ひっそり人気だった愛しているのにシリーズですが、アンコールにお応えして、ちょこっと書いてみました!
アンコールと言いつつ、まだキョコ監/禁中の蓮サイドと、キョーコサイドです。
一つ前の兄妹SSより、こっちの方が病んでると思います←
アブナいお酒(蓮)
白い肌をほんのりと赤く染め、ふにゃふにゃになった体をベッドに横たえた。
「れん・・・・・・」
離れる手前で、思いの外強い力で引き留められる。薄く開かれた唇から、熱のこもった吐息が腕をくすぐった。焦げ茶色の瞳はとろりと蕩けた眼差しを俺に注ぐ。風呂上がりのアルコールは、思ったよりも早くキョーコの体を支配したらしい。
「どこいくの・・・・・・?いっちゃいや・・・・・・」
絡ませるように身を寄せてくるその様は、蛇のようだった。小さな唇から、ちらちらと赤い舌が踊って見える。
その姿に俺は興奮と――苛立ちを覚えた。
どこでそんな仕草を覚えて、男を誘ってきたのか・・・・・・と。
じりじりと、嫉妬の炎が燃える。
「れん・・・・・・れん・・・・・・」
譫言のように俺を呼ぶ、甘ったるい声。首にぺたりと触れた手のひらの熱さに誘われ、俺はベッドに乗り上げた。俺よりずっと小さな手が這い上がり、くしゃりと髪の毛を掻き混ぜる。引き寄せられる気配にあらがわず、俺はキョーコに触れた。
重なった唇からは、酒の味がした。熱い舌が探るように伸びてきて、自分のそれを絡ませながら、俺はキョーコのことを観察していた。
素面の時には恥ずかしげに閉じられているが、今はうっとりと細められた瞳。腰に絡みついてきた脚を撫で上げれば、細腰が淫らに揺れた。
アルコール一つで、ここまで乱れるのか。
うっすら汗を浮かべる額にかかった前髪を掻き上げてやると、メイクこそ無いものの、あの日のキョーコそっくりになった。
玄関先ではち合わせた、あの日のような。
「いた、っい・・・・・・」
衝動に任せ、キョーコの肩に歯を立てた。赤く残る歯の痕。消えない、濃いそれに俺は心のどこかが満たされる気がして、うっそりと笑った。
爪の先すら触れさせない。髪の一筋も渡さない。もう、誰にも。
キョーコは、俺の物だ。
「キョーコ・・・・・・」
呼ぶと、キョーコは笑った。京都にいた頃のような、純粋なままに。その笑顔が眩しくて、綺麗で――――ぐちゃぐちゃに、壊してしまいたい。もっと、俺なしではいられないようにしてしまいたい。
全部全部、俺の物にして。俺の知らない所なんて、一つも無いように。
「れん・・・・・・・・・・・・蓮、好き」
幼く笑うキョーコを抱きしめ、俺はベッドにその体を沈めた。脚を絡ませて、熱い胸を重ねる。
そうして、知るための指を這わせた。
アブナいお酒(キョーコ)
自分が顔に出やすいタイプだと、よく知っている。すぐに赤くなるから酔ったフリが簡単だったし、それを口実にお酒をすすめることも容易だった。だけど頭は冴えたままで、お客を通して蓮を見ていて、違和感を覚えることなんてしょっちゅうあった。
「れん・・・・・・」
だから今も、本当はこんな舌っ足らずじゃなくても話せるし、多少ふらつくだろうけど自分の足で歩ける。だけど蓮に触れていたいから、酔って、動けないフリをする。わざとだって知ったら、蓮はどんな顔をするだろう。想像したらなんだか楽しくて、私はくすくす笑った。
そうしていると、ベッドにたどり着いてしまった。そっとふかふかのベッドにおろされると、蓮の腕が離れていってしまう。
「どこいくの・・・・・・?いっちゃいや・・・・・・」
ぎゅっと抱きしめて引き留めれば、蓮の目が眇められる。冷静さを被った、秀麗な顔にじわりと広がる、蓮の『男』の顔。それに乗じて、お風呂上がりの汗ばんだ体を押しつける。
腕を、脚を、頬を擦り寄せて。
酔いに任せてでもないと出せないような、とびっきり甘えた声で呼んで、蓮の首にぺたぺたと手のひらを押しつける。
私の熱が、移ってしまえばいい。
その願いが通じたのか、蓮が覆い被さってきた。首の後ろに腕を回して引き寄せれば、抵抗なく蓮の唇がおりてくる。
自分から唇を重ねて、蓮の体に触れる。そうすると、私の中の何かが暴走する。体の奥がジンと痺れて、蓮が欲しくてたまらない。その衝動に任せていると、不意に肩口に痛みが走った。
「いた、っい・・・・・・」
じくじくと痛む肩。生理的な涙を浮かべて見上げると、瞳に仄暗い光を宿して、蓮が私を見下ろしていた。
そこには確かに、歓喜のようなものも、見えた。
「キョーコ・・・・・・」
悦びに震えている声に、私は微笑んだ。
そう、全部全部、蓮のもの。
この体も、心も。『キョーコ』と名のつく全てが、蓮のもの。
私は蓮のものだから、蓮から与えられるものなら、傷だって構わない。だってそれは、私が蓮のものだっていう証なのだから。
「れん・・・・・・」
だから全て、暴いて欲しい。ほんのわずかにも、この想いに隙間なんて無いことを。
触れる指が知らないことなんて、一つを除いてありはしない。ほんの少し、蓮の悋気を煽っていること――それ以外には。
「・・・・・・蓮、好き」
無遠慮に走る指を、私は猫のように鳴いて受け入れた。
end.
メモ
2014/7/16
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