こちら(倉庫)に収納するにあたって、主題と副題を逆にしてみました。
サブタイトルは『病んでる兄妹は好きですか?』です。
病んでるというか、 ただのバカップル?
カイセツ風味ですが、パラレル兄妹で!
ですがモブキャラ視点です。
蓮さんひどい男なのかもしれない。
私は世界一幸せになるはずだった。
誰もが羨む美貌に、春の日溜まりのようでいて紳士な性格。
そんなおとぎ話か少女漫画の中にしかいないような、完璧な恋人。
知り合って半年、同棲してから3ヶ月しか経ってないけれど、その恋人と幸せな結婚をするはずだった。
そのはずだった……のに。
「で、結婚するにあたって、君に飲んでもらいたい条件なんだけど」
テーブルに並べられたのは、彼が前々から注文していたという結婚指輪。けして小さくないダイヤの指輪は有名なデザイナーによる特別製で、この世に二つしかない…そのはずだった。
なのに、並んでいる指輪は、三つ。
なぜか存在する三つ目の指輪は、彼自身の手で、彼の隣に座る女の指に通された。
「俺は何より妹のことを最優先するけど、それに対して一切口出ししないこと。もちろん一緒に住むから。あと、俺と妹は同じ部屋ね。兄妹なんだから当たり前だろう?それと家事は妹がするから。なんでって妹の方が君よりも上手だからね。3ヶ月も同棲したんだからわかるよ。ああそうそう、俺たちの部屋には入らないでくれる?用があったらこっちから声かけるから、それ以外はほっといてくれればいいよ」
唖然としている私に構わず、彼はつらつらと、彼曰く『条件』を挙げていく。
私はますますわからなくなって、彼に私を愛して結婚するんじゃないのかと、聞いてしまった。だって彼は、私に指輪をはめるどころか、手渡してさえくれていない。
テーブルに放られたままの指輪が、蛍光灯の光を受けて美しくもむなしく輝いている。
彼はぽかんとした後、肩を竦めながら答えた。
「君のことはもちろん嫌いじゃないよ。でなけりゃ結婚なんて言い出さないさ。でも、愛してるかと聞かれたら困るな。だって俺が愛してるのは妹だけだから。俺も妹だけに愛してもらえればそれでいいしね。だから結婚したって、恋愛に関しては自由だよ。俺たちに迷惑さえかけなければ、ね」
彼はそう言って、彼の妹の手に口付けていた。忠誠を誓う騎士のごとく、彼は妹を抱き寄せて幸せそうに笑った。
目の前にいる男が、宇宙人に見えた瞬間だった。
その後もどうにか話を繋げようと頑張ったけれど、彼に私の声が届かなかった。私はとうとうはめることのなかった指輪を投げつけて、彼の家を飛び出した。
信じられない!
その言葉が駆け巡り、イライラとした私は道端の小石を思い切り蹴っ飛ばしたのだった。
「行っちゃったけど、よかったの?」
「別に…。それより、指輪返されたってことは、結婚しないってことかな?どうしようか」
「兄さんがあの人と結婚したいなら、追いかけるべきだと思う」
「うーん。別に彼女じゃないといけないわけじゃないからなあ…彼女なら引き受けてくれるかな?って思ったんだけど、見込み違いだったみたいだ」
「次はもっといい人、見つかるといいね」
「そうだね。早く、周りからうるさく言われないところで、キョーコと暮らしたいな」
「そうね、蓮兄さん」
(あなたを独占できないと知って、あの条件を飲む女なんていないって、わかってるけど)
end.