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朱子の倉庫

二次創作作品の倉庫です。
取り扱いジャンルは、花とゆめにて連載中のスキップ・ビート!、CPは蓮×キョーコです。








 たぶん社会人パラレルのはず。


※注意!
・蓮がキョーコ以外の人とつき合ってます。

・その脇役(←)女性と桃な表現が出ます(ただし精神的には蓮キョ

・蓮が子どもっぽかったり、かっこよくなかったりします。むしろこの男、最低かもしれない。

・蓮と脇役彼女の桃シーンあります!(大事なことなので



 場面がころころ変わって読みづらいです。
 そしていつになくキャラ崩壊・・・・・・。
 もはや蓮キョじゃない気も・・・・・・!

 この、注意書きを書いてる段階でアップする気持ちが挫けそう・・・・・・っだが上げる!!!←

 もう本当、何でも許せる人向け・・・・・・ですっ!


















 彼女は、俺が今まで付き合ってきた女性とはどこか違った。髪を染めているだけで化粧っ気は無いし、どちらかというとスレンダーだし、束縛してこないし、物をねだることもしなかった。それが新鮮で、心地よかった。ただの同僚だった時からそれは同じで、俺は初めて自分から告白というものをした。一番付き合いの長い、『彼女』だった。俺にとって彼女は特別だった。だけどあまりにも俺への執着が見えず、俺だけが熱を上げているような気がして悔しくて、別れを切り出した。彼女はそれを聞いた時さえ、仕方ないようなそんな顔をして、俺を引き留めようとすらしなかった。あまつさえすぐさまその場を去ろうとしたのだ。涙の一つも見せれば冗談だと言おうとしたのに。焦った俺は、とっさに彼女の腕を掴んだ。



「とっ・・・・・・友達として!これからも付き合ってくれないかな!?」









 そんなわけで、俺の元カノは今も友人として俺のそばにいる。







「蓮さん、最初は何飲みます?」

「・・・・・・ビール」

「はい。すみませーん、注文お願いしまーす」

 静かなしっとりとしたバーではなく、二つ隣の席の会話すら聞こえてきそうな開放的な居酒屋で、俺は彼女――キョーコと向かい合って座っていた。デートでこういう店に入ったのも、キョーコが初めてだった。歴代の彼女たちは、お洒落なバーだとか、高級レストランでのディナーなんかを望んだから。俺もそっちの方が馴染みがあったし、俺がデート代を持つことに彼女たちは何の文句も言わなかった。でもキョーコは違った。
「付き合ってるからって、なんで一方的に奢られなきゃならないんですか?二人のデートなんだから、私にも負担させてください」
 そう言って、キョーコの馴染みだというこの居酒屋に連れてきてくれた。レストランでのディナーよりもずっと気楽そうに笑ってくれるのが嬉しくて、毎回ではないにしろ、デートやデートのシメによく寄った。
 それは別れて半年経った今も変わらず、いや別れたからこそ利用する回数的には増えた。だって俺にはもう新しい彼女がいるし、キョーコは俺がバーなんかに誘うと「彼女と行ってください。私としても、彼氏じゃない人とそういう店に二人きりで行くのはちょっと・・・・・・」と言って断る。あまり同じ店を使いすぎるとマンネリ化しそうで、そう思うたびに誘うのだけど、今のところキョーコが首を縦に振ってくれたことはない。
 断られるたび、胸が痛む。それはしかし、俺が手放したキョーコとの正しい距離だ。本当ならマンネリ化、などと心配すること自体がおかしいと、わかっては、いる。

(だって、俺はキョーコの彼氏じゃない)

 少し拗ねたような気持ちでお通しをつついていると、店員がやってきた。

「お待たせいたしました!ご注文承ります!」

「シーザーサラダと、つまみ盛り合わせ。あとほっけに、揚げ出し豆腐。それにビールと「ピーチサワー」・・・・・・で、お願いします」

 キョーコは必ず一杯目はピーチサワーを頼む。ピンク色がかわいいから、だと。キョーコにかぶせるように言えば、キョーコは苦笑しながら注文を終わらせた。

「そんなこと、よく覚えてますね?」

「記憶力はいい方だからね」

「でもこんな小さなこと」

 くすくすと、おしぼりで手を拭きながらキョーコが笑う。一瞬見とれて、慌てて自分のおしぼりを手に取る。

「・・・・・・でも、そうやって小さなことでも気づいてくれる所、好きでした」

「すっ・・・・・・ま、まあ、捕まえとくには細かいアプローチも必要だから」

「マメですよね。だからモテるんでしょうけど・・・・・・


 じい、と大きな目が笑みを浮かべて俺を見つめる。じわじわ上ってくる熱を気づかれてはなるまいと、とっさにおしぼりで顔を拭う。「おじさんくさい」となおも笑うキョーコの声を聞きながら、俺はどくどくと忙しなく脈打つ心臓を鎮めるのに必死だった。

