そして山下久美子&PaPaとして“ルイード時代”の熱狂を知る椎野恭一(Dr)……という“いつも”のラインナップ。福原以外は盟友・大澤誉志幸のライブのサポート・メンバーでもある。この1年間、ゲストなどはあるものの、ほぼ、このメンバーで、山下久美子の音を作ってきた。
山下久美子を除くメンバーがステージに登場。最初に演奏したのは福原まりが在籍していたReal Fishの「Parade」、そして、福原まりが2012年にリリースしたアルバム『Karakuri(カラクリ)』に収録されている「Le Papillon」と、インストゥルメンタルが続く。揺ぎ無い信頼関係がこのオープニングからも伺える。彼らの魅力に触れてもらいたいという山下の思いみたいなものも感じさせるのだ。「Le Papillon」が終わると、山下が登場。「White Christmas」が歌われる。山下からの一足早い、素敵なクリスマス・プレゼントだろう。
山下は59歳と今年の締めくくりのライブであることをMCで伝える。「いっぱいキスしよう」、「シャンプー」、「LOVER MAN」、「時代遅れの恋心」と、“胸キュン”の珠玉のナンバーが続いていく。オーディエンスの中には感極まり涙ぐむ方もいたようだ(山下がMCで報告していた!)。
メンバー紹介では、ただ、名前と担当楽器をコールするだけでなく、エピソードなども挟みこむ。それだけ、時間を共有することが多かったのだろう。メンバーの中には他のアーティストの公演地から駆け付け、そのまま他のアーティストの公演地へと向かったものもいる。何があっても山下の元へと馳せ参じる。これも山下の人を引き付ける魅力ゆえのこと。
後半に向かい、ステージも客席もヒートアップしていく。「SINGLE」、「微笑みのその前に」、「ROCK ME BABY」、「STOP STOP ROCK’N ROLL」と、“総立ち”のナンバーが繰り出される。オーディエンスを熱狂させつつも、ただ、乗りまくりのではなく、切なさみたいなものを残す。総立ちの女王は山下久美子以降、数多、現れたが、そこが凡百の女王との違いではないだろうか。
今宵は50代最後のライブ、60歳へ向かい、この勢いは止まらない。進んでいくしかないと宣言する。「赤道小町ドキッ」、「こっちをお向きよソフェア」、「So young」、「LOVIN’YOU」と、鉄板のナンバーを一気呵成に畳み掛ける。山下久美子の“クリスマス・パーティ”は歓喜と熱狂の坩堝と化す。歓声と拍手の中、山下久美子と仲間はステージを後にする。
当然の如く、アンコールを求める声は止まない。ステージに戻ってきて、山下が歌い出したのはデビュー曲「バスルームから愛をこめて」だった。59歳の艶めく歌声を聞かせる。歳を重ね、しっとり度が増している。同曲に続いて歌い出したのは「My Way」である。山下もフランク・シナトラからシド・ヴィシャスまで、歌われていると紹介しているが、古今東西、数多くのヴァージョンが存在する。しかし、まさかの「My Way」。意外な選曲に驚く。しかし、59歳、今年を締めくくるにはこの曲しかなかったのだろう。行き来する時代を回想しつつ、万感の思いを込めて歌う。ラテンでジャジーに歌われた山下久美子の「My Way」が彼女の“May Way”に重なる。同時に60歳への彼女の決意のようなものも感じさせる。
山下久美子は1959年1月26日、大分生まれ。来る2019年には60歳、還暦となる。山下はそれを“Sweet Sixteen”ならぬ、“Sweet Sixty”と表現する。なんて素敵な言葉ではないだろうか。“スウィート60ダイヤモンド”や“スウィート60記念日”など、まるで宝飾や婚礼で使用される言葉のようだが、いままでこういう表現を見たことはない。実際は使用されているのか、わからないが、検索してもあまり出てこなかった。かつて、“胸キュン”や“総立ち”など、キャッチ―なコピーを届けてくれた山下久美子と、彼女のスタッフだが、また、素敵な言葉を産み落としくれた。誰もが歳を重ね、時は過ぎていく。改めて“Sweet Sixty”のことを考える――そんな機会を山下久美子は与えてくれたのではないだろうか。
山下久美子の『The Sweet Sixty ☆ Special Rockin’ Live !!』は2月17日(日)名古屋「ブルーノート」、2月23日(土)東京・渋谷「Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」、3月2日(土)大阪「ビルボードライブ大阪」で、開催される。同ライブではオーディエンスからのリクエストを集い、多かった曲を中心に選曲するという。この辺は“なんとかゲートウェイ”とは違う。八百長はなしだ。応募の締め切りは12月24日。文末にfacebookページ「山下久美子LIVE CLUB」のから募集要項を転載しておく。
ある意味、山下久美子の60歳をオーディエンスとともに祝いつつ、長年、応援してくれたオーディエンスへ彼女から感謝の意志を伝える場にもなる。きっと、素敵な感謝祭になるだろう。
実は、12月15日(土)は、いつも顔を合わせる方が来ていなかった。山下久美子が最初に所属したレコード会社で宣伝を担当されていた方だが、数か月前、病に倒れ、長期入院を強いられた。先月、リハビリ病院へ転院。先日、漸く退院した。きっと、来年は元気な姿を見せてくれるだろう。一緒に“Sweet Sixty”を祝うのを楽しみにしている。
■山下久美子 The Sweet Sixty ☆ Special Rockin’ Live !!
ライブの詳細は以下の山下久美子のHPのスケジュール欄をご参考ください。
http://kumikoyamashita.com/schedule
■リクエスト大募集!!(以下、facebookページ「山下久美子 LIVE CLUB」からの引用)
来年の「The Sweet Sixty ☆ Special Rockin’ Live!!」 は正にRequest!
皆さんが思う名曲や影の名曲、好きな曲をリクエスト頂き、多かった曲を中心に選曲!!
山下久美子に歌ってほしい曲を大募集します☆
下記「REQUEST FORM」からご応募ください♪♪♪
たくさんのご応募、お待ちしています!!
☆REQUEST FORM☆
http://willap.jp/t?r=AAAAXmsxzqM8fyGraqZc_tBZbeaKHIildfDcYg
☆応募締切☆
2018年12月24日