東大寺のお水取り見物に行ったら、
一緒に行ったバリィさんが小腹サポートにジャガビーをくれた。
暗闇で見たそれをじゃがりこだと思い込んでいた私は、
差し出された容器から1本取って、あの独特の堅さを覚悟して口に入れ、
そのサクサク感に驚いた。
味がなんとなく嫌いではないので、1年に1回やそこらはじゃがりこを買ってしまう。
買ってしまうが、食べ始めるとそのガリガリ感を大変残念に思ってきた。
もうかなりのロングセラー商品であるから、このガリガリが愛されているのだろうが、
私はこれが脳にひびく。
なぜか今まで無視してきたジャガビーだが、こんなに私にやさしいのなら
これからは愛顧するとしよう。
そう決めた。
ところで、お水取り見物の2日後は父の命日であった。
甘いものやスナック菓子が大好きな、子供味覚であった父のため、
命日や誕生日には必ず甘辛バランスよく菓子を買ってきて
仏壇に供え、般若心経を唱えるのが私のならわしである。
お水取りでジャガビーに開眼し、じゃがりこと決別を決めたところであったが、
このとき、家にはすでに命日用に買った菓子類が用意済みであり、
その中にじゃがりこがあった。
仏壇から下げてきたじゃがりこを、本日、人生最後のじゃがりことして食べた。
優しさに欠ける噛みごこちで脳天が騒がしい感じに困りながら
容器を読んでいたら、
「堅いので口の中をケガしないようにせよ。」
という注意喚起がしてあるのに気付いた。
(はあ、やっぱりケガしたやんけおるぁ、ってクレーム来ることあるんかもしれんな。)
と推察したとたん、大まかにかみ砕いたうちの大きな破片が
口の中でタテになって、私の右奥歯の歯茎を切った。
人生最後のじゃがりこにやられてしまった私だ。
しばらくそこから血が染み出して、それが妙においしかった。
バリィさんと連れ立って行った日のお水取りは、例年にない強風の中で執り行われ、
風にあおられたお松明のデンジャラスな燃え具合がスペクタクルであった。