「サタデー・ナイト/NYからライブ!」(2024)

 

『サタデー・ナイト・ライブ』第一回放送直前のゴタゴタを描いた物語をU-NEXTで観ました。

 

 

監督・脚本はジェイソン・ライトマン。予告編はコチラ

 

1975年10月11日のニューヨーク。NBCの土曜深夜枠を任された新米プロデューサーのローン・マイケルズ(ガブリエル・ラベル)が、新番組『サタデー・ナイト』第1回放送日を迎えて、スタジオ内で準備に勤しんでおります。無名のコメディアンたちをメインに据えた画期的な生放送バラエティ番組へのTV局内での期待度は低く、重役たちはジョニー・カーソンがホストを務める『トゥナイト・ショー』再放送をその時間帯で始める前までのつなぎ程度にしか考えていません。その1人であるテベット(ウィレム・デフォー)からは激励の言葉をもらいますが、彼も内心では失敗すると思ってます。古い体質が染みついている美術スタッフなども非協力的で、チームワークはバラバラ。今までのTV番組にはなかった若者向けの斬新な内容とはいえ、企画を詰め込みすぎているため、時間内に収まるかどうかもビミョー。なかなか番組の準備が進まずにいる中、系列局の幹部連中が全国から集まっていることもあって、押し寄せるプレッシャーはハンパないローン。
 

かき集められたコメディアンは、イケメン気取りのチェビー・チェイス。お調子者のダン・エイクロイド。そして、エキセントリックなジョン・ベルーシなどなど。司会担当のジョージ・カーリンは番組の方向性が見えていません。役者出身のギャレット・モリスはコメディアンだらけの出演者の顔ぶれに不安だらけ。マペット劇担当のジム・ヘンソンは台本すらもらえず、蚊帳の外扱い。出演者が殴り合いのケンカを始めたり、卑猥なスラングをチェックする古株の検閲官によってキワドイ笑いの要素がどんどん削られようとしたり、緊張している助手も出演者からもらったハッパでパニック発作を起こすし、ジョン・ベルーシは不機嫌になってどこかに消えてしまうし、もうダメだと絶望的になったローンはスタジオを出て、近くのバーに駆け込む始末。生放送開始時間は刻一刻と迫って来ます。はたして、番組は無事スタートできるのか・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Saturday Night」。いまだに人気を誇っているアメリカを代表するバラエティ番組が産声を上げる瞬間を、立役者の主要人物であるプロデューサー主観で描いた作品。本番が始まる前の90分間のバタバタをリアルタイムで描く企画性がミソ。小気味良いテンポで進むグルーヴ感はあるものの、手際が悪くてなかなかスタンバイできない現場のオタオタを見させられているだけで、お化け番組ならではの期待感を感じる内容ではありませんでした。1970年代中盤のファションの再現力はバッチリで、のちに著名人となる初期メンバーたちがゾロゾロと登場してくる豪華さや、それぞれの俳優がその人物に成りきっているサマを見る楽しさもはあるかなあといった程度の印象。なお、黙々とセットのレンガを組み立てている東洋人のキャラは、現在でも美術監督として活躍しているアキラ・ヨシムラという日系人の名物スタッフのようです。