会社の同じフロアの関連会社に、派遣の女の人がいる。
お昼ごはんのあとの歯磨きの時間に一言二言話すだけの間柄だが、
ちりも積もって、この人がウサギを飼っていることが分かってきた。
ある日、この酷暑の中ウサギはどのようにお留守番をしているのか、
お互いに化粧を直しながら尋ねたら、エアコンフル回転にしてます、
と言いながら、リアルタイムのモニター映像を見せてくれた。
セピア色のウサギが、柵の中の布団の上で端然と座って
まっすぐこちらを見ている。
私は猫しか飼ったことがないが、猫というものは、起きていると
凛凛しいのに、大体は寝ており、暑いと仰向けにバンザイの形
になっていたりして、大変にシマリがない。
独りでこんなにきちんとしているなんて、と驚いた。
モニターは大阪府北部地震の後、設置したという。
地震の朝、一旦出社できたもののウサギが心配で取って返し、
困難を乗り越えて帰宅して、「大丈夫!?」 と顔を見たら、
どうもなんとも思っていない模様だったという。
そうと分かっていたら、なにも慌てて帰らなくても良かった、という経験から、
モニター設置を思いついたというわけである。
「時間が経ってたからショックを忘れちゃったのもあるかもしれないけど、
そもそもだいぶんニブイみたいなんですよ。」
との見解に、ソックリの状況だったヤツを思い出し、
「あー!ウチのも一緒です!ウチのハハも同じでした!」
と、話があったように伝えてしまう私であった。
今考えると、大切なウサちゃんを認知症のバアサンといっしょにしたのは
失礼だったかも知れぬ。