 落ち着け、落ち着け。
 キョーコは別に、特別な意味合いを込めて言ったわけじゃない。だって、あれは好き『だった』所、なのだから。

 今はもう、俺はただの、キョーコの友達。











「ねーえ。明日、ここでデートしようよ」

 豊満な胸を押しつけながら、『彼女』が言う。そんな彼女のグロスで光る唇はどこか、捕食前の肉食獣を思わせた。そういえば、キョーコはあまり口紅やグロスは塗らなかった。荒れやすいとかで、せいぜい薬用、よくて色付きのリップクリームだけ。その代わりにふっくらと唇は柔らかで、何度も吸い付くと赤く色づくのがよくわかった。

「ちょっと、聞いてる?」

 そんなことを考えていたら返答に遅れ、彼女は不服顔で俺を見上げた。テーブルに広げられた雑誌を見れば、『夜景の綺麗なレストラン』という見出しが目に入る。その中で彼女が指す店は、キョーコと行こうと候補に挙げたことのある所だった。淡泊でいて実はロマンチックなことが好きなキョーコは、値段を聞くと難色を示すものの、雰囲気の良い店に行くと目を輝かせていた。おとぎ話が好きで、シンデレラだとかコンセプトのある店も好んでいた。だけどもう、キョーコとは行くこともないだろう。

「・・・・・・いいね。行こうか」

 いや、俺が行って感想を伝えれば、行きたいと思うかもしれない。
 そんな淡い期待を持って、俺は喜び抱きついてきた彼女の背中をそっと撫でた。



 彼女を抱くと、決まって夜中に目が覚める。そして隣にある彼女の寝顔を見つめて、全く癒されない自分を自覚してしまうのだ。塗られたまつげの残る目元や、綺麗にウェーブのかかった髪とか。抱いてしまう『これじゃない』感じ。
 彼女に背中を向けて、目を閉じる。ベッドに染み着いた香水の匂いが、ひどく不快だった。



 ――ピンポーン。

 チャイムの音で、目が覚めた。起きて時計を見れば、まだ10時だった。休日、それも彼女の泊まっていった翌日とあれば、まだ早いくらいの時間だろう。何かの勧誘かと思い、とりあえず下だけはしっかりズボンをはいて、俺は玄関へ向かった。相手を確認するのも面倒で、俺はそのままドアを開けた。

「はい。誰・・・・・・」

「おはようございます」

 起こされたことへの些細なお返しにと不機嫌気味に問いかけつつ相手を視界に入れた俺は、そこでこれでもかと目を見開いた。


「やだ、なんでそんな格好なんです?もしかして・・・・・・寝坊しました?」


 そこには、いつものスーツではない、私服姿のキョーコが立っていた。別れてからは仕事終わりにしか会っていなかったため、久しぶりに見る私服姿だった。露わになった鎖骨のラインに、思わず喉が鳴る。

「な、なんで、家に・・・・・・」

「?映画行こうって約束しましたよね」

「え!?それって確か来週じゃ・・・・・・」

「丁度良い時間のが無いから、一週早くしましょうって、メールしましたよね。忘れたんですか?」

 忘れていた。すっかり忘れていた。
 久しぶりに休みが重なり、かつ二人で出かけるのを渋っていたキョーコがようやく了承してくれたことに浮かれて。

「もう・・・・・・まあ、いいです。なんだか寝起きそのままって感じですね。夜、遅かったんですか?ならまた今度にしましょうか」

「いや!すぐ支度するから、待ってて!」

 今にも帰りそうな雰囲気のキョーコを玄関の中に引き込んで、俺は待ってるように言い含めた。足をもつれさせながら、部屋に飛び込む。クローゼットを開けて、適当に服を引っ張りだした。

