TH eROCKERS Are Back In Hakata Town――2016・09.25. | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

ロックンロール聖者が街にやってくる。ロッカーズがホームタウン、博多へ帰ってきた。9月25日(日)、福岡イムズホールのワンマンライブは、ロッカーズにとって、凱旋公演になる。
 
9月21日が36年前にデビューした日、そして、25日はその前日、24日から福岡の中心街、天神で「MUSIC CITY TENJIN 2016」が開催されている。ロッカーズのワンマン公演も同イベントに関連するものだが、天神のビブレやPARCO、コア、イムズスクエア、ソラリアプラザ、岩田屋本店本館前、福岡市役所、福岡銀行本店など、10数か所にステージが設けられ、同時多発的にフリー・ライブが行われる。アマチュアからプロまで、数多くの音楽家が同イベントを盛り上げる。2002年から続いているという。ジョー・ストラマーやモッズ、シーナ・ロケッツ、ARB、大江慎也、花田裕之、高野寛、ビートニクス、クラムボン、カジヒデキ、曽我部恵一、大貫妙子、入家レオ、ハナレグミ……など、数多のアーティストが出演。
 
今年はThe Goggles、DOC HOLiDAY AND APACHE TRAiN、The Folkees などの地元の人気バンドから浅井健一、藤原さくら、七尾旅人、SCOOBIE DO、チャラン・ポ・ランタンまで、多彩なアーティストが出演している。福岡出身の藤原さくらは学生時代から同イベントに出演していたという。
 
また、岩田屋前の天神きらめき通りでは「フクオカストリートパーティ」と銘打たれ、ステージだけでなく、通りを封鎖して、地元の名産や産直などの模擬店も出店、カウンターも設置され、酒やバーベキューなども提供される。まるで、人生ではないが、“路上のカクテル・パーティ”状態である。
 
さらに同イベントに関連し、24日(土)、25日(日)には、4月に発生した「熊本・大分地震」における復興支援イベント「ONE KYUSHU」が旧大名小学校体育館で開催されている。25日(日)は鮎川誠、藤井フミヤ、浅井健一などが出演している。同イベントの収益は、熊本県・大分県に義援金として寄付される。『ONE KYUSHU』ではチャリティライブとともに各界の著名人からの素敵なアイテムを集めたチャリティオークションが行われ、陣内も同オークションに協力している。
 

まさに博多の街は音楽に溢れている。そんな街へロッカーズは帰ってきたのだ。イムズホールは福岡天神の複合商業施設「イムズ」の9Fにある多目的ホール。シアター形式で席を設けると、キャパシティは461名だが、この日はオールスタンディング。500名をはるか上回る観客がつめかけ、そこには立錐の余地はない。
 
ロッカーズと青春時代を過ごしたと思しき年季もののファンからここに来て新たに知ったと思しき若手のファンまで、年代、性別を超えて、老若男女が集まる。その井出達からして、すぐにロッカーズのファンとわかる、尖った佇まいで、ただものではない雰囲気を醸す。ただ、聞くだけでなく、自らも演奏もしている、バンドマンらしき人も詰めかけている。
 
いうまでもなく、博多はロッカーズの地元である。そんな彼らを温かく、熱く出迎える。開演前からのロッカーズ・コールが鳴り響き、耳をつんざく。“伝説”を目の当たりにして、期待のボルテージが一気に跳ね上がるというもの。
 
1964年の東京五輪のファンファーレが流れる中、ロッカーズのロゴがプリントされたバックドロップ(横断幕)が会場に掲げられる。
 
これからの儀式のはじまりに相応しい。メンバーが揃うと、陣内は「When the Saints Go Marching in(聖者の行進)」を歌い出す。今回の復活に、これほど相応しい1曲目はないだろう。
 
観客が演者を乗せる。会場に煽られるかのようにビートが早鐘のように打ち出す。明らかに東京公演の3割増し(当社比)である。まさにビートの“ましまし”状態だが、溜めを持ちつつ、疾走する。
 
勿論、性急なビートのナンバーだけでなく、揺蕩うミディアムのナンバーが緩急をつける。ペースメーカー入りの心臓(笑)の負担を軽減するというのは冗談だが、当時はただただ、早さを競っていて、ミディアム・テンポなど、試行錯誤の産物でしかなかったかもしれないが、「非常線をぶち破れ」や「1999」、「ショックゲーム」などの早いナンバーだけではなく、「色あせた写真」や「キス・ユー」など、ミディアム、スローな同曲があってよかったのではないだろうか。彼らの健康に関わるだけでなく、いま改めて聞くと彼らの多彩な音楽性、音楽的な奥行みたいなものを確認することができるのだ。
 
ロッカーズは2年間という短い活動時間、アルバムもカバーを含め、4枚と少なく、まさに時代の仇花として、華々しく消えていった。伝説になるしかなかった。
 
陣内が音楽活動から離れたこともあって、再評価の機会も映画『ロッカーズ』までなかったかもしれない。しかし、こうして、ロッカーズが復活した今だからこそ、再評価すべき時ではないだろうか。自ら活動することで、歴史から飛び出そうとしている。復活ライブでは、新曲は披露されないものの、感傷や郷愁を許さず、いま2016年に躍動している、最新型のロッカーズを世に問うている。
 
華やかで煌びやか。軽やかで素早い。“めんたいロック”の中で、誰よりも歌舞いていたのは彼らだろう(後年、陣内が大河ドラマで婆沙羅大名、佐々木道誉を演じたのもあながち、無関係ではない)。一瞬の光芒の中に美しく散っていった。
 
しかし、ロッカーズは灰燼の中から不死鳥の如く、蘇る。年を経ることで得たもの、失ったものはあるだろう。しかし、彼らはすべてを飲み込み、一心不乱にロックする。
 
その生き様(と、敢えて、この言葉を使おう!)は美しく、輝いている。東京公演でもそう感じたが、福岡公演では、昔の仲間にいまのリアルを見せつているかのようだ。しいて言えば、2016年に見せるべき逆説的な“アリバイ(ALIBI)”、現在進行形の存在証明(IDENTITY)ではないだろうか。
 
いまさらながら、オリジナル・アルバムのリイシューだけでなく、彼らの全貌を捉えるベスト・アルバムやグループ魂やゴーバンズなどをはじめとするロッカーズ愛を語るバンドが参加するトリビュート・アルバムなどもあっていいのではないか、と、勝手に考えている。再評価すべき時は今だろう。
 
陣内孝則(Vo),船越祥一(Dr)、穴井仁吉(B)、角英明(G)、澄田健(G)――改めて、この5人でよかったと思う。鉄壁のリズムセクションがボトムを支え、変幻自在の2本のギターが勢いと彩を加え、往時と変わらぬスピードと迫力でボーカルが吠える。
 

あっという間にアンコールはやってくる。ステージに戻ってきた船越は、そこに橋本潤のベースと谷信雄のギターがあることを伝える。会場からは歓声と嬌声が上がる。彼らといることを改めて感じる。渋谷ではグループ魂とやった「セルナンバー8」を“7人”で、披露する。彼らこそ、“マグニフィセント・セブン(The Magnificent Seven)”である。「聖者の行進」を演奏した意味もわかるはず。そして、「涙のモーターウェイ」は彼らの手向けとして、歌われているかのようだ。
 
2度目のアンコールにはYAMAZENこと、山部善次郎が登場する。ロッカーズは「キャデラック」や「可愛いいアノ娘」など、彼のナンバーを演奏しているが、彼らの共演は時代を遡りつつ、自らの原点を再確認するかのようでもある。山部が早すぎるとビートに乗り遅れ、音の均衡を崩しながらも強引に歩調を合わせ、ロッカーズと山部は同曲の新しい表情を見せつける。まさに博多ならではの光景である。博多名物、YAMAZENとの共演。会場に来ていた観客には何よりのプレゼントではなかったろうか。山笠の街である。お祭りは賑やかがいいだろう。本当にいいものを見せてもらった。博多で見るロッカーズは格別である。
 
ライブから数時間後、改めて、博多の深さと濃さを知ることになる。実はロッカーズのFBページで知ったのだが、彼らのサウンドチェック、リハーサル中に鮎川誠が来ていたというのだ。自らのライブがあるにも関わらず、大名小学校とイムズホールはそう遠くないものの、わざわざ、様子を見に来る。“陣中見舞い”だそうだ。
 

さらに会場にはロッカーズとは同郷で同期のルースターズやモッズの元メンバーも駆け付けていた。
 
繋がりの強さを感じないわけにはいかない。しがらみではない、関わりである。音楽の伝統と人の交流を継承していく。だからこそ、博多のビート・ミュージックは継続していくのだろう。
 
10月1日(土)の中野サンプラザの新宿ロフト40周年イベント「SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY ROCK OF AGES 2016~big beat together with spirits, stay alive~/」で、ロッカーズは菊 ft.鮎川誠 シーナ&ロケッツ やROCK’N’ROLL GYPSIES 、JUDEと共演し、 ゲストには仲野茂 、イマイアキノブ 、 チバユウスケ 、石橋凌が出演する。そして同イベントの 司会は、今回のロッカーズの復活ライブをオーガナイズしたスマイリー原島である。何度も繰り返すが、この宴は一期一会である。決して見逃してはいけない。
 

いま、改めて思う、37年前、私が書いた記事のタイトルは間違ってなかった、と。「博多は、今一番燃えているロック・シティだ!」――勿論、それは現在進行形である。
 
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