幼馴染みパラレルで、初恋こじらせた蓮氏。
立ち竦む彼女の肩を叩く。 頬に幾筋もの涙の跡を残し、今もまた新しい雫がその跡をたどり落ちていく。
「――また、フラれちゃったんだ?」
「っ…誰のせいだと……!」
「俺のせいだって言うの?本当に彼がキョーコを好きだったなら、彼は靡かなかったはずだよ」
「じゃあ、私のせいってわけ!?」
「そんなことは言ってない。でも、そうだな。自分に気のある女の子を前にして、彼女を蔑ろにするような男を選んだキョーコの、運の悪さのせいだろうね」
「最っ低……!」
憎しみが、彼女の目に灯る。次から次へと溢れ出る涙では、それは消えない。
「何がしたいの…!いつもいつも、自分の彼女をけしかけさせて!」
「それは彼女の自由意思だよ。彼女は俺よりも君の彼氏に惹かれたんだ。それを無理矢理に止める権利は、俺には無い。君の彼氏が、俺の元彼女たちに惹かれたのだって、同じだよ」
「なんなのもう……もう、いやぁ……」
泣いて、泣いて。
泣き顔だけは昔のままに。
いつしか、彼女の大好きは別の男に移ってしまった。俺しか覚えていない宙ぶらりんの約束を、俺は今も大事に取っておいているのに。
もうあの頃のようなまっすぐな想いを向けてもらえないなら、他の感情の一つや二つ、くれたっていいじゃないか。
「嫌い、蓮なんて大っ嫌い!」
呪いのようなその言葉。俺はニヤリと笑って、泣き続ける彼女を抱き寄せた。
「それは、光栄だね」
(その感情だけが、君を俺に縛り付けてくれる)
end.