「んん・・・・・・蓮?どうしたの?」

 そこで彼女が目を覚ましたようだった。俺はやっつけではいていたズボンも新しい物に変え、ベルトを締めながら首だけ彼女を振り返った。

「ごめん、友達と約束してたの忘れてた!ちょっと出てくる」

「はあ?今日はデートだって言ったじゃない」

「本当にごめん、埋め合わせはするから・・・・・・」

 財布をポケットに突っ込み、入ってきた時同様慌ただしく部屋を後にしようとすれば、背中にドン!と衝撃が走った。彼女が突進してきたのだ。

「・・・・・・友達を待たせてるんだ。離してくれないか?」

「彼女よりお友達が大事だっていうの?」

 すり、と彼女の手が俺の脚を意味ありげになぞる。次いでズボンの上から握り込まれて、俺はぎょっとした。

「何をするんだ!?」

「何って、彼女を蔑ろにする蓮に、お仕置き?」

 怯んだ一瞬を狙われ、床に引き倒される。のしかかられ、彼女の指が明確な意志を持って俺の体を探り出した。

「やめっ、やめろ!」

 ズボンの前をくつろげた彼女に、俺は焦った。襲われていることに関してではない。むしろ全く反応しない己に安堵しているくらいだ。だが玄関には、キョーコがいる。こんなところを見られては帰ってしまうかもしれない。「お邪魔しました!」なんて恐縮しながら去る後ろ姿が容易に想像できる。
 焦りから、声が大きくなってしまった。それがまずかった。



「蓮さん?どうかしたんですか?」


 キョーコの声がして、足音が近づいてくる。

「え・・・・・・女・・・・・・?」

 幸いにも、彼女の動きは止まった。けれど近づいてくる足音。俺はなんとか彼女を引き剥がそうとして――間に合わなかった。

「蓮さ・・・・・・って、え、ええええええっ!?」

 がちゃりと部屋のドアが開き、キョーコの叫び声が響きわたった。

「ちょっ、あっ、か、彼女さん!?やだ、言ってくれたら・・・・・・」

 そういえば、彼女は昨夜のままでほぼ全裸だった。そんな姿で俺に乗り、しかも俺はズボンは全開で愛/撫されかかっている状態。キョーコはわたわたと慌てきり、そのまま回れ右をしようとしていた。

「待って!キョーコ!」

 誰だと俺に問いつめてくる彼女を無視して、俺はキョーコを呼び止めた。キョーコはそろりと振り返って、恐る恐るというように俺を見た。その視線が、一瞬俺の股/間に走らされ、キョーコの頬がぱあと赤く染まった。同時に、俺は体がどくんと脈打つのを感じた。

(え?)

 むくむくと、起きあがる感覚に狼狽する。彼女はそれに気づいたのか、勝ち誇った声で笑った。

「うふふ、体は正直ね」

 そしてあろうことか彼女は、すっかり立ち上がった俺のそれに腰を下ろした。

「~~~~~!!?」

 テンパった頭と、快/楽を享受しだす体。ぐちゃぐちゃになる中で、俺はキョーコに助けを求めた。


「きょ、っこ!きょーこ・・・・・・あっ、っ、」


 キョーコは手で顔を覆っていて、俺の声に応えるように、指の隙間からちらりと俺を覗き見る。
 涙で潤んだその眼差しに見つめられ、高鳴った胸につられるようにして、俺は絶/頂を迎えた。












「で、あんた誰?」

「・・・・・・蓮さんの友人です」

「友人ん?女の知り合いがいるなんて、私聞いてないわ!」

 リビングの方へ引っ込んでしまったキョーコを追いかけて、彼女はキョーコを問いつめていた。放心していた俺がリビングに着いた時には、彼女とあまり夜に会わなかったり、休日のデートの誘いを断っていたりしていたことも、キョーコを優先してのことだとバレてしまっていた。彼女は顔を歪め、キョーコを罵倒し始めた。

「フツー、彼女がいる男と、しかも彼女に秘密で二人きりで出かけたりする?信じられない!非常識な女!」

 彼女の怒りの矛先を向けられ、キョーコは黙って彼女の言葉を聞いていた。

「もしかして彼女になれるかもとか、期待してたんじゃないでしょうね。お生憎様、さっきの見たでしょう?私と蓮は愛し合ってるのよ!第一あんたみたいな地味女、蓮が相手にするわけないじゃない。わかったらさっさと出て行きなさいよ!二度と蓮とは会わないで!」

