『サンタクロースの一目惚れ』の続きになります。
彼は普段は普通の人だった。
サンタクロースとして飛び回るのはクリスマス前日と当日のみ。いつもは引っ越し業者として働いて給料を得、生活する。どうして引っ越し屋さんなの、と聞いたら、住んでいる家族構成(子供がいるか)がわかるし、建物自体の構造から部屋割りまで見ることができるからだと言っていた。
彼といわゆる恋人のお付き合いを始めてからは、他愛ない話もするようになった。サンタクロースとしての敦賀さんだけでなく、素の敦賀さんに踏み込むように。敦賀さんも本音を隠さなくなってきた。例えば、今まで何の文句もなく食べていた私のご飯に、実はあれが嫌いだとか苦手だとか口にするようになった(もちろん、美味しいと誉めてくれることの方がずっと多い)。
偶然出会えた憧れの存在としてでなく、一人の男の人として、敦賀さんの存在が私の中に根づき、私が彼を「蓮」と呼び始めた頃。
18歳になる、前日のこと。
「一緒に暮らそう」
1日早いプレゼントを受け取って、私は目を瞬かせた。クリスマス当日、つまり私の誕生日には、彼はこの地域一帯の子供たちにプレゼントを配るべく奔走しているため前倒しになったのだ。
私は彼の目を見返して、その目がとても真剣なことに気づいた。
「キョーコに、そばにいてほしい」
居心地の良い、広い胸に抱き寄せられる。私はトクトクと早い蓮の心音を聞きながら、手の中にある指輪を握り締め、こっくり頷いた。
翌朝、蓮の姿はもう無かったけれど、私は幸せでいっぱいだった。
左の薬指に光る、小さな輝き。
いつか結ばれることを約束したそれをそっと抱き締めて、私は幸せな誕生日を迎えた。
to be continued...