『あわてんぼうのサンタクロース』の続きになります。
「サンタクロースですよね?」
「違うから」
「でもでも、服の上からでもわかるその鍛えられた腕!そしてすっと通った鼻筋に、鼻と目のバランス、耳の形!どれをとってもあなたはあの夜の……!」
「……っちょっと黙ってくれないか……!」
粗方、引っ越し荷物を片付け終わり、そろそろお開きという雰囲気が漂い始めた頃、私はサンタクロース……もとい 敦賀さん を問い詰めたところ、空き部屋に連れ込まれた。
「……サンタクロースなんて存在しないよ」
「いいえ、信じる人の元にはサンタクロースは来てくれます!その証拠に、昨年私にもプレゼントをくれました!」
「あれは君のお母さんが、君の眠った頃にそっと置いているんだよ」
「嘘です。だって私は見ました!サンタクロースが、あなたが靴下にプレゼントを入れている場面を」
「元々プレゼントのある人には、幸福になるようおまじないをかけるだけだ!俺が君に用意した訳じゃ……っ!」
ぽろりと出てしまった言葉を止めるように、敦賀さんは口を手で押さえた。だけど、時すでに遅し。
私はというと、彼が墓穴を掘ったことよりも、初めて知る事実に目を丸くしていた。
それから、サンタクロースであることを認めた彼との付き合いが始まった。基本的には、敦賀さんの休みの日に私が部屋へ転がり込み、サンタクロース界の事情を聞くというスタンスだ。
いわく、サンタクロースになるには、サンタクロースの存在を信じていなければならないとか。
いわく、各県や、広い都道府県では各市の地区ごとにサンタクロースがいて、配達する範囲が決まっているとか。
いわく、サンタクロースになった人は自分の足で子供たちの欲しいものをリサーチし、プレゼントをもらえない子供にはプレゼントを、もらえた子供には更なる幸福が呼び込むようにとおまじないをかけるのだとか。
「つまり敦賀さんも、サンタクロースを信じているんですね」
そう言うと、敦賀さんは顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。その時の表情がかわいいな、なんて思ったのは内緒だ。
敦賀さんの家に通い、たまに夕食を作って一緒に食べたり、時には泊まったりもするようになった。ある日、敦賀さんはポツンと呟いた。
「サンタクロースを信じていて、本当に良かったと思うよ」
「どうしてですか?」
「……君に会えたから」
私が敦賀さんの姿を見たあの日が、敦賀さんの初めての仕事の日で。
眠る私に一目惚れしてしまい、動揺して姿を消す魔法が効かなかったのだと。
聞いたのは、敦賀さんがサンタクロースとわかってから一年後のクリスマス、の、翌日。
彼からのキスと、付き合ってほしいとの言葉に、私はこくりと頷いた。
17歳の誕生日の、次の日のことだった。
to be continued...