「武闘拳 猛虎激殺!」(1976)

 

倉田保昭がホンモノの虎と戦ってるというんで、JUNK FILM by Toeiでチェック。

 

 

虎を飼って住んでいるラスボスの城主と戦う武闘カラテ映画。

 

香港で活躍していた"和製ドラゴン"倉田保昭が東映に凱旋して初主演。後半の戦いは奇巌城(熱海城)にいる敵を1人ずつ倒していって、最上階にいる右手に鉄の爪を付けたボスと戦うという「燃えよドラゴン」(1973)「死亡遊戯」(1978)を組み合わせたような設定。Wikipediaによると、当時、ゴールデンハーベストとのルートがあり、未完の「死亡遊戯」のプロットを知って、東映流にアレンジした映画に仕立てたようです。また、千葉真一が主役を断って、倉田保昭に役が回ってきたとのこと。そりゃ、虎と戦いたくはありませんよね。

 

メキシコからやって来た謎の武闘家アイアンドラゴンこと、竜崎(倉田保昭)が、武闘カラテ界のスター、唐木誠(矢吹二朗)とのタイトルマッチで来日、大方の予想を覆して唐木を倒してしまいます。プロモーターの吉良本は激怒、唐木をポイ捨てして、竜崎をスカウトしますが断られます。吉良本には、海底に眠る財宝を探し当てた竜崎の父と兄を殺して財宝を奪って大金持ちになった過去があり、唯一生き残った竜崎は吉良本に復讐するためにやって来たことが分かります。竜崎は再起不能になった元チャンピオン唐木を立ち直らせて仲間となり、妹の店に出入りしている若造(清水健太郎)力を合わせて、吉良本に対抗しようとします。しかし、妹を拉致された唐木は吉良本の人質となり、虎の餌食になります。吉良本からの果たし状が届いた竜崎は若造と一緒に奇巌城に乗り込んで、吉良本が集めた武闘家たちと死闘を繰り広げるのであった・・・というのが大まかなあらすじ。

 

竜崎は城に向かう途中で武闘家に一度倒されますが、吉良本の愛人に助けられて一命を取り留めます。その愛人は竜崎の兄の恋人だったことが分かります。その頃、竜崎は死んだと早合点した悪党たちは菊正宗のタイアップで祝杯を上げて大喜び。結局助けたことが吉良本にバレて、愛人も虎に食われて死亡してしまいます。で、復活した竜崎はもう一度城に潜入して若造と一緒に武闘家を次々と退けて、最上階に行くと虎との対決を強いられます。本当に虎と接近して撮影しているので、この場面は緊迫した空気が漂っています。巧みな編集のおかげもあって、虎を殺した竜崎は、ラスボスの傍らにずっといたのにセリフが一つもなかった山本昌平も殺して、最後はラスボスもやっつけて映画は終わりました。

 

吉良本が父と兄を殺した現場に竜崎もいたわけで、警察に通報すればいいだけの話なのですが、あえて行方をくらましてメキシコでの武者修行を経て復讐しに来るという手間のかかる道のりを歩む竜崎の志は東映的には正しいのかもしれません。Wikipediaにある虎との対決シーンの撮影エピソードもカツドウ屋精神があって素晴らしいです。同時上映は「トラック野郎・望郷一番星」(1976)。添え物の荒唐無稽なアクション映画として十分楽しめる内容でした。