「・・・・・・わかりました」

「なっ!」

 俺をすっ飛ばして交わされる約束に、思わず声を上げた。

「ちょっと待ってくれ、なんで友達との付き合いを君に制限されなきゃいけないんだ!」

「何言ってるの?彼女に隠れて女と二人きりなんて、浮気よ浮気!当然のことよ」

「浮気って、友達だぞ!?」

「男と女で友情とか、あり得ないわよ!ほらあんたも、さっさと出てって!」

 すっと立ち上がるキョーコ。その表情に悲しみはあるものの、未練は見つからなくて・・・・・・別れを告げた時の姿によく似ていた。離れていこうとするキョーコの気配に、俺は叫んだ。



「行かないでくれ!キョーコっ!!」



 気づいたら、キョーコを腕の中に閉じこめていた。


「ちょっ・・・・・・っと!何してるのよ、蓮!」

「うるさい!もううんざりだ・・・・・・出ていってくれ!」

「はあ!?出てくのはそっちの女の方でしょ!」

「君が彼女だって理由で俺を束縛するのなら、もう終わりにしよう。別れてくれ!」

「はああああ!?」


 ぎゅっと抱きしめた腕の中、キョーコがきょとんとした目で俺を見上げていた。











「・・・・・・よかったんですか?彼女さん・・・・・・」

「いいんだ。それにもう、彼女じゃない」

 ソファーに隣合って二人、コーヒーを啜る。カップは色違いの同じ模様で、まだ付き合っている頃に買った物だ。なんだかあの頃に戻ったようで、俺は頬を緩めた。
 別れてから、キョーコが俺の部屋に上がっていったことはなかった。今日のように待ち合わせで部屋の前までは来ても、けして玄関から中に入ろうとしなかった。予期せぬ棚ぼたではあるものの、今この状況を生み出してくれたことだけは、彼女に感謝した。もう、『元』がつく彼女に。

「・・・・・・でもやっぱり、こうして二人で会うのはやめましょうか。また蓮さんに彼女ができて、誤解されたり悲しませたりしたくないですから」

 ことり、キョーコはカップを置いた。俺を振り仰ぐと、ぴょんと跳ねる短い髪がかわいらしい。

「・・・・・・いいんだよ。キョーコは友達なんだから」

 指に絡ませ、さらりさらりと逃げていく感触を楽しんでいたのに、キョーコはふるっと首を振ってそれを避けた。

「実際はそうでも、端からは見えませんよ。特に彼女の目から見れば、怪しいことこの上ないです。会うときは、誰か第三者の目があるように・・・・・・」

「共通の友人もいないのに、どうやって?まさか彼女と一緒に、なんて言い出さないよね」

「そんなの、気まずそうだから私も嫌です」

 むうとむくれて、そのままそっぽを向いてしまったキョーコを振り向かせたくて、膨らんだ頬をつつく。空気が抜けて萎んだ頬を押さえ、振り返りつつキョーコはずり、と座る位置をずらした。俺から離れるように。俺は離れた以上の距離を詰めて、キョーコを閉じこめるように床に手を着いた。ソファーの背もたれと俺とに挟まれて、キョーコは俺を見上げた。

「蓮さん・・・・・・?」

「・・・・・・ね、キョーコ。そんな気遣い、しなくていい方法があるんだ」

 柔い頬を撫でる。手のひらに馴染むその感触。
 愛しくて愛おしくて、欲しくて、たまらない。

「俺たち・・・・・・やり直そう?やっぱり俺、キョーコじゃないとだめなんだ。もう一度、俺と付き合って。俺の『彼女』になって・・・・・・」

 キョーコの頬を包み込む。不思議そうに開かれた唇が、俺を誘うように光って見えた。その誘惑にあらがうことなく、俺はキョーコとの距離をゼロにしようとした。














「嫌です」



「・・・・・・・・・・・・へ?」



 口を、キョーコの手のひらが塞いだ。間近に俺を見返すキョーコは、至極いつも通りの顔をしていた。

「・・・・・・キョーコ?」

「はい」

「えーっと・・・・・・もう一度、俺と付き合って欲しいんだけど・・・・・・」

「嫌ですよ」

「え!?」

「え?」

 訳が分からないという顔で返されて、衝撃を受ける。
 少なくとも、俺はキョーコに嫌われていないと思っていた。でなければ、別れた後も、こんな風に別れた相手と会ったりしないはず。まず、改めて友人関係を築こうなんて思わないだろう。それぐらいはわかる。
 だから、キョーコの中に、少しぐらいは俺への気持ちが残っていると淡い期待を持っていた。俺が意地を張っているだけで、俺が折れさえすれば元鞘に戻れると、心のどこかで信じていた。
 ・・・・・・のに。



