山地に住んでいると、ムシが生活にすごくかかわってくるから
夏はただでさえめんどくさいのに、私の借りているアパートは
個々のアパートメントの玄関燈が暗くなると勝手に点く式で、
消したいとか点けたいとかテナントの方で調節できないから、
暗くなって帰って来ると、明々と灯った玄関燈の周りはムシのたまり場
となっており、部屋に入るにはドアにたかるいろいろのムシを追い払ったり、
追い払えない場合はムシがじっとしていてくれることを祈り祈り
そおっと入ったり、追い払ってもめちゃくちゃに飛び回るヤツが
私とともに入室したり、あまつさえ私にとまって一緒に入室したり、
大変なことが多くて大変だ。
しかも、通路の突き当りにあるからか何なのか知らないが、
私の玄関は、他の玄関よりも明らかにムシ度が何倍も高い。
で、金曜日のこと。
暗くなってから帰ってきたら、玄関ドアに、細かい羽虫たちに交じって
タチの悪いのが付着していた。真緑色のカメムシだ。
それがドアに1匹、ドアホン付近に1匹とまっていた。
一気に盛り下がる私の心。
羽虫はいつもプーッと息を吹きかけることで散らす。
カメムシもそれで飛んでくれることが少なくないから、吹いてみたところ、
ドアホンの方は飛んで行ってくれたが、ドア上の方が頑張っている。
カギの先でつんつんしてみたが、意固地になって殊更にドアにしがみつく。
ドアをガタガタさせると蛾などが離れてくれることもあるから、ドアレバーの端に
3本ほど指先をかけてガタガタさせてみたが、びくともしない。
なんでやねん!!ヽ(`Д´#)ノ
ハラは立つし、非常に困る。
なにせカメムシだから、乱暴にすると屁をヒられてしまう。
くそう、完璧に防御しやがって。
しかし、防御もクソも、私はカメムシを食べたいとか殺したいとか思っていないのだ。
ただちょっとどいてもらいたいだけなのに、無意味な防御をしやがって、アホか。
ほう~そうか。そっちがその気ならこっちにも考えがある!
そのままドア上を動かないことを祈りながら、そおっと開けて
そおっと入ってやるぜ。( ̄▼ ̄)ニヤリ
とりあえず開錠だ。開錠の振動で飛んで行ってくれるのでは、という最後の望みを
かけて、荒々しく開錠するも、飛ばず。そんなにこのドアが好きか!バカめ!!
そんなら飽くまでじっとしてろよ、このカメムシ野郎。
カメムシの野郎から目を離さぬようにして、ドアレバーに左手を伸ばす。|ョ゚Д゚;)ドキドキ
そおっと開けるつもりではあるが、スチール製の、放すと勝手に閉まるヤツだから
引くときには割と力が必要ということで、レバーは真ん中をガッチリ握らねばならぬ。
・・・ガッチリ。グシャ。え?
\ンギャアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!/
アパートの通路で絶叫する私。
レバーを握った瞬間何かを握りつぶしたイヤな感触が手に!!!
グシャっとわッッッ!?
パニックの中、何かが落ちた音をたどって足元に目をやると、
真緑色のカメムシが!!!!!と、思うと同時に襲うパクチーのにおい!!!!
そして左手の指先に濡れた感触が!!!!!
ドアレバーのウラにも付いていたのだ、もう1匹のカメムシ野郎が。
ギャアア、ギャアアアア、ギャアアアアアア!!!!!
さすがに最初のひと叫び以上の絶叫は頑張って抑えたが、頭の中は
絶叫一色のまま、足だけがクルクル回転して室内へ身体を運び、
ほとんどマヒする脳の片隅にパシパシと発光する
「手洗い!!」「洗剤!!!」「ニオイ消し!!!!!」
という信号が私を台所から洗面所へと導く。
はっきり覚えてないが、台所で洗剤をムンズと掴み、
洗面所に移って洗剤をつけては指先をこすり合わせて流し、を数回繰り返したのち、
カビキラーをつけて爪ブラシで擦り、を何度か行ったのち、やや落ち着いたので
指先のニオイを嗅いだらまだ臭いので、ミューズをつけて爪ブラシ、のち
ロクシタンのラベンダー石鹸でも洗い、というようなことをしたと思うが、
完全にはにおいが取れなかった。
これ以上は時間に任せるしかなかろうと、やっと一息ついて、
熊に襲われた人が逃げ込んだかというようなカオスの玄関から廊下を片付けた。
においも憎々憎々しいが、以前、寝ている時に腕にとまられて、無意識に触ってしまったときに
カメムシ屁を、カメムシベをヒられたときは、液が付いたところが赤く水膨れになり、
しばらく痛痒かったので、すぐにも成分を除去したかったのだ。
しかしその点は何ともなかった。腕の内側と指先とでは皮の強度が違うからかもしれない。
豆知識を述べると:狭い空間で屁をヒると、ヒった本人のカメムシも
自分の屁の毒、じへどくで死んでしまうらしい。
なんじゃそらあ!!!
それにしても、なんというバカか。
後生ですからちょっとどいてください、というこの人間様の
小さな願いを聞き入れず、コッソリ隠れてまで頑張ったために
潰されて一命を落とすとは。
そんなにもこのドアにくっついていることが重要かどうか、
ちょっと考えればわかることではないか。
こんな簡単な理屈も分からんクセに繁栄するとは、どうなっているのか自然界は。
ドアレバーの掃除もしたいところだが、カメムシだらけの戸外と通じるのは
もう絶対イヤだったので、翌日に持ち越した。
翌日の土曜日は朝から真夏のようなカンカン照りで、そのせいか何だか知らないが
ドアレバーのあたりはもう臭くも何ともなかった。
一応掃除したが、不思議なことに、潰したはずのカメムシもいなくなっていた。
なぜだろう。絶対無事のはずはないのだが。最後の力を振り絞って飛んだのか。
その飛ぶのをもうちっとハヤクできなかったのか。バカめ。
そうだ、今気が付いたが、もともとドアに止まっていたカメムシ野郎の方は
グシャ、ギャアア、プーン(ニオイ)に反応してその場を飛び去った。
そのブーンという羽音をパニックの中で聞いたことを思い出した。
ヤバイ、襲われてる!とでも思ったか。遅いわ、バカめ。
こっちに食う気があったら息を吹きかけられた時点で終わりではないか。
ところで、2年ほど前にも、私は室内で空飛ぶゴキブリと戦って
絶叫したことがあるのだ。
近所の人々は私をなんだと思っているだろう。
とりあえず一人で騒いで申し訳ないとは思うが、しかし不思議だ。
近所の人々はなんだってアッともギャッとも叫ばないのだろう。