アパートはガスコンロだが、冬の内に引っ越す先の
実家はIHだから、どちらも兼用のを買うことにした。
そんなに素晴らしいのは要らないが、780円みたいなのも
違うなということで、ダイエーで見たら780円みたいなのの次が
2800円ぐらいので、高いなあと思いながら買った。
帰ってパッケージをはがすときによく見たら:
50000回擦り試験に耐えたぜコイツは
という趣旨のことが書いてある。
そんなことがいくら書いてあってもイチイチ信用したり感動したり
していられないから、意にも介さず剥がしてゴミ箱へ放り込む。
柄(え)の根元には:
ココは熱くなるから気を付けろ
という注意喚起のシールが貼ってあった。
よく見る注意書きだが、これを貼ったまま火にかけたりできないから、
剥がして使って、そうそう、ココは熱くなるのよね、
気を付けましょうって注意し続けていられるワタシだと思うのか、
と思う。
シールを剥がしたら、50000回擦り試験合格のフライパンの
柄の塗装は、シールのウラにくっついて剥げた。
いやはや。いやはやいやはやいやはや。
これは。
50000回擦り耐久試験は本体の内側にしたんだろうが、
柄の塗装がこれではな。
2800円の価値があるとは信じがたい。
ちょっと意気消沈しつつ洗って片づけた。
翌朝、大好きな目玉焼を作るのに使ったら、全然くっつかず、
しかも早く焼けた。
今までは、白身ばかりどんどん固まって、黄身はいつまでも
中まで火が通らないから、水を差してフタをしていた。
すると目玉焼をたった一つ作っただけで
フライパン
フライパンのフタ
フライパンから皿に移す時に使う箸
皿
食べる用のカトラリー
という大量の洗い物が生まれた。
しかし新しいフライパンはフタなしで黄身に火が通る。
そして、くっつかないから箸が要らなかった。
気が付いたが、表面が普通のザラッとしたテフロンではなく、
つるっとしていて、今までのどのフライパンより重い。
そのぶん厚みがあるようだ。
昨日のガッカリはちょっと持ち直した。
さらに翌朝、トマトとピーマンの卵料理を作ったら、
これも早く出来て、しかもなんとなく美味しかった。
翌朝ふたたび同じ卵料理をして、以下の発見をした:
・トマトから出た汁でフライパンが水びたしになるはずのところが、
そうならない
・汁の多くはトマト内にとどまったまま火が通り、
・出てきた汁はすぐに水分が飛んで煮詰まって行く
・だから、なんだかいつもより美味しいし、
・皿に移してからも、皿がトマト汁びたしにならないため、
いっしょに置いた他の食べ物やパンがトマト汁に侵されない
フライパンが良いということは、こういうことなのかと知った。
このフライパンは、良いフライパンなのだ。
さすがの50000回擦り耐久試験合格品だ。
このような名品を2800円で売ってくれるとは、なんて謙虚なのだろう。
そうか、価格を押さえるためにどうでもいい柄の根元の塗装は
品質が低いのだ。そうだ、柄の根元なんか好きに剥げるがいい。
欠点は、ある。
柄がとことん空洞なため、洗った時に中に水がたくさん入り、
水切りカゴで本体がカラカラに乾いていても、片付けようと
手に持つと、柄からじゃあじゃあ水が出てきて床を濡らす。
どこまで空洞なのだろうかと、指を入れてみたが、指の届く限りの
範囲はとにかく空虚であって、そうなると、その先で突然中身が
詰まり出すことになっているとは思いにくいから
端から端まで空洞だと推察される。
本体が重いからせめて柄を軽くしようということかも知れない。
となると、柄の中の清潔を保つ努力が必要になる。
私は潔癖症気味だから、これは捨て置けない。
柄はぜひともソリッドにしておいて欲しかったものだ。
何かと行き届かぬ柄周辺だが、早く美味しく料理ができる
のだから、慶んで目をつむろうではないことか。
大きい方のティファールを買い換えるときも、絶対コレにしようと思う。
なくなったら嫌だから、もう買っとこうかという勢いだが、
大きくなると相当重いかもという点を覚悟しなければ。