「さっきまで他の女性と乳繰り合っていた人と、どうして付き合おうなんて思えるんですか?」



 心底不思議でたまらない、といった表情で返され、俺は後ずさった。ソファーから落ち、その拍子に後頭部をテーブルにぶつけたような気もするがどうでもいい。
 キョーコは座り直すと、へたり込んだ俺を見下ろしたままにこっと笑った。

「私、蓮さんの、頭が良いのにたまにアホみたいなぶっとんだ行動する所、好きでしたよ。人のことは言えないですけど、案外夢見がちでロマンチストな所とか、実は恥ずかしがりな所とか、全部。ずっとずっと、好きでしたよ」

 にこにことキョーコは笑顔なのに、なぜだろうか。背中に冷たいものが流れ始めた。


「だから、それが全部全部、通じてなかったんだなあって・・・・・・すごく、ショックだったんですよ」


 一瞬。キョーコの表情から、声から、感情が消えた。それは本当にわずかな間で、次の瞬間にはキョーコは天使のような微笑みを浮かべ、キョーコは俺の頭を撫でた。

「でも蓮さん、『お友達』のことは、すごくすごーく大切にしてくれますもんね」

 幼い子供にするように、よしよしと俺を撫でたまま、キョーコは笑みを深めた。


「彼女より『お友達』を優先したり、『お友達』の顔を見てイ/ッちゃったり、『お友達』に欲/情しちゃうような所、私、好きですよ?」


 キョーコに、過去形でなく好きと言われたことを喜ぶべきなのか、やたらと『お友達』を強調したセリフに絶望するべきなのか、わからない。とりあえず、キョーコがすごく怒っている・・・・・・辛うじてそれだけは、身にしみてよくわかった。
 元鞘なんてとんでもない。とっくに地に落ちていた俺の信頼。もしかしたら、友人になってくれたのは、キョーコをフったそのままの口でほざいた俺への復讐だったのかもしれない。
 笑顔の裏に隠れていたのだろうキョーコの強い感情にゾッとするとともに、形容し難い・・・・・・歓喜によく似た、目の前が明るくなるような。そんな感覚に襲われた。

 だって俺の友人にとして付き合ってくれという言葉に頷いてくれたのは、どんな理由にせよ、俺のそばに居ることを選んでくれたってことだろう?





「それじゃ・・・・・・行きますか?映画、今ならギリギリ間に合いそうです」


 ソファーから腰を上げたキョーコは、すっと手を差し出した。その手を掴み、立ち上がる。衣服を整えた俺を見て、キョーコはにっこり笑った。笑顔に見惚れながら、あの夜景の綺麗なレストランに誘ったら、今日こそ一緒に行ってくれるだろうか・・・・・・そんなことばかり考えていた。



end.



補足的な。
・キョーコさんは色々確信犯。理由は薄々わかってるけど、それでも、別れようと言った蓮を恨んでる。だけど本心じゃなかったことも見抜いていて、あえて別れにも応じた。早速新しい彼女作りやがった蓮にご立腹だけど、明らか自分に好意を向けてきたり気を惹こうとしている様子から、生殺し作戦開始。だんだんこの状況を楽しみ始めた。もうなんて言うか、このキョーコさんSだわきっと。
・蓮はキョーコの手のひらの上・・・・・・な感じ。ちょっと愛を確かめたいなーなんて思って別れ話を出したのが運の尽き。新しい彼女を作ったのはもちろんキョーコに嫉妬してほしいから。今のところ、キョーコ嫉妬してくれないし、彼女にデートせがまれて鬱陶しいし、彼女のせいでキョーコとの時間減るしであんまりいいこと無いっぽい。
・最終的にキョーコの尻に敷かれる形で収まるだろう、屈折なう、なカップル。

 基本、私が書く話は私得でしかないですし、今回のこれは特にお口に合う方はそういないかもしれないですが(^^;)
 ちょっと歪んだ2人、と、いうことでお納めください~~~~!

 お粗末様でした。