筆者が生まれるにあたって数々の本人には迷惑な条件が
規定されたようなのだが、その中に:
一、この子が大人になったら睡眠時間も削って必死で働いて
少し多めに報酬を得た月はもれなく予期せぬ支出を増やすものとする
というものがある。
この条項のせいで、筆者はここ数年預金残高が期待通りに増えているのを
見たことがほとんどない。
そんな筆者にとってガソリンスタンドは大変いけない。
筆者はたいてい1ヶ月に1回、セルフのガソリンスタンドに行って
30リットル給油する。
セルフといえども、ときどき店員がやってきて
「中、見ときましょかー?」
とか、
「洗車は(ホントに)いいんですか(こんなんなってますけど)?」
とかの攻めを撃ってくるが、全て「今日はいいス」で撃退する。
やってもらうのは
「タイヤの圧みときましょかー?」
だけだ。タイヤの圧チェックはあまりめんどくさいことに発展しない。
つい先日も給油して、去年の年末以来洗車していないことが
店員にバレないうちにサアッと帰ろうと思っていたのに、
事態は洗車などという牧歌的な話とはかけ離れた大変な方向へ
進んでしまった。
タイヤ祭が開催中だったところへノコノコ給油しに行ってしまったのである。
飛んで火にいる夏の虫とは筆者と筆者のクルマのことである。
店員があっちやこっちからワラワラと寄って来て、
お客さん!!おたくのタイヤもうあきまへんで。えらいことでっせ。
これではもう、とても安全な走行はできないでしょう。
事故りますよ。死にますよ。今タイヤお安くなってますよ。
という趣旨のことをこの100倍ぐらいの語数で
こちらに息もつかせぬ勢いにて機銃掃射である。
筆者はタイヤを”ついこの間”替えたところだと思っていたのであるが、
改めてよく考えると3年以上前であった。
しかし、年間の走行距離が2000km台でしかない筆者である。
3年半なら8000kmしか走っていないのに、
もうあきまへんでってことがあるか。
みたいなことを言って応戦したら、
擦り減ってるんとは違います、劣化してるんです。ホレ、ここ見てみなはれ!
ヒビ割れ始まってまっせ!えらいこってっせ!!
これではもう、とても安全な走行はできないでしょう!!とてもこれでは。もう。
とのことである。
そして、筆者の陣地に命中した砲弾はコレである:
今なら、今履いてるのと同じタイヤ4本に工賃つけて、
5万円ポッキリでやらさしてもらいます!!!!!
ココ、コイツは・・・・・安いことは安い・・・・・・!!!
今履いてるのは工賃を入れて8万円だったのである。
ものすごく安い。
安いことは安いが、しかしごまんえんはどうひねってもごまんえんである。
筆者にとってスーパー帰りに急に決めたくなる金額ではない。
それに。
それにだ。
さっきからどうしても思ってしまうが、
筆者、このタイヤで8000kmしか走っていない!!
なんとかしなければいけない。
ここにこれ以上長居して、こんな勢いでこんな格安の話を聞いていたら
「予約の紙」とやらにサインさせられてしまう。
筆者にはおちついて検証する時間が必要であった。
筆者 「今日は、今日はイヤッ!一旦帰らしてもらうッ!!」
店員 「なんでッ!?ナニがイヤ?!?!”予約の紙”だけでも書いていけッ!!」
筆者 「8000キロで替えなあかんなんて、スグには信じられへんのッ!!!」
店員 「予約の紙!予約の紙をッ!!!!」
筆者 「決めたらまた来るッ!!! ブォン!(エンジン始動)ヴオオオォォォ(去る)!!!」
息詰まる攻防を経て辛くも戦略的撤退だ。
ハアハア。
店を出て、
タイヤ、5万円、8000キロ、3年、
タイヤ、5万、工賃込み、3年、安い、しかし。
と目まぐるしい思いで家に向かう中、突如として筆者は
それとは全く別の、もう一つの「金かかる」事態が勃発していることに気がついた。
エアコンの送風口から、なんか出てる・・・!?
エアコンの送風口から、何かがはみ出ているのだ。
赤信号で観察すると、7mm×3㎝ほどのスポンジの切れはしである。
指でつまんで引っ張り出す。
その後ろに同様のスポンジが顔を出しかけているのが見えた。
なんなのだ、これは?
なんなのだ、このタイミングは?
そういえば、である。
この頃通風孔を閉めても外の空気がちょっと入ってくるので
フィルターのあたりがいけない感じなのは、薄々知っていた。
だが、このスポンジはなんなのか。
しかも、このタイミングでか?え?神さんよ!?
しかし、よく考えたらコイツは利用できるぞ。
と、すぐさまポジティブシンキングに入る筆者。
タイヤ交換についてさっきから筆者の脳裏には
”比嘉さん(整備工場の)のセカンドオピニオンを聞く”
というのが浮かんでは消えていた。
最良のソリューションには違いないが、
比嘉さんに頼んだっていいはずのタイヤ交換についての意見を
聞いて、「あ、そうでっか。」 とかいって帰ってくるなんて
あまり厚かましいマネのできない筆者にはムリであるから
浮かんでは消えていたのだが。
これはすばらしい口実ができたではないか。
サンキューだぜ、神さんよ!
うってかわってヤツに感謝する筆者である。
その足で比嘉さんのとこへ行って、
フィルターの様子がおかちーの。あと、ガソリンスタンドの人が
タイヤ替えないとダメってゆーけど、それホント!?
と言い付けたら、今すぐ替えないといけないってことはないけど、
まあ来年の春には替えた方がいい、
とのご意見だった。
そして、タイヤの寿命は3年、だそうである。
筆者にとって、自分しか乗らない自分のクルマはこのクルマが初めてなのだ。
父が生きている間は父の車を貸してもらい、父が死んでからは
初老になってから免許を取得し、急発進と急停車しかできないまま
数年で免許証を返上したバアサンとシェアしていたため、タイヤの寿命が
異常に短く、本来のタイヤの寿命を知ったのは今回が初めてだったのだ。
筆者の運転なら5年は行ってくれるかと思っていたのに3年とはな。
カンベンして欲しい。
しかし、ガソリンスタンドの主張は75%ぐらいは本当だったわけである。
それならば、来春まで待って8万払うより、今5万払う方が全くいいので
翌日タイヤ交換の”予約の紙”を書きに行って支払いを済ませ、
帰りにフィルター修理のため比嘉さんのところに納車した。
2日後、フィルター修理ができたというのでクルマを
取りに行ったら、なんとなくキレイになっていたので、比嘉さんに
きいたら 「一応洗車した」 とのことであった。
水洗いしてくれたものと思われ、よく見たらあんまりキレイではないが、
全体的になんとなくキレイであった。
これまで洗ってくれたことなかったのに、あまりの惨状に
たまらなくなって洗ってくれたのだろうか。
非常に喜ぶ筆者に、ただニコニコする比嘉さんであった。
比嘉さんはいい人だから、
「や、だってあんまり汚ねーからよ。」
とか、思っても言わない。
これで年末まで洗車しなくてオッケーである。
フィルター修理代は7500円と、5万円で傷ついた筆者の心を
慰めてくれる値段であったのに、しかもなんとなくキレイにまでしてもらって
お値段以上であった。
次に、タイヤ交換をしに行って1時間後引き取りに行ったら、
今度は整備士のオッサンに
ブレーキオイルもエンジンオイルも真っっっ黒!!
こんなことではとても安全な走行はできないでしょう。
もう、とてもこれでは。
とか言われてしまったが、それでホントに真っ黒だったが、
もうマジ無理。というわけで帰って来た。
しかし、近々交換しなければならないだろう。
というようなわけで、ガッカリするのがイヤだから
記帳に行っていない筆者である。