「帰って来たドラゴン」(1974)

 

往年のカンフー映画を新宿武蔵野館で観てきました。初見。

 

 

製作・監督・脚本はウー・シーユエン。予告編はコチラ

 

清朝末期。放浪の旅をしている時に襲ってきた複数の男たち華麗な足技なぎ倒す男の名はドラゴン(ブルース・リャン)。つづいて、2人組の盗賊リトル・マウスとブラック・キャットの襲撃を返り討ちにすると、ドラゴンの強さにひれ伏した盗賊コンビは弟子入りして、旅を共にすることに。三人は悪がはびこるゴールド・サンド・シティという街を訪れます。子供の売買も平然と行われているような腐敗した街を牛耳るのは、イム・クンホーという悪党。手下がドラゴンにぶちのめされたことで警戒を強化していた頃、ジャガー(倉田保昭)という強い男も街に戻ってきます

 

彼が持ち帰った真珠の財宝はチベットの寺院から盗まれたブツで、ドラゴンがこの街に来た目的も、その秘宝を手に入れることでした。遅れてやって来たイーグルという女格闘家も、ドラゴン率いる三人組とジャガーを擁するクンホー一味が駆け引きを行うスキを突いて秘宝を奪おうと企んでいます。しかし、漁夫の利を得ようとするイーグルは、ジャガーボッコボコにされて殺されます。結局、ドラゴンとジャガーの頂上決戦となって、戦っては走って、また戦ってはまた走って、またまた戦ってはまたまた走ってを繰り返す壮絶な死闘を演じることになって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「神龍小虎闖江湖」。ブルース・リーの死後、ジャッキー・チェンが登場するまでの間、カンフー映画のトップスターとして君臨したブルース・リャンが主演。意外な結末を迎える秘宝の行方をめぐるストーリーはオマケのようなモノで、見どころはブルース・リャンと倉田保昭の1対1のバトル。素手でのバトル。壁を両足でよじ登りながらバトルトンファーヌンチャクを使ってのバトル。といった具合で終盤に延々とやり合う場面は観る者を圧倒します。戦いが硬直しそうになると、倉田保昭が走り去って、ちょっとだけ場所を変えて、追ってきたブルース・リャンとまた戦います。いつまで戦うねんと思わせたところでブルース・リャンが倉田保昭を倒してジ・エンド。

 

現存する最良のマスターを2K化したとのことですが、画像は粗く、両端がトリミングされているため、完全版とはいい難いクオリティ。ただ、VHSビデオでカンフー映画を繰り返し観ていた当時のコンディションはこんなものだった気がするので、武骨なユーモアと肉弾アクションも含めて、懐かしさ補正で十分に楽しめました。ブルース・リャン打点の高い蹴りの連続技にはキレがあります。それと互角に戦う倉田保昭が日本人であることに、悪役であっても誇らしく感じます。ドラゴンに弟子入りするコンビの片割れがマン・ホイ。料理店(兼売春宿)のセコい店主がディーン・セキ。倉田保昭が主演した短編『夢物語・奪還』(2024)のオマケ上映もありました。