「小さな恋のメロディ」(1971)

 

英国の少年少女の恋物語をWOWOWオンデマンドで観ました。初見。

 

 

監督はワリス・フセイン。予告編はコチラ

 

パブリックスクールに通うダニエル(マーク・レスター)は中流家庭で育った、ちょっと引っ込み思案な少年です。クラスメイトでガキ大将タイプのトム(ジャック・ワイルド)は貧乏な出自のようですが、素直なダニエルとは妙に馬が合って、放課後も一緒に遊んだりしています。彼らを中心とした男子たちのよくある学校の風景と共に、恋バナに花を咲かせる女子たちの様子も描かれていきます。その中の一人がメロディ(トレイシー・ハイド)で、粗野なデブ親父がいる労働者階級育ちのフツーの女の子。ある日、男子生徒たちが女子生徒のバレエの練習覗き見して注意された時、ダニエルメロディに一目惚れ。それ以来、メロディのことで頭が一杯になってしまいます。そんな気持ちを友達経由で知ったメロディも、ダニエルの視線を感じて、少しずつ意識し始めます

 

やがて、放課後に二人きりで散歩するダニエルとメロディ誘ったのはメロディ近くの墓地でとりとめのないことを語り合って、ダニエルを自宅に招待します。翌日、学校に二人の姿はなく、授業をサボって、電車に乗って海岸デートをしていました。突然プロポーズするダニエルに同意するメロディ。その翌日、校長先生に呼び出される二人。ここでも、ダニエルは「ぼく達、結婚したいんです」と高らかに宣言して、校長先生を困らせます。教室に戻ると、噂を聞きつけたクラスメイトにからかわれて、怒ったダニエルはトムととっくみあいの大喧嘩。先生に怒られた後、ダニエルに謝るトム。昼休みが終わった後、クラスメイトが行方不明になって、先生総出で捜索を開始。子供たちは線路下の廃墟で、ダニエルとメロディの結婚式を執り行っていました。そこに先生たちと一緒に駆けつけたダニエルのママが乱入して、大乱闘が繰り広げられて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題の「Melody」は、ヒロインの名前。自分より上の世代にとっては思い出深い作品に挙げる人も多いのではないでしょうか。英国や米国ではヒットせず、日本を含めた他の国でヒットしたという珍しい経緯があります。この1作でトレイシー・ハイドもマーク・レスターも日本では10年近く人気を誇っていたので、有名なテーマ曲『メロディ・フェア』と共に存在だけは知っていました。異国への憧れと、制服へのフェティシズム(女子の色違いのワンピースが異常にキュート)と、世界共通の甘酸っぱさとが入り混じったテイストが本作の魅力ではないかと思います。「ハリー・ポッター」シリーズにも通ずるモノを感じます。パブリックスクールに通うキッズたちの活き活きとした日常風景が続く序盤を牽引するのは、主役格の一人であるトムを演じる(当時17才の)ジャック・ワイルド。ラフな着こなしがカッコイイですけど、シャツが汚いです。ルックス的には、エマ・ストーンのファニーさと似ているかも。

 

で、3分の1ほど過ぎたところで、小さな恋物語が始まります。ここからは主人公二人の素朴でピュアなキャラクターが爆発。中でも、「もう1週間も愛してるよ」というダニエルのセリフは秀逸。脚本はのちに映画監督として大成するアラン・パーカー。他の作品でも子役として活躍していたマーク・レスターにはプロ俳優風情を感じなくもないですが、トレイシー・ハイド素人くさい天然少女ぶりがとてもイイですね。明治製菓のチェルシーのCMなんかもそうですが、素朴で可愛らしい西洋の少女のイメージには昭和が詰まっています。ビージーズの曲に乗せて少年少女をスケッチしたイメージ映像が映画の半分くらいを占めていて、クライマックスの大騒動から逃げ延びてトロッコで疾走するラストシーンは良い余韻を残します。他には、試行錯誤しながら爆弾を作り続けている少年も面白いです。本作と同じようなイメージがあって、未見の「リトル・ロマンス」(1979)も急に観たくなったので、Amazonでポチっとしてしまいました。