水爆を起爆できる教授を誘拐した悪党と私立探偵が戦うフィルムノワールをAmazonプライムビデオで観ました。初見。
監督はロバート・アルドリッチ。予告編はありません。
兵役後はシンガポールで私立探偵をしているマイク・キャラハン(ダン・デュリエ)。怪しい仕事もしていて当局からマークされています。ある夜、裏社会の大物からマイクの元相棒だったジュリアンが商売の邪魔をするので状況を探れという依頼を強制的に受けます。同じくシンガポール在住のジュリアンも悪事に手を染めていて、出兵前にマイクの恋人だったフレネシーを妻にしているという因縁のある男でもあります。さっそくジュリアン(パトリック・ノウルズ)に会って探りを入れるも何も話さず、別の女と遊びに行くと言って去って行きます。まだフレネシーを愛してるマイクは浮気者のジュリアンに腹が立ってしょうがありません。マイクがフレネシー(マリアン・カー)が歌手として働くバーで聞き込みをしている頃、ジュリアンは資産家アレクシス・ペデラス(ジーン・ロックハート)の下である仕事に着手していました。水素爆弾の起爆方法を知っている世界で数少ない人物である原子核物理学者オコナーがシンガポールにやった来たところを、警護するボーン少佐に成りすまして誘拐。そのままジャングル奥地にあるアジトに監禁します。
ジュリアンが車で教授と言い争いしている様子を、通りで観光客の記念写真を撮る商売をしている中国人がたまたまカメラに収めていました。彼は友人のマイクに現像した写真を渡します。ジュリアンの自宅にいたフレネシーはジュリアンの所在を知りません。本当に愛しているのはあなただけと言われたマイクは、恋敵ではありつつも友人でもあるジュリアンを助けるとフレネシーに誓います。一方、教授を誘拐される失態を演じたボーン少佐は現地警察と共同捜査を開始。軍の上層部で会議をしていると、誘拐事件の首謀者ペデラスが突然現れます。24時間以内に身代金500万ドルを払わないと、一番高く買ってくれる国に教授を売り飛ばすと脅迫。マイクやジュリアンは実行犯候補の筆頭となったため、ボーン少佐(レジナルド・デニー)の直接訪問を受けたマイクはスキを突いて逃走。これはマイクを泳がせておいて教授の居場所を見つけようというボーン少佐の作戦でした。たった1人で私設軍隊のいるジャングル奥地のアジトに向かったマイクを尾行するボーン少佐。そのうち、マイクの奪回作戦にボーン少佐も協力することになって・・・というのが大まかなあらすじ。
原題は「World for Ransom」。意訳すると"世界を人質に"といった意味。11日間で撮影したという小品スリラー。私立探偵マイクの個人的な感情で動いた事件が核の脅威に話が及ぶという展開は、翌年作った「キッスで殺せ!」(1955)と共通しています。主人公がずっと愛し続けている女性を演じるマリアン・カーは両方に出演。ジュリアンを救った暁には一緒になろうと言われて奮起するマイク。しかし、一緒に帰ろうと思っていたのに自分を殺そうとしたジュリアンを手榴弾で爆死させて帰ってきたマイクは、戦前のウブだった私じゃなくて、戦後に落ちぶれてしまった自分を愛してくれたジュリアンの方が好きなのよとフレネシーに言われて、フラれてしまう悲しい結末。随所にフィルムノワール的なアングルのショットあり。終盤に怪しげなアジトへ潜入するアクションはチャック・ノリス映画をさらにショボくした感じ。数字の書かれたクジを街頭で売る商売だとか、異国情緒もそれなりに楽しめる作品でございました。

