暑くてだれるキョーコさんの話。
蓮キョで成立してます。
※若干の桃色注意※
ただ居るだけで、汗が身体中から噴き出していく。湿気を帯びた髪はへばりつき、首を振るっても滴が散るだけ。張り付いた服の下を、生ぬるい汗が伝っていく。私はもう、我慢できなかった。
「あ~~~…極楽……」
ゴウゴウと唸るエアコンが冷風を吐き出す。部屋の隅々まで巡るように扇風機を置いて、そして体感的な涼しさを求めてその前に寝転ぶ。
汗で濡れた服は洗濯機の中。さらさらと乾いた下着にTシャツだけを身につけて。はしたない格好だけど、ここは高層マンションの最上階しかもワンフロアー丸ごとだからお隣さんは存在しないし、遮光カーテンを閉じてしまえば、覗ける人もいやしない。
勉強用の、脚が折り畳める小さなテーブルを持ってきて、そこに飲み物のペットボトルにコップ、そして氷を用意する。脇にはお気に入りのクッション。準備は万端。
「ごめんなさい敦賀さん…」
養成所も学校もない、仕事の早く終わった週末。時間は短くとも、炎天下の元での仕事は私の体力も精神力もゴリゴリと削っていった。お土産にお茶をもらいはしたけど、カラカラに乾いた喉には焼け石に水状態。ひいひい自転車を漕ぎながら、切ってもまったく涼しくない風を感じ帰宅…というか、恋人である敦賀さんのお宅へお邪魔した。
一緒に食べられそうだから、ご飯を作って待っていてほしいとお願いされて。それはいいのだけど、問題は私の仕事が予定よりも早く終わってしまったこと。敦賀さんがタイマーを入れておいてくれていたエアコンは、起動するまでにあと2時間あった。最上階の災難。太陽に一番近いこの部屋は、地獄の様相を呈していた。
私は敦賀さんに心の中で謝りながら、設定可能な最低温度に設定し、風速MAXでエアコンをつけた。さすが、最新設備の部屋のエアコンは効きが早く、地獄の一室はものの数分で天国に変わった。
そして、用意した超快適装備で、私はリビングにごろりと転がった。素足に、冷えたカーペットが気持ちいい。
横になったままコップをとって、冷たいアイスコーヒーをストローで飲み干す。
「ううう、だらしがないわよキョーコっ……でも、気持ちいい~~」
一人悶えつつ、お代わりを注ぐ。一旦グラスのかいた汗を拭き取って、テーブルに置いておく。時計を見れば、本来の帰宅時間まであと一時間半あった。敦賀さんの帰宅時間は、その更に二時間後。私は携帯のアラームをセットして、クッションを抱き込んだ。
「たまにはいいよね?敦賀さんだって、暑かったら遠慮しないでって言ってたもの…」
ゴウゴウ唸って仕事をしてくれるエアコンと敦賀さんに感謝しつつ、私は目を閉じた。
...
肌寒さに、意識が浮上する。途端に鼻の奥がムズムズしてきて、たまらずくしゃみをひとつして、私は完全に覚醒した。何か気配を感じて目を下に向けると、そこに広がる光景に目をひん剥いた。
「え、え、ええぇぇぇえ!?」
私の脚の間には、
「おはようキョーコ」
神々しい笑顔を浮かべる、敦賀さんの姿が!
「な、な、なななな!?」
「菜?」
「なっ、なんで敦賀さん、もう!?」
「キョーコに会いたくて、頑張ったんだ♪」
誉めて?と言うように首を傾げる敦賀さん。私の脚を抱えると、自分の体を挟ませるように引き寄せた。そして、私の下肢を隠す唯一をするりと奪っていった。
「うにゃあああああっ!?」
「嬉しいな、こんなご褒美が待ってるなんて」
はむはむと太ももを食まれる。咄嗟に隔てる物の無くなったそこを手で隠して、首を横に振る。
「ご褒美なんかじゃありません~!だらしない格好していたのは謝りますからっ!服を、服を着させてください~~!」
「謝らなくていいよ?むしろwelcome!」
「なんで無駄に発音いいんですか!?」
最後の抵抗を退けようと伸ばされる不埒な手。ぎゅうと押さえて、必死に守る。
だって、この敦賀さんは危険だ。けして豊富ではない経験が警告する。
これは、これは……ここで負ければ、朝までコースだ!
たらり、冷や汗が背中を伝う。幸か不幸か、明日は二人そろって午前空き。買い物に行こうか、ドライブに行こうかと話していたのに、このままではベッドの住人になってしまう。
どうにかそれは回避したくて、私はできるだけ体を縮こまらせて、敦賀さんを見上げた。
「冷房強くしすぎちゃって、寒いんです…このままじゃあ風邪をひいちゃいます…」
実際、下着とTシャツしか着ていなかったため、冷房にさらされた体は冷えきってしまった。自業自得とはいえ、このままでは本当に風邪を引く。
「……そうだね」
間が空いたけれど、同意の言葉に私は安堵した。
よかった、どいてくれる。
けれど私の手に重ねられた敦賀さんの手が、そのまま、きゅうっとそこを握り込んだ。
「ひぁっ!」
自分の手なのに、自分の意思ではない力でもたらされる刺激は、ぞくぞくっと背中を駆け上がっていった。
敦賀さんは私の脚の間に居座ったまま、私を見下ろしている。その目がギラギラとした光を宿して、私を射抜いた。
「じゃあ、熱くなること…しよう?」
ねっとりと太ももを舐め上げられて、私はああ、逃げられないな、と思った。
朝までコースが決定したところで私の意識は溶けてしまって、野獣と化した敦賀さんにあれやこれやと致されてしまった。意識が飛ぶと、次に目を覚ました時には必ず違う場所に移動していた。なんだかたくさん啼かされたし色々言わされた気がして……いつ出したか覚えの無いエプロンがなぜここに存在してるかなんて、知りたくない。
「キョーコ、また早く帰ってこれたらご褒美くれる?」
尻尾を振る敦賀さんはかわいい。かわいいけど、毎度毎度こんなことされたらたまったものではない。
「もう絶っっっ対、あげません!」
暑さに負けて油断はすまい!
最上キョーコ、強く誓ったとある猛暑の日のことでした。
end.
たまには押せ押せ蓮。