「キャッツ・アイ」(2024) シーズン1
日本のヒット漫画のフランス実写版ドラマをAmazonプライムビデオで観ました。
全8話の監督はアレクサンドル・ローラン。予告編はコチラ。
美術的価値の高い日本の掛け軸をエッフェル塔で開催された展覧会から盗んで逃走する美女と、それを追う刑事たちの様子が冒頭に描かれます。そんな事件が起きた2日前にパリに戻って来た美女タマラ(カミーユ・ルー)。長女シリア(コンスタンス・ラペ)と三女アレクシア(クレア・ロマン)が住む実家のアパルトマンに数年ぶりに帰って来たようで、死んだ父の事件の謎が解けるかもとシリアに語り始めます。経営していた画廊の火災で亡くなってしまった父が所有していた掛け軸が展覧会に展示されているので、盗みに行くと意気込むタマラと、無茶はするなと制止するシリア。しかし、そのために戻って来たタマラは計画を独断で決行。と思ったら、三女アレクシアも勝手に協力を志願。冒頭のシーンは、無事に(?)盗み出した掛け軸をタマラが持ち去ろうとする場面でございました。
タマラを追っかけていた刑事の一人がタマラの元カレのカンタン(MB14)であることも明かされます。急にパリを去ってしまったタマラにフラれたカンタンはパリ市警で美術品盗難等も担当する刑事になっていて、同僚の警部と恋仲になってる様子。長女シリアにはカフェのオーナーの彼氏がいたり、まだ学生の三女アレクシアには同級生のカノジョがいたりと、ドラマならではの設定もいろいろと見えてきます。で、タマラとアレクシアによって強奪した掛け軸が、火災時に紛失した父の所有物であることを確認したシリア。消えてしまった残り十数点の美術品を自分たちで盗み出せば、父を殺した真犯人解明の糸口を見つけることができるのではとなって、三姉妹が力を合わせてドロボー稼業に精を出していく・・・というのが大まかなあらすじ。
原作はもちろん、週刊少年ジャンプで連載していた北条司の『キャッツ・アイ』。実写版というとなんだかイヤな予感しかしませんが、漫画やアニメでしか表現できないようなアクション描写をなるべく避けていて、作り手が想定するリアリティラインで描き切ることには一応成功している印象。主人公の三姉妹は昭和の少年漫画的な女性像ではなく、キャラ付けに原作への一定の配慮もありつつ、地に足のついた現代的な女性像にアレンジ。カンタン刑事の上司が女性だったり、恋人の警部も自分と同等の役職だったり、敵側の実行部隊のリーダー的存在も女性だったりするところなども、今のご時世に合わせてました。三姉妹がドロボーじゃないかとカンタン刑事がおおよそ気づいている設定になってるのは、このドラマでの筋運びだとやむを得ないかと思います。
また、TVアニメの有名な主題歌が使われてない(それに似ているようで似ていないヘンテコな主題歌がOPで流れます)のは残念な人も多いかもしれませんが、アニメ化作品自体が"原作"ではないので、違っていて当然かもしれません。フランスでのTV放映時には原作との乖離に不満を持つ人の意見が少なからずあった一方で、すでにシーズン2の製作も発表されているとか。まあ、最大の売りは、エッフェル塔やヴェルサイユ宮殿、ルーブル美術館などのパリの名所でのロケ撮影映像がふんだんに使われている点でしょう。おフランスの香りが原作のトーンにも合っている気になってきます。三姉妹のルックスについては、それぞれの好みによるかも。個人的には、次女タマラのスタイルの良さに第一話からホレボレしています。なお、出演陣で知ってる俳優さんはキャロル・ブーケだけでした。