(英語版は明日(か明後日))
兵庫県在住ではあるが、筆者はうどんに関しては根っからの大阪人。
コシのない、へにょへにょのひろひろのうどんがスキである。
だから、近所に丸亀製麺ができてもしばらく寄り付きもしなかった。
讃岐うどんなど、コシの権化である。ひろひろの彼岸である。
ぜんぜん食べたいとは思わない。
しかし、ある日、カレーライスを求めてさまよった挙句に
もうカレーうどんでいいや、とフラフラ入店してからは
時々利用するようになった。
ここのうどんは、つまるところ、あまり讃岐ではないのだ。
アメリカのスシみたいに大阪の讃岐うどんもローカライズされて
軟弱になっているものと思われる。
筆者にはうれしいニュースであった。
さて、毎月1日は 「釜揚げうどんの日」 である。
釜揚げうどんが並だとたったの145円だ。
だし汁が麺の醍醐味だと思っている筆者には関係ないが、
ある日の昼時、店に入ったらいつもより客が多く、
しばし考えると何月かの1日だったことがあった。
列の最後尾について待つ筆者のすぐ前は壮年期の夫婦連れであった。
この夫婦の会話を聞くともなしに聞いていて判明したところによると、
夫の方は妻に連れられて、その日が初来店である模様だ。
もちろん妻は夫ともども 釜揚げうどん・並 を注文し、夫婦で
290円、天ぷらを足しても5~600円でその日の昼食を済ませようと
心づもりしているわけである。
列に並んで待ちながら、夫はだんだんと妻によって予定された
自分のその日の昼食内容を悟り、さらにその価格を知るのであった。
そして、丸亀製麺と「釜揚げうどんの日」に関する夫の知識の習得と、
それに伴って次第に濃くなる夫の驚き、といったプライベートな精神の営みを
赤の他人・筆者は真後ろで体感することになり、
充実の待ち時間を過ごすことができた。
途中から音量が大きくなった夫の発言を
聞いたままの間合いにてここに表現したいと思う。
妻の返事は常に短く、クールなものであった。
ヒアウィーゴー。
3
2
1
夫 「145円?!?!」
妻 「そう。」
夫 「ほんまか。」
妻 「ほんまや。」
夫 「・・・ほんーまに、145円か?」
妻 「そうや。」
夫 「ソレだけか!?」
妻 「ソレだけや。」
夫 「・・・ほんっまのほんまにほんまかソレ!」
妻 「ほんまやて。そこ、書いたあるやん。」
夫 「えーーー。」
夫 「・・・・・・・スゴイなー。」
といった具合である。
こんなに念を押している人はあまり見たことがない、
というぐらいこの人は念を押していた。
美味しかっただろうか。そうだとさぞ嬉しかったことだろう。
カミサマ、この人が美味しいと思えましたように。