撮影中にジャッキーが大ケガをした海外ロケ作品をU-NEXTでひさびさに観ました。
監督はジャッキー・チェン(撮影途中まではエリック・ツァン)。予告編はコチラ。日本版はコチラ。
アフリカの奥地で妙な儀式を行っている部族から聖剣を奪い去って、セスナで去って行った男。彼の名はジャッキー。"アジアの鷹"という異名を持つお宝ハンターです。オークションで美女に高値で落札された聖剣はかつて存在した邪教を滅ぼした"5つの神の武具"の1つで、細々と生き残っていた邪教集団の残党はバラバラになっていた武具を全部集めると世界が征服できるという考えを信じていて、その目的のためにジャッキーを利用しようと企んでいました。ジャッキーの前職は"ルーザーズ"という香港の人気バンドのメンバーで、メインヴォーカルだったアラン(アラン・タム)とローラ(ロザムンド・クワン)をめぐって彼氏の座を争った結果、バンドを去った過去があります。そこで、今はデザイナーとなっているローラを誘拐して、現彼氏で人気歌手のアランを脅迫。アランが助けを求めるであろうジャッキーをおびき寄せて、全ての武具を彼に盗ませようという作戦です。
案の定、アランはヨーロッパにいるジャッキーの元を訪ねます。かつて惚れた女のためにやむを得ず了承したジャッキーは、2つの武具を所有している貴族の豪邸をアポなし訪問。すると、聖剣を落札した美女が貴族のご令嬢メイ(ローラ・フォルネル)だと分かります。メイは自分が同行することを条件に2人の作戦に参加。まず、ニセの武具を渡すことで邪教集団に接触した作戦は失敗。お次は、邪教集団が月に一度デリバリーする売春婦たちの輸送車に紛れて、邪教の教団本部へ潜入して、なんやかんやでローラを奪還することに成功。戻ってきたホテルでジャッキーとアランとメイがコント風お芝居をしてるうちに、信者に催眠術をかけられていたローラが(ジャッキーに打つつもりが間違えて)アランに注射を打ったため、2人が教団に戻って捕まってしまいます。ということで、2人を奪還するために、ジャッキーは単身で教団本部に乗り込んでいくわけですが・・・というのが大まかなあらすじ。
原題は「龍兄虎弟」。優劣つけ難い兄弟のような二人といった意味になるのでしょうか。カンフースターからアクションスターへと羽ばたいてノリノリだった頃の1作。スタントで15m落下して頭蓋骨骨折という重傷を負ったことと、序盤にすぐ髪が伸びることしか記憶に残っていませんでした。復帰して撮影再開後からジャッキー自身が監督を務めています。「インディ・ジョーンズ」シリーズを意識しているのは明らかで、ムリに国際的なスケールにしようとしている分、随所にチープさも際立っていますけど、無事に完成できただけで十分かも。歌手として大人気だったアラン・タムを対等に引き立てようとしていて、ジャッキーが活躍するパートが半減してる点も本作の印象が薄くなっている要因。クライマックスで4人のアマゾネス軍団とガチンコバトルをする場面が最大の見どころだと思います。ハイヒールで闘うアマゾネスたちの俊敏な動きがGOOD。よーく見ると、男っぽい人も混じっていました。
この時期のジャッキー作品でがっつり協力していた三菱自動車の活躍もなかなかで、コルト・スパイダーは脱出用の小型車が収納されている特別仕様。日本企業が貢献しているのは誇らしい限りです。あと、役柄上のバンド名のルーザーズは、アラン・タムが実際に活動していたウィナーズというバンド名から来ているシャレだったことを今回初めて知りました。男たちと中途半端に恋愛模様を繰り広げる1人目はロザムンド・クワン。ラストエンペラーの生母と同じ満州族の末裔だとのこと。もう1人のローラ・フォルネルは「スパルタンX」(1984)に続いてのヒロイン役。厳密には「プロジェクトA」(1983)の(たぶん海賊に略奪される)英国少将の娘役が初共演らしいのですが、画面には映っていないため真偽は不明。恋愛の行方と同様に、神の武具の行方もあいまいなまま、脱出したジャッキーがジャンプして、気球に飛び乗る見せ場からNG集になだれ込んで映画は終わりました。