セミとジイサン A Cicada and My Old Uncle | zuzu's room ズーズーズルーム

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ジイサンこと筆者の叔父が往生したので、

又従弟、つまりヤツの孫息子が遺体を前に

「印象に残るジイサンの思い出話」

として語り、爆笑を呼んだエピソードを紹介し、

故人へのはなむけとしたい。



5年ほど前のある夏の日、窓からセミが飛び込んで、

和室内を大騒ぎして飛び回った挙句に壁に止まったそのセミを

ジイサンは、ジイサンにしては俊敏にも素手で掴んで

窓から外へ投げたという。



そこまではマゴも内心 

(ジイサンにしてはやるナ。)

と思ったのだが、

ムシというのは救いがたく愚かであるので、

せっかく窓の外へ投げてもらったのに、

数十センチ先でUターンして自らの推進力で戻ってきてしまったという。

アホである。



たちまちのうちに室内に逆戻りするセミ。

それほどの異常事態にも気づかず、

「ヨシ。」

とばかりにセミ再突入直後の窓をピッチリ閉めるジイサン。



マゴがセミを追うと、セミはもといた和室のほぼ同じ位置に

止まっていたため、

一仕事終え、自らの手際に満足ゲなジイサンに

「ジイサン、ジイサン、せみ戻ってきてるよ。」

と注意すると、

「ヘッ!?」

と驚き、同手順によって2度目は成功したという。



ジイサン、ありがとう。

今はちょっとコレしか思いつかないけど、

スットボケた逸話をいろいろ遺してくれて。

死んだあとまで遺族に笑いをくれて。



晩年は世話もしてあげたけど、子供のころから長い間、

医学的には小まめに、叔父的にはまあまあ世話してくれたジイサン。

ウチのややこしいバアサンの健康やら精神やらがいろいろえらいことの

ときにも、いつも必ず

ってほどでもないが、助けを求めたときは

いつも必ず助けてくれたジイサン。

うちのオトンが亡くなってからは、父親のかわりになってくれた

ってほどではゼンゼンないが、なんとなく男の家族がいなくなった寂しさを

埋めてくれたジイサン。



全体的に、助けるってほどのことをするでもないが、

なんとなーくそこにいてくれたことで

なんとなーく私は助かったのです。

ありがとう。



ボロボロになるまで生きて、お疲れさんでした。

ウチのバアサン、もうちょっとだけこっちでがんばらすけど

そのうち、そっちへ行ったら、

また兄妹仲良くしてください。



ほなまたね。

また会おうね!