おばちゃん  Aunty | zuzu's room ズーズーズルーム

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ハイ、ガイズ、元気かしら?


今日はとっても私事なハナシなの。

つまんなかったらごめんなさい。

しかも今日は英語版なしなの。許して。



こないだ喪服を買って用意していたところの

おばちゃんが亡くなったの。

97歳だから、まあいいのよ。

ホントは大叔母さんなんだけど、おばちゃんって呼んでるの。



この女は、スゴイの。

133センチ、30キロって感じなんだけど、

ナメてかかったら大ケガするわよ。火の様なバアさんなんだから。

この貧相な肉体にはね、

「気力」と「自尊心」と「強気」しか入ってないの。

そして、すき間を埋めているのは「人情」なのよ。

だけど、人情はあっても、生きるのにムダな弱さは

1ミリグラムも持ち合わせてないの。



アタシの大叔父の後妻に来て、大叔父は死んじゃって、

そのあと未亡人として生きた33年間、

仕事をしていたわけでもなく、子供を育てたわけでもなく、

ホントに特に何もしてなかったんだけど、

自分が自分であることのためにのみ生きた、

そんな女なの。



趣味は、たぶん、家と庭と自分を完璧に管理すること。

庭には雑草1本が5ミリに育つことも許さず、

老人らしい不潔感を心から憎んでいて、

常に「このばあさんは、清潔だ」って誰でもわかるような

身ぎれいさでいたわ。

風呂はカビを生やさないため、お風呂入るたびに

バスタオルで風呂中の水分を拭き取り、

冷蔵庫もトイレも廊下も窓も常にピッカピカ。

そんなことを、要介護認定を受けてからも

まだ続けていたのよ。

「キレイにするためなら死んでもいい」

みたいな気魄に満ちた生活態度なの。



頭脳なんか、もう冴え渡り切っていて、

たとえば、庭を眺めながらお茶をすすっていても、

実はその辺の凡人なんかとは全然やってることが違うの。

遠くから見ると「のんびり」って風景かもしれないけど、

近寄って顔を見てみると、のんびりどころの騒ぎじゃないわ。

鋭い視線で、庭に雑草や枯れた花が混じっていないか

スキャンしているの。



気の強さは上沼恵美子と細木数子と野村佐知代が

タバになってかかったって、まあかないっこないわね。

「こうだ」と思ったら、お釈迦様でもあの女を曲げることは

できないわ。

とは言っても、ムダなケンカをいつまでもするほどバカじゃないから、

不毛だと把握したら「そうだっか。」とか言って終わらせるんだけど、

譲ったわけじゃないの。いうなれば戦略的撤退かしら。



こんなことがあったわ。

おばちゃんの近所にヤクザの後家さんが住んでるの。

このヤクザって、生きてるとき、なんかよっぽど功労があったらしくって、

死んだ後も、後家さんは大ボスだか会長だかから生活に困らないだけの

手当てと、身の回りの世話をする若い衆をあてがわれ続けて、

「姐さん」って呼ばれて暮らしてたわけなのね。もう死んだけど。


ある日、この若い衆のうち2名が、粗大ゴミを小川に捨ててるところを

通りがかったウチのおばちゃんが目撃してしまったわけ。

若い衆って、つまりはヤクザでチンピラなわけじゃない?

アナタだったら、どうする?


おばちゃんはね、その場で1秒の逡巡もなく

「あんたら、今、ナニ捨てた?そこ川やで。」

と注意したのよ。


若い衆は

「ババア、ごちゃごちゃゆうとったら痛い目遭うで。」

とかなんとか言ったらしいわ。

そしたら、うちのババア、

「そうだっか。ようわかりました。」

と「戦略的撤退」を実行して、その脚で後家さんのとこへ行き、

「姐さんとお話さしとくれやす。」

と呼び出し、

「あんさんとこの若い衆、どんな教育したはりますの?

川に大きなゴミ捨ててはりましたで。私が注意したら

ババア痛い目遭わすで、と、こない言いはりましたんやで。」

と言い放ち、姐さんに

「そら、えらいすんまへんでしたな。ようしつけときまっさかい。」

と言わしめたのよ。

その時点で、おばちゃん85歳ぐらいにはなっていたわね。



おばちゃんはね、もう目がちがうの。

体が小さくて、顔も小さくて、目も小さいんだけど、

鷹みたいな目なの。

とにかく、「生きてる!」って絵に描いたらどうなるの?

ってのに応えて描きました。みたいな目なの。



1ヶ月ぐらい前に病院にお見舞いに行った時も、

まだそんな目をしていたの。

だんだんだんだん弱って、棺桶に近づいて行くのは

アタシもわかってたけど、目からは全然力が抜けて行かないから、

もしかして、100年たったって死なないんじゃないかしら・・・?

なんて半分本気で思ってたわ。

そんなこと思わせる女なの。



10日ぐらい前に行ったら、もう寝てるだけの人になっちゃってたけど、

それでも薄目を開けて、「来たか」って感じでうなづいたの。

その後「・・・寒いか・・・?」と聞いてくれて、また寝ちゃったわ。

それで、さすがにもう死んじゃうんだな、ってわかったの。



気が強いから、アタシも「こンのクソババア!!」ぐらいなことなら

何度も思ったけど、とっても優しいところもあって、

アタシの思春期に、親がメチャクチャになって家が大変になって、

でも親が大変すぎて、誰も、どころかアタシ自身すらもアタシの苦労に

気付いてなかったとき、おばちゃんだけが「可哀想にな」って

背中をさすってくれたこともあったわ。



「こンのクソババア!!」と思いつつも、おばちゃんの魅力を無視することも

尊敬をやめることもできなかったわね。

ほとんど自分のためにしか生きてない人に、どうしてこういう気持ちを

持つのかしら。

わからないけど、えらいもんだわ。



そして、おばちゃんは、33年前に死んだ夫と同じ日に死んで、

同じ日に斎場に行くのよ。



アタシも見送りに行ってくるわ。



チャオ!


                                      記 ネット翻訳サービス ちょっと訳して.com  運営者