アジア全域で大ヒットしたキン・フーの武侠映画をAmazonプライムビデオで観ました。初見。
監督はキン・フー。予告編はコチラ。
15世紀中頃、明朝時代の中国が舞台。政治の実権を握っていた宦官集団が暴虐の限りを尽くしていて、錦衣衛(皇帝直属の軍警)と東廠(宦官を長とする特務機関)の二大機関を統率する宦官ツァオ(パイ・イン)が、一の統領ピイ(ミャオ・ティエン)と二の統領マオ(ハン・インチェ)以下、腕の立つ猛者たちを配下に置いています。ある時、皇太子の師でもある人格者の軍事大臣ユイに濡れ衣を着せて処刑。その遺族も僻地の龍門に流刑にしますが、用心深いツァオはユイの遺族が将来的に刃向かうことを恐れて、流刑地で待ち構えて皆殺しにするようにと部下たちに命令。ピイとマオは30人近くの部下を引き連れて、龍門の荒野にポツンとある宿(龍門客桟)で待ち伏せします。突然訪れた屈強な来訪者の軍団に驚く従業員たちは、宿までの道中で荷物運びをした者たちを皆殺しにする様子を見て恐れおののきます。自分たちが数日間泊まる間は誰も中に入れるなというピイの要求も黙って受け入れるしかありません。しばらくして、ユイの遺族を探すためにピイとマオたちが外出していたタイミングで、正体不明の風来坊(シー・チュン)が宿を訪れます。宿に居残り組のコワモテの男たちを無視して、平然と食事を注文する風来坊。ピイの命令通り、そのふてぶてしい邪魔者を抹殺しようとするも、逆に撃退されてしまいます。
宿の主人ウーの友人だという風来坊の名前はシャオ。その後、宿に戻って来たピイはシャオが並外れた武術の達人だと警戒して、自分たちは刑部(裁判機関)の人間で、指名手配犯を宿で待ち伏せをしているとウソをついて、逮捕現場である宿から離れてくれないかとやんわりと提案。シャオは怪しいと思いつつも了承して、いったん宿を出ます。しかし、宿の主人ウーが帰ってきたため、一緒に戻ってきます。その後、兄弟剣士のジーとチュウ(シャンカン・リンフォン)が宿を訪れます。従業員に入店を断られたジーが激怒して暴れると、諍いを起こしたくないピイは2人を宿に受け入れます。ただ、宴の席で酒に毒を入れて殺そうと画策するも、シャオに見破られて失敗。ピイはシャオとジー兄弟を仲間割れさせて夜のうちに両方殺そうとするも、これも失敗。ここで、宿の主人ウーがツァオに処刑されたユイの参謀だったこと、ジー兄弟はユイ配下の将軍の子供であること(チュウは女であること)が打ち明けられて、宦官の横暴を聞いたシャオも彼らと一緒にユイの遺族の命を守る闘いに参戦することになります。全ての策略を知られたピイたちは自分たちに反抗する4人とやがて訪れるユイの遺族を抹殺しようとするのであったが・・・というのが大まかなあらすじ。
原題は「龍門客桟」。キン・フーが香港を離れて台湾で発表した武侠活劇の古典的傑作。どうも未見だったようで、もっとスケールの小さい密室アクションなのかと思っていたら、広大なロケ地で繰り広げられる大活劇だったんでビックリ。安っぽい邦題に騙されたかも。筆書きのオープニングクレジットからして、只ならぬ格調を漂わせてます。細かい編集でアクロバティックな動き(ジャンプ力が異常)をテキパキと魅せるキン・フータッチがキレキレ。お遊戯のようなチャンバラにも他にはない味があります。冒頭から一定の緊張感を保って進行するサスペンスフルな演出は仰々しい中国らしさ満点の劇伴と絶妙にマッチ。中盤までの二大悪党となるミャオ・ティエンとハン・インチェの面構えも良し。終盤に直接対決となるパイ・インの無敵のラスボス感(喘息持ちの欠点あり)もバッチリ。ツァオによって宮刑に処せられた韃靼人兄弟のエピソードも泣かせます。のちにキン・フー映画のヒロインとなるシュー・フォンもユイの遺族の少女としてセリフなしで出演。主役級のシー・チュンと女剣士シャンカン・リンフォンのチャンバラも優雅で、まさしく一級品の武侠映画でございました。


