「天国と地獄 Highest 2 Lowest」(2025)
黒澤明の名作「天国と地獄」のリメイクをApple TVで観ました。
監督はスパイク・リー。予告編はコチラ。
デヴィッド・キング(デンゼル・ワシントン)はNYブルックリンのダンボ地区在住の音楽界の伝説的人物で、スタッキング・ヒッツ・レコードの創設者。キングはライバル会社の買収対策として、かつて売却した自社の株式を買い戻そうとしています。まずは2人のパートナーのうち1人の株式を買い取りに成功。ただ、この取引の調達資金のために、美人妻と一人息子の3人で暮らす高級ペントハウスマンションや高級絵画等の私有財産の全てを担保にするリスクを冒しています。そんなある日、キングは誘拐犯からの匿名の電話を受けます。誘拐した息子トレイと引き換えに、1,750 万ドルを要求する犯人。警察に通報しつつ、身代金を支払う準備をするキング。その後、誘拐されたのはトレイではなく、キングの親友で運転手であるポール(ジェフリー・ライト)の息子であるカイルであったことが判明。とはいえ、親友の息子を見捨てることができないキング。カイルの親友である息子トレイも、カイルの父ポールも、カイルの救出をキングに頼み込みます。ビジネスパートナーも会社のイメージを守るためにもそうすべきだと助言。一晩熟考したキングは身代金を払うことを決断します。
翌日、指定の電車に乗れという誘拐犯の指示に従って、GPS装備付きの現金入りバックパックを持ったキングが近くでマークしている刑事と共に行動開始。しばらくして、誘拐犯からのケータイで後方車両まで歩けと言われたキングが次の車両に向かおうとした時、非常ブレーキが作動。ビックリしたキングが思わずバッグを落としてしまうと、それを高架線の下で待っていた共犯者がキャッチしてバイクで逃走。その一帯はプエルトリコ人が集まるイベントで満杯状態になっているため、GPS機能で位置を知る警官たちもなかなか捕まえられません。数人のバイカーの手に渡った後、ようやく1人を取り押さえるも、現金は見つからず。その後、無事だったカイルは公園で発見。友人の息子のために私財を投入したキングの行為は世間で賞賛されますが、融資の返済を迫られるキングは追い込まれます。警察は逃亡犯の手がかりが全く掴めない中、監禁されていた時のカイルの証言から、犯人の部屋で流れていたという曲のフレーズを聞いたキングが、曲の作り手の存在にハッと気づいて・・・というのが大まかなあらすじ。
原題は「Highest 2 Lowest」。意訳すると、"テッペンからどん底に"といった感じ。ご存じ、「天国と地獄」(1963)のリメイク。オリジナルでは、シューズメーカーの重役だった主人公を音楽業界のカリスマプロデューサーに変更。ストーリーの骨格にいたっては、身代金の受け渡し以降は完全に別物。警察が越権行為に使いやり口で犯人を追い詰めたオリジナルと違って、なんとイコライザーが自ら犯人との直接対決に挑みます。もちろん、プロの殺し屋ではないので、そこそこの泥臭い追跡劇があるだけ。デンセル・ワシントンとエイサップ・ロッキー(犯人)とのラップバトルは一見の価値あり。画面構築のクオリティとストーリーのスリル・緊張感の持続を両立させているオリジナルは異常すぎるので、同じベクトルで勝負することは敬遠していて、スパイク・リーらしい活き活きとしたNYの実景描写と、ジャンルごちゃ混ぜの音楽を随所にまぶした程度でお茶を濁して、なんやかんやで家族円満になって映画は終わりました。あと、プエルトリコ人向けイベントシーンで、アンソニー・ラモス、ロージー・ペレス等が本人役で出